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オルカンに投資する前に知っておきたいMSCIの基礎知識

今朝の日経で、MSCIについての記事があった。今話題の”オルカン”についてだ。良い機会なので、これについて少し書きたい。筆者は何を隠そう、若いころMSCIでしばらく働いていたのだ。

#日経COMEMO #NIKKEI

さて”オルカン”の名前の由来は、その正式名称であるMSCIの”All Country World Index(ルカントリーワールドインデックス)”つまり全世界指数だ。専門家の間ではむしろ頭文字ACWIをとって”アクイ”と呼ぶ。

実は機関投資家に最も使われているインデックスはオルカンよりも、”MSCI World Index(ワールド)”の方だ。これは先進国23か国の株式市場を表す。ちなみに日本の機関投資家に外国株式の指数として最も使われているのはワールドから日本を除いた指数で"MSCI Kokusai Index(コクサイ)”と名付けられている。
これらに対してオルカンはエマージング国24か国の株式市場も合わせた指数だ。

日経記事の趣旨は今回オルカンの構成銘柄が変更され、日本のシェアが減っているということだ。MSCIは四半期ごとに構成銘柄を入れ替えている。ここで着目したいのは、どのように構成銘柄が決まるのか?ということだ。

MSCIの構成銘柄は、文書化されて公開されたメソドロジー(ルール)ブックに基づき、実際にはMSCI社内の委員会により決定される。

定量的なルールでは決められない部分も大いにある。従ってMSCIは定性的な要素も鑑みて決めると言っている。委員会のメンバーは今は知らないが私が居た当時はわずか数名だった。(日本人は一人も入っていなかった。)

構成銘柄はフリーでは公表されていないので現状を確認していないが、筆者が働いていた当時は、例えば何故電通が入っていて博報堂が入らないのか?という疑問を受けたことがある。「MSCIは各地域の各セクター全体を代表する銘柄を選ぶ」という基本方針がある為、日本のそのセクターの代表として電通が選ばれたという説明だったと思う。

ここで言いたいのは、インデックスといっても、結局誰かが銘柄を選んでいるということだ。

「アクティブファンドと違って、インデックスファンドへの投資は市場全体に低コストで投資できるので良い」という論調は正しいように聞こえるが、オルカンに一極集中することは、業績などに関わらずMSCIの委員会が選んだ銘柄が、自動的に投資されるという状況を生み出している。

これが今、日本の新NISAを通じて、兆円規模で行われてる現状だ。

これが実は世界の一部の投資家から恰好のターゲット(カモ)になっている状況について、次回考察したい。