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末寺の末事 65

 笑って生きるのが難しくなったのは何故だろう。夢や希望、義務や責任を知った頃からか、思考を整理するどころか、とっ散らかしているだけだ。始末に終えない。

 『寺に生まれた』ということを意識して久しく、心に快晴の日は少ない。暗雲の隙間から、時折だが射し込む光にも、望みをかけない癖がついている。

 それでも生きているのだから、もう今更だけれど、上手に生きようとするのをやめよう。ただ生きて、笑おう。素直に笑おう。

 自然な笑顔は造れるものではないのだろう。上手な『生き方』と同じで、何かを手放した時に溢れるものなのかもしれない。

 当人は至って真面目に懸命なつもりでも、他者からの評価は根暗で扱い難い面倒なヤツでしかない。それならば迷惑を撒き散らしてもヘラヘラしているような人間と何ら変わらない。同じように空気を悪くする。

 いつまでも石橋を叩いて壊していたら、彼岸に着くことはない。

to be continued



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