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末寺の末事 84

 満ち足りて穏やかに安らぐとは、どういった心境なのか。そもそも「幸福」が満ちるのか?はたまた「快楽」が足りるのか?穏やかな空虚に安らぎという退屈。そこに「今あるひとつひとつに、感謝して始末をつけてゆく」。有り難い、勿体無い、申し訳ない、自分ではどうすることもできない「苦悩」を始末していく。

 始末するのは「苦悩」。それも僕の「苦悩」であって、他の「苦悩」ではない。信じ任せ、この憐れで愚かな欲望の虜を、そのまま委ねる。自力で捏ね繰り廻しても、解決しないのはこの身で体感済み。これ以上苦しむのはもうやめよう。
 各々がこの安心に包まれる為には、僕がその中に存在しなければならない。
 『寺に生まれた』という僕の「苦悩」を始末することは、きっと感謝に値する道だ。

 満ち足りるということは、不足があっては穏やかに安らげない。でも、溢れ返ることでもない。感謝って、バランスが必要だ。

to be continued



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