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川島家●●●●バラバラ事件

ある日、川島家にてバラバラ事件が発生した。

【証言1】  川島 都美子
 ええ、「それ」を見つけた時はもう衝撃でした。まさかあんなことになるとは思ってもみませんでした。
 なぜそうなったのか、私には分かりません。ただ言えるのは、「それ」がバラバラになってしまったということだけです。

【証言2】  川島 正彦(川島 都美子の夫)
 妻から話を聞き、最初は信じられませんでした。そんなことが起こりうるなんて。けれど実際にバラバラになったものを見たら、信じる以外にありません。それは見るも無惨に、跡形もないほどバラバラになっていたのです。一体何が起こったのか、私には分かりません。

【証言3】  南沢 明子(川島正彦と都美子の三女)
 母からその画像を見せてもらった時、最初は冗談かと思いました。イタズラでわざとバラバラにしたのかとすら思いました。けれど、母も父も何もしていないと言います。じゃあ誰が、どうしてそのようなことをしたのか、全く想像もつきません。とにかく私としては、早く真相が判明することを望むばかりです。

【証言4】  川島 都美子
 もともと「それ」はちゃんとした形でした。
 その日は冬にしては天気も良く、洗濯日和と言ってもいいくらいでした。私は「それ」を洗おうと思いました。実は「それ」を購入してから一度も洗う機会がなくて。年末も近いですし、色々片付けたかったんです。
 え、「それ」の形ですか。そうですね。長方形と言えばいいでしょうかね。

【証言5】  川島 正彦
 確かにその日は晴天だったように記憶しています。私はその日、仕事があったので朝早く自宅を出ました。妻が「それ」を洗う予定だと話していた気がします。私は、そうかとだけ言いました。「それ」を洗うには適した日であったことは間違いないと思います。ただ、それがなぜあんなことになってしまったのか…。

【証言6】  川島 太一(川島正彦と都美子の長男)
 その事件については、母から電話で聞きました、実家から離れて暮らしているので。
 母が「それ」を洗い、気が付いたらバラバラになっていたそうです。まず、糸屑が大量に見つかり、そしてその後、粉々になったそれが見つかったそうです。まるで犬や猫が噛み切ったようだったそうです。けれども実家では長いことペットを飼っていません。
 そうなると犯人は限られると思います。母か、父か、それとも…。

【証言7】  川島 都美子
 犯人は決して私ではありません。夫でもありません。
 犯人は洗濯機です。それしか考えられません。どうか信じてください。

【証言8】 川島 正彦
 「それ」をバラバラにした犯人が洗濯機なのは間違いないと思います。ただ、それ以前の問題として、バラバラになった「それ」も爆弾を抱えていたと私は考えています。なぜなら妻が言っていたように「それ」を購入してからこれまで一度も洗っていなかったのです。「それ」の劣化がかなり進んでいたことは容易く想像できるでしょう。
 恐らく、洗濯機の遠心力によって、劣化した「それ」の糸がことごとく切れてしまい、結果としてバラバラになってしまったのではないでしょうか。これが今回の事件の真相だと考えられます。

 こうして、川島家のカーテンバラバラ事件は解決したのだった。
 ちなみに、バラバラになったカーテンは捨てられ、母によってその日のうちに新しいカーテンが購入されたという。

 いや、ただカーテンを洗ったらバラバラになってしまっただけの話なんですけどね。

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