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【短編】したためて愛

幸せとは、何だろうか。

日常でささやかな幸福。繰り返される日々こそが幸せ、とでも言うのだろうか。私にとっては積み重ねた時間こそがそれに値していたのかもしれない。だけどそんなこともう、気がついたところで全て遅かったみたいだ。

すべてはさっぱり返ってこない。すべては無になって、有の隙間すら探させないくらいに……。いや、それは違うか。あれが恋ではなかったことの証明になっただけで、元々愛に対価なんてなかったのね。恋がお互いの穴を埋める作業なら、愛とはきっと、もっとずっと深い穴を作り合うこと。

 その愛に終わりなんてない。そのことが、私を一層悲しくさせた。私は、きっと絶望していたのだろう。あのときの感情を追いかけても、悲しいとか、辛いなんて。とてもじゃないけど言えなかった。胸の辺りがすこんと抜けてしまったみたいに何もなくて、そこを冷たい風がぴゅうぴゅうと絶え間なく吹き付けた。たちまちそれは渇きを求めて私の身体を侵食していき、一切合切を凍らせる。冷え冷えとした愛情は脈を打って、私の身体の隅々までに行き着いてまた奥へ奥へとまわり続ける。何度も、何度も。ぐるりとせかいがまわる度に、私の中のなにかが、終わっていくにおいがした。

めっちゃ喜ぶのでよろしくお願します。すればするほど、図に乗ってきっといい文を書きます。未来への投資だと思って、何卒……!!