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セフレは小説よりも奇なり

好きになってしまおう。のつづき

本当に僕はずるいんですよ。あざといと言われてしまう。でも、どう考えてみてもそういう感情が備わってないんです。ピンと来ないんですよね…

女性*人をその気にさせといて、最初から遊びのつもりですか?
彼*すみません、あー、うーん…好きってなんですか?

となるくだりにほとほと疲れていた。
アロマンティックかもしれない。いやどう考えても当てはまる。
そう思ってからはだいぶ楽になったという。

犬猫を好きとかサッカーが好きとか、カレーが好きとかそんなのとおなじだっていいじゃない?
腑に落ちない様子も会話の中で葛藤する様子がみえると私もそれ以上深堀しないでおこうと思った。
この関係がどうなっていくのが正解なのかを考える方が面白そうだと思えたから。

私たちは会っているときはセックスをする。
すみません、カッコつけました。
するために会う。

合間合間に冗談などを言い合って、自然と中断して私の話をキラキラした顔をして聞く。どんな茨の道歩いてきたんですかとしきりに驚かれてしまう。

裸のまま彼の肌を撫でながら話す私の崩れた前髪を、優しい笑顔でさりげなく直しながら「あなた、ほんとにバカだね。」と笑う。

話ばかり長くなっちゃったね、と続きをしようとする私に「このまま話していましょうよ、だってこんなに話してることが楽しいってありますか?」と屈託のない笑顔で。
そんなふうに言われたことは今までになかった。
食事をして、ホテルに行っていつのまにかだいぶ延長して焦り、終電間近になって慌てて解散をする。
「ほうら!だめなんだって、こんなに遅くなる。今度はあなたの家の近くで会おう。」

「今度は車出すからね!送っていくから。」
帰りの電車でLINEのやりとりはいつも反省会になる。

私とは一つしか変わらないのに、いつもは他人行儀で敬語の彼がたまにタメ口になるのが好きだ。
何かの話の流れで、「俺ら知り会ってからずっと仲良しだよね!」とケラケラ笑いながら言った。
そういえばずっと仲良しだ。

アロマンティックであろうがナウロマンティックであろうが、この人を気に入っちゃったことに嘘などない。
いつのまにか、恋愛的でなく人間を好きになってしまった。
ちょっと偏屈で、私よりうんとかしこで常識もあって。まっすぐ育ってきたようす。


私の燃え上がった気持ちが落ち着いてきたのが分かってきた。

このままでじゅうぶんだ。(これは革命的)


ある時、次に会う日を相談していると。
この日は会えないから…と言いかけると、「なぜ?」と食い気味の彼。
生理だから会えない。と言うと「僕がそんな男だと思うんですか?失礼しちゃうな。」そう言ってむくれた。
「セックスだけが休日の過ごし方じゃないですからね。」
とてつもなくびっくりしてしまった。
「そっかぁ、辛い時はおうちでゆっくりしな」なんて、過去の人たち。



それでも自分を恥じた。
でもデートなんて、、好きが再発してしまうじゃないか。他愛のない話、しぐさ、生い立ちそんなのを知ったらますます…


本心はスケベな意味でなくても普段より色んなことがしんどいのでここ数年は無理に出かけることは無かったのだ。化粧ノリも悪いし、、
普段は温厚な私が、ありがとうございましたが言い終わらないうちにレジをガシャンと閉める店員にブチ切れしてしまう(心の中で)ような生理の時期にだよ。
せいぜい腹いせのtweetをするくらいだけど。

時限爆弾がそこいらをウロウロしては行けないと言い聞かせていた。

種明かしをする彼の本音は、次会った時がだいぶ燃えるから。という下心丸出しの正直なもの。でもそれだけじゃない気がして嬉しかった。
私がDi〇ney ED(ワクワク&ルンルンしない)なのを知っておきながら、あなたと一緒に行ったらすごく楽しい気がする!と意地悪を言う。彼となら間違いなく楽しそうだなと思えた。冗談や皮肉ばかり言いながらパークをぐるぐる歩くのだろう。

やれやれ、小悪魔的な無邪気な彼には恋愛感情などないのだから罪だ。

神様、私はこれまで一生のお願いをだいぶしてきました。
知人友人にも、各々一回以上は一生のお願いをしてきたと思います。
もし、まだお願いを聞いて貰えるのなら、私の寿命のほとんどを返上しますので、どうか彼に恋愛感情をお与えください。
愛し愛されるを心底味あわせてあげてください。

そんなことをくそ真面目に思っていた矢先だ。
婦人科検診に初めて引っかかった。

作り話じゃない所が、ごっつ笑える。
最初の要精密検査のお知らせこそ落ち込んだが。

要精密検査は黒。
これまで生ききってきたせいか妙に落ち着き払っている自分がいる。
なんてことは無い。
私、ケツ(終わり)が決まっている方が出し切れるタイプだから。

むしろほくそ笑んでしまった。
死ぬまでにしたい10のことみたいなやつができるの私?って具合で。


次の検査も…。
主治医が「○○さんね、これね、出ちゃった。アウト。」

昔からこの病院は盛況している。
先生とは気心知れた関係だけど、あまりにもカジュアルに言われた。

その次の顕微鏡検査も…。


痛みも症状もない私は躍起になって約束を取り付ける。
彼「ちょっとまって、大人ってこんなに遊びましたっけ?」

私「え?ダメ?」

彼「楽しいから全然いいけどw」


笑い合う貴重な日々を、限られた時間でうんと堪能したい。

不良な私たちは仕事を半休にして、遊ぶ日以外にコーヒー飲むだけというのをするようになった。


会うと人目を気にせず私の顔の周りや頭の匂いを嗅ぐ彼。
あー、やっぱり○○さんの匂いは好きです。初めて会った時にも思った。と聞いた時なんだかすごく嬉しかった。
何となくずっと恋愛絡みの会話を避けているのは感じ取っていた。
でも、きっと深い意味は無いのだ。

ほらね私のプレッツェルみたいに、あなたにも好きがあるじゃない?と顔を覗き込むようにして言ってみた。


そして何かの拍子に病気のことをさらっと彼に話してみた。
「笑っていたらそんなの飛んでいっちゃいます。」と返ってきた。

いい塩梅だ。
だいぶ助かる。

どこにいても、陽の当たる縁側で話しているみたいな心地良さだ。

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