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ブース!

ブスって、初めて言葉を知って以来破壊力の衰えない単語だなとしみじみ思う。
悪口にしても形容するのはそれぞれの価値観にあるブスなのだからやはりそれぞれに醜いのだろう。
辛口な友人と所作やヤラカシに対して言い合うのとは違うノリ意味合いで
"あまり向き合いたくないので気づいた瞬間しまいこむを繰り返しているブス"が自分にある。

俗に言う闇なのだと思う。
いつまでも気持ち悪いのでアウトプットしてみよう。

飲み屋で胸を締め付けられるほどの嫉妬をすることがある。
女子に。
主張しないがきっといい素材であろうぺたぺたのニットに、主張しない流行り丈の流行りのスカート。
手入れが行き届いた落ち着きめの髪。
アクセサリーもそこそこ、メイクもナチュラルだ。
一般的なその感じに育ちの良さが放つ品のようなものを携えたたたずまい。
それに嫉妬をする。


割とそういう人は多いからそれはそれはしょっちゅう嫉妬をする私。

流行りっていうか、あたし牽引してる前線にいますけどなにか?みたいな「余裕のある感じ」に嫉妬をしてしまう。
一球入魂な感じではなく、私フラットでーす。浮かれてないですベーシックでーすっ、ていう。

そらそうだ、まるっと雑誌に載ってるもんそのコーデ。
流行の流れにのっている。
ズレているわけが無い。
もうくだまきジジイのようになってしまう。


私ったら長年服飾の仕事に携わっていたのに、流行が嫌だなんて。
Bioに「三度の飯よりファッションが好き!」なんて到底書ける人じゃなかった。


ブスのくせにファッションに逃げているようでなんか違うの波が押し寄せる。
金さえあれば変身できちゃう。なんか違う気がするのだ。

風呂に入る前にふと鏡を見た時の何も着ていない自分とのギャップがあまりにも辛い時、考えてみたらちょうど苦労していた時代だった。
一番酷い時で、食事と言えば指に唾をつけてふりかけを舐めていたころ。
ゆっくり、どの指で舐めたら美味いかとかやんだよ、何指が美味いと思う?

親指を赤ちゃんのおしゃぶりスタイルで舐めると美味かったね!
美味くて減りが早くなるから結局小指か薬指で抑えていたね。
貧乏って楽しいね。

社割で買ったブランドものの服を着てさ、このちぐはぐさ。
受け入れられないけどやむなくと言ったところ。華やかな表舞台でオシャレなショップ店員は、家ではふりかけ舐めてるよ。

顔立ちや化粧や身なりではなく、己から発する垢抜けたキラキラとかそういうのが伴っていないそのギャップに薄々気づいていた。

自分のこうなりたい顔というのは2Dのものではなく4Dなのだ。


真剣に整形したいと思い悩んだ時期があった。ぱっつぱつの顔に腫れぼったい奥二重、団子っ鼻のニキビヅラ。
こんなに嫌なものが四六時中自分に付いてるなんて、どうしても許せなかった。

親が違っていたことを知りぱっちり二重は諦めた。
あとは食事の摂り方、ホルモンバランスの改善で少しづつ変化していく。
だんだんとそれまでの死にたくなるほどの深刻さは和らいでいった。

同級生が何日か姿を見せず、やっと登校したと思えば隠しきれない瞼に手術跡。
プチ整形したと知った周りの「ずるい」という妬みやうわべのよいしょをみていたら、こんなに後ろ指さされて怖い。
SNSのなかった時代に、直接耳に届くクソリプに私は到底耐えられるはずなどなく。

うむ……私は整形はいいわな♪と顔面偏差値の苦しみは思春期の一過性なのだと落ち着いたわけだが。

未だに自分に自信を持てない。
アラフォーだというのに。

自信が持てる根拠がまずない。

何者か分からない人に私が何者であるか敢えて主張する必要はないと、認められたい欲求は手放した。

すると気持ちが楽になった気がする。

けれどもこうしてクリアリングされていくとまずい事に気づいた。
色んなものから解き放たれた今、とても心がブス。

己のギャップに苦しみ美学を曲げると荒むのだ。

裸ん坊になって顔もスッピンになったら、心のブスが際立つ際立つ。年齢も出てくる。


悩みを抱えて何かに取り憑かれているうちが余計なことに目がいかなくていいのかもしれないと思った。


数十年見た目と中身の整合性をとるべく自分探しの迷い子をしてきても、思っていた自分ではないからこうして気に入らないのだろう。

すさみ、ひねくれに拍車がかかる。

仲のいい友人となら素を出しても笑えたり叱ってくれるのだけど、一人でいる時の方が辛い。

飾ったり、協調性やコミュニケーション能力にある自分をよく見せようとする必要が無いとき際立つ。
まず自分をよく見せようと思わないというのが意味がわからないと言われたことがある。
知らず知らずのうちにONとOFFを使い分けていたというのか。

どんなに褒められてもまともに受けない自分を感じる。それがブスなのだ。可愛げがない。

ただ、のぼせるのが怖い。
現状維持は緩やかな下降と、誰かが言った。

毎日このキャンバスにメイクを施し世間様に晒す私の作品。
季節や流行りで少しアレンジを効かせる。

流行りを追うと、なんだか落ち着く。
なんということだろう、一周まわって落ち着いてきてしまった。

歳のせいかいぶし銀もまとってきている。
この斜に構え、笑顔できついことを言ってしまう部分は三つ子の魂百までってやつなのかもしれないと。「あ、出ちゃった」というシーンも少なくない。冒頭で言ったブスな部分。

認めたくなかったがこいつだけは揺るがない、コアなのかもしれない。
そして分かった。
若かった時の失った時間。
若さに嫉妬している。

なんだか至極ごめんなさい。

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