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キャリアはバイオリズミックに考える

こんにちは、とあるデジタルエージェンシーでディレクターをしています。

少し前になりますが、新卒入社組が長い研修から正式配属され、僕のチームにもやってきました。毎年この新卒メンバーの長い仕事人生においての、第一歩目がここなんだな、と軽いプレッシャーを感じつつも、どう成長していくのかが楽しみです。

時代によってそれぞれが考えるキャリアっておそらく違うと思うのですが、いつの時代も同じなのが社会人となるとこれまでは教えてもらうことが多かった立場から、何かを世間に対して提供しないと対価が返ってこないようになる、という自身の社会的立場の変化の体験をするタイミングが来ることかなと思います。

つまりどんな職業であっても、新卒であれベテランであれ、消費者はその企業体、組織体から提供されるサービスに対して対価を渡すわけなので、否応なくプロとしての目を向けられるわけです。

この大きく違う変化が、毎回若手はわかっていつつも戸惑うのですが、その第一歩目を将来何十年と続くこの社会人生活の『全ての評価』、と感じてしまう人がごくたまにいまして、最初にできないことで(あたりまえです!)、自分は全く価値がないのではないかと落ち込んでしまったりします。
そこはどんな人でも必ず通る道なので安心して欲しいなと思って見守っています。少しずつ経験してできる事を増やしていってほしいなと。焦らずじっくり。

天才でも最初からできる人はいない

人間は経験で成長する生き物です。多くの人は生まれて、立てるようになって、言葉を覚えて、たくさん遊んでそこから学んで成長してきます。経験をしていくことでやり方や感覚を覚えて成長していくのですが、そもそもその経験をしてみようと思うために必要なのが、興味が湧くことやそのきっかけの遊びです。

やはり人は面白そうと思ったことじゃないと一歩踏み出してみようと思わないし、一歩踏み出さないと経験ができません。そしてその興味というものは自分が置かれている状況やライフステージで変わるため、一人一人のタイミングというものがあります。

先日ベイジの枌谷さんがTwitterで言われていたことが、とても参考になりました。

ここにはあくまでも「やりたい仕事」が最初から目の前にあるケースは多くないから、「やりたい仕事」が目の前にあって機会があるのならば挑戦した方がいいという補足もあった上でですが、この中で出ていた言葉で印象的なのが、若い頃のやりたいことは想像の域なので、思い違いも多く、きちんと捉えられていない可能性がある、とあります。このあたりがこの歳になると、うん、そうだよなと腹の底から思えます。

キャリアに影響のある検討軸はこんな感じかな

ではどんなポイントが人の仕事に対する考え方の影響があるのかを改めて考えてみました。ざっと思いつくのは以下かなと思います。

1. Physically:年齢や身体的な対応可能領域。
2. Like/Love:何故か気になる興味が湧くこと。
3. Cool:何かのきっかけで煌びやかに見えた仕事。
4. Economical:経済合理性があること。
5. Step up:経験値による次なるステップとなる興味。
6. Succeed:世襲や意志的なバトンを繋ぐ仕事。
7. Sociality:社会的に必要とされること。

特に順番があってという意味ではないのですが、上の方がよりプリミティブな感覚かと思います。大抵が1〜4まででまずは学生がたどり着くところになるのですが、4と5の隔たりというのが大きくて、それが冒頭に述べていた新卒入社後の最初の壁だと思っています。経験してないので視野が広げようがないんですね。

あとは起業家はハナから2と4を組み合わせて起業するケースと、5まで積み上げて起業するケースと、7のように何かのきっかけで社会的に自身が貢献できることを見つけ、それが2、3のモチベーションとしてなって起業する、などがあると思います。

キャリアは人それぞれですが、例えば4の経済合理性でいうと、儲かる仕事や効率のいい仕事を選ぶも然り、儲けだけではなくて、自分の能力やペースでできること、というのも経済合理性には含まれ、そこを追求していく人もいます。

この軸はその人のその時の状況によって移っていくものであり、マネジメントはそこを考えないと、本質的にその人についてのマネジメントはできないんじゃないかなーと思います。得てして本人はその渦中にいるため、どうして自分がその気持ちになっているのかに気づかないケースが多く、しっかりと自己分析ができている人は比較的少ないように思えます。

人は体感して理解する

人はやらなきゃわからないんですよね。体験することで腹落ちするし、味わうことで人生を知ることになる。手が届くところにこれまで経験したことが無いことが現れれば大抵の人は手を出すはずです。ちょっとしたお金を貰えば、今まで使ったことがないようなお金の使い方をしてみようと思うし、行ったことのない場所に行ってみたくなるし、食べたことのない美味しいものを食べるでしょう。

生活が変われば会ったことのない人とも会って、インスピレーションをもらうでしょうし、知らなかった世界を知って興味が湧く、ハマるということも多々ある。その体験を経て人に何かを話してみたくなることもあるので、たくさんの体験で人生の豊かさが変わります。
年長者が持つアドバンテージというのはそういった経験値を多く積んでいるので、語る言葉が実感値をもって伝えられるのでパワーがあるんだと思います。
※たまに間違って解釈してしまってバイアスがハンパないケースなどもありますが。。。

そして一通り経験を積み、周りからもある一定の評価を受けた段階で徐々に自己実現という自分にとってのこだわりの領域に入っていきます。逆にいうと物凄く早い段階で一通りの経験値+ある一定の評価、があるとそこから先は自己実現のこだわりモードになっていけるので余裕が生まれますね。

見聞を広めることがそのステップを短縮するための方法

もう相当昔ですが、高城剛氏が『アイディアは移動距離に比例する』という事を言っていました。それからも高城氏の影響を受けた人や、他の人が様々な角度、書籍などでもすぐに行動せよという話だったり、シリコンバレーでもリーンにスタートアップすべし、などの潮流になっていっています。

重い腰をあげていろんなところに行き、経験し、すぐに物事スタートする事で、ショートカットしてたくさんの見聞を広げる(時には年長者よりも)。それが早い段階での人生こだわりモードにもっていけるための手段なんですよね。インプット量も増えるので自然とアウトプット量も増える。
キャリア版の東方見聞録を自分の中で作っていく感覚で挑むと面白いと思います。

ちなみにマルコポーロは兄弟で17歳の時にヴェネツィアからアジアへの旅に出発し、24年後に帰還。その後志願兵として従軍した後に交戦していたジェノヴァ軍に囚われの身になって、投獄されていた時の囚人仲間のピサという人に口述していた話をベースに、このピサという人が他の人から聞いた別の話や、適当に逸話を付け加えた内容が東方見聞録になったそうです。なんともいえない不可思議な雰囲気の書物になっているのはそういうフィクション的な編集が入っていたからなのかもですね。

話を戻すと、そういった長い旅路に出るにあたっては、やはり良い時もあれば悪い時もあるでしょう。人間にはバイオリズムがあるので、そういう波の中でも如何に知見を溜め続けられるように、自分のコンディションを持っていくか、悪い時にどううまく休めるかなどのリズムを大切に、キャリアを作ることが大切です。

そういうリズムをとりながらのインプット方法についてはまたの機会に書いてみようと思います。


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