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GDP がドイツに抜かれる理由を考えてみる①

名目GDPではアメリカ、中国に次ぐ世界第3位の経済大国である日本であるが、その順位がまたひとつ後退するのではないかという予想が出た。

IMF国際通貨基金によると、日本におけるドル建て2023年の名目GDPはドイツに追い越され、世界4位に後退することが予想された。

今回はそのなぜこのタイミングでドイツと順位が入れ替わる事になったのか、その理由を考察していきたい。

はじめに名目GDPがドル建てであることに留意したい。ユーロ圏はアメリカのインフレに同調する形で、利上げに踏み切る一方で日本は金融緩和政策の維持により、欧米との金利差が拡大。対ドル建てだけでなくユーロ建においても円安が進行した。

IMFの予想によると、日本における2023年の予想GDPは4兆2308億ドルであるが、仮に1ドル110円で換算した場合、約5兆7500億ドルとなる。

さて為替変動の前提をおいたうえで、他の要因についても考えていこうと思うが、それにあたりGDPの定義ついて確認したい。

GDP = 消費+投資活動+政府支出+輸出-輸入
によって決定するとされている

ここにインフレ率が考慮されたものが実質GDPである。

まず前提となるインフレ率であるが、2016年からの
ドイツにおけるインフレ率をみてみると、概ね1.5%前後で推移しているが、コロナ後は2021年に3.1%、2022年に6.9%大幅に上昇している。

一方で日本のインフレ率は、1%未満で低調に推移しておりコロナ後の2021年に2.5%、2022年に3.2%とドイツのそれに比べると低い。

また、GDPの指標の消費の項目においては、人口動態が重要になってくるが、人口減少の進む日本においては消費額減少の要因のひとつであるといえる。

日本の人口は2016年に1億2千700万人いたものの、2022年には1億2560万人と140万人減少。一方のドイツは2016年は8235万人であったのに対して、2022年は8390万人と155万人増加している。

例えば1人あたりの消費額が年間30,000ドルで仮に変化しなかったとしても、約885億ドルの差が生じることになる。

さて、ここまでの為替と人口動態の観点だけでも、日本とドイツの名目GDPが逆転する予定である理由が十分に説明できると思う。

しかしこの指標だけで、本当に日本経済がドイツよりも弱くなったと断定できるのだろうか。次回以降その他の指標にも目を向けて、紐解いていきたい。



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