子供が意欲を持って成長するために、親の声かけが果たす役割
子供のやる気を引き出す親の声かけ
親が子供を褒め, 子供の野心を満たすような言葉をかけることで, 子供は前向きになりもっと頑張るようになる. 子供が不安な時には「パパ(ママ)がついているから大丈夫だよ」と励ますことで, 子供は「パパ(ママ)がついているから僕は大丈夫なんだ, 強いんだ」と自信を持つようになる.
子供の野心を育てる親の声かけ
精神分析学者で, 自己心理学の創始者でもあるハインツ・コフートは, 親によって子供の心に「野心の極」が形成されると述べている. 赤ちゃんが初めて歩いた時, 両親が「すごい!よくできたね!」と言って喜び褒めることで, 赤ちゃんはもっと褒められたいと思い, 次々と新しいことに挑戦するようになるそうだ. こうした親の反応が子供の野心を育てるのである.
褒めることと力強さを示すことの重要性
親なら, 子供が学校で何かうまくいかなかったことがあったり, いじめられて帰ってきた時など, は不安な気持ちになる. そんな時には, 褒めることよりも「パパ(ママ)がついているから大丈夫だよ」と安心感を与えることが大切だ. これによって子供は「パパ(ママ)がいるから僕も強くなれる」と感じ, 自信を持って生きる方向性を見出すようになる.
子供を無視することの影響
コフートは, 叱ることについてあまり触れていないが, 親が子供の行動を反映する「鏡」であるならば, 悪いことをした時にはきちんと叱ることが必要だ. 子供にとって一番辛いのは, 信頼している親から無視されること. 故意に無視することは, 時に虐待行為と同等になることがる. 大袈裟かもしれないが, 何をしても褒められず無視され続けると, 最悪の場合, 愛着障害につながってしまう可能性がある. 子供にとっては, 叱られたり批判されたりするほうが, 実は無視されるよりもずっとましに思えるのだ.
オペラント条件づけによる賞と罰の体系
心理学の行動療法に, 良い行動を褒め, 悪い行動を罰するオペラント条件づけという考え方がある. これにより, 人間の行動を望ましい方向に向けることができという. しかしそこで親が賞と罰を間違えると, 子供は混乱する. 成績が悪い時や, 友だちと喧嘩して帰ってきた時に, 過度に優しくするなどは実は逆効果なのだ.
反省度合いを見極める
子供が反省している様子があれば, 成績が悪くても, 喧嘩の原因が自分の子供にあったとしても, 叱るべきではない. しかし, 反省していない場合には, 当たり前に思えるだろうが, きちんと叱る必要がある. ただし, 叱るだけでは意味がない. 子供自身に, 何がいけなかったのか(例えば, ゲームをする時間が長かったり, 相手を思いやる努力が足りなかったり)を考えさせてから, 「次は頑張ろう」と励ますことが大切なのだ.
正直さを評価する
また, 子供が正直に打ち明けた時には, どんなに不愉快なことでも, グッと堪えて褒めるべきだ. 正直に打ち明けることができるだけでも, その子の今後にとってはとても良いことだからである. さらに, 正直に話すことができる家庭環境を作ることで, ウソをつくことの不安やストレスから子供自身が解放されるのである.
子供が他人に対して「あの子は馬鹿だ」と言う理由
子供が他の子をバカにするのは, 自己評価を高めたい場合が多い. 要するに, 褒められたいのだ. この場合, 親は子供の承認欲求を満たすと同時に, 社会的なルールも教える必要がある. 子供の気持ちを理解しながらも, 他人を尊重することを伝えることが重要である.
親としての基本パターン
それぞれの家庭によって教育方針や子供に対する考え方は異なるが, 親としての基本は, 愛情を持って子供を褒めること, というとてもシンプリなことである. 子供が不安になった時には, 力強い親の存在を示す. これが, 子供を健全に育てるための基本パターンである.