シャドーイングのメリット

こんにちは。英語講師Taigaです。
今回は英語学習法の中でも有名な「シャドーイング」
を行うメリットを解説します。

シャドーイングとは?

シャドーイングは耳で聞いた音声を、少し遅れて繰り返す練習です。
イメージとしてはカエルの歌の輪唱です。
文字を見ながら行う「パラレルリーディング」や文単位で一度止めて行う「リピーティング」など様々な形、段階があります。

シャドーイングのメリット

メリットは、英語の能力に広く効果を持つ事です。

では具体的にシャドーイングが英語の各能力や知識を
それぞれどれほど促進するかをまとめます。

スピーキング:⭐️⭐️⭐️
リスニング:⭐️⭐️⭐️⭐️
ライティング:⭐️
リーディング:⭐️⭐️
文法:⭐️
語彙:⭐️

こまかく見るとシャドーイングのコンテンツや
具体的な方法によっても変わります。
また、スピーキングの中にも発音・流暢さ・正確さ・複雑さ
など複数の側面があるので、これはあくまでも大まかな評価です。

しかし大まかには、リスニング>スピーキング>リーディング>その他といった順序で大きな影響があると考えられます。順に解説します。

リスニングへの影響

1、声に出す事でその音を知覚出来るようになる

「音声知覚の運動理論」によると、自分で正確に発音できない
音は正確には聞き取る事が出来ません。
脳科学で実証されているのですが、人間が音を聞く時、
音を処理する脳の領域だけでなく、音を発する時に動く領域も運動している事が分かっています。つまり、発音できるかどうかが聞き取れるかどうかに
関係するという事です。

2、繰り返す内にパターンで覚える事が出来る。

人間は母国語を習得する時、明示的にリスニングを鍛えた訳ではなく
たくさんの音に触れる内に習得していきます。
これに似ている環境をシャドーイングでは作り出す事が出来ます。
何度も英語の音声に触れる内に、英語の音声のパターン(例:音の繋がりやイントネーション)を処理する事に慣れていくのです。

3、聞かなければ真似出来ないので集中力が鍛えられる。

シャドーイングでは文字を見ずに、耳で聞いた情報を元に英語を真似して発声しなければいけません。
(もちろんレベルや教材への慣れに合わせて、あえて文字を見ながら
行う事もありますが、最終的には文字を見ずに行うべきでしょう。)
よって、真似して発声するために嫌でも集中して聞こうとします。

母国語では気を抜いていても多くの場合は聞き取れますが、外国語でのリスニングでは、集中して聞く必要があります。慣れるまでは特にです。そのためシャドーイングで音声への集中力を鍛える事が活きます。

また、集中する事で他の面での学習効果も大きくなる事が見込まれます。

スピーキングへの影響

1、調音の質が向上する

発話は大きく分けて
・言語化:伝えたい事に基づいて文を組み立てるフェーズ
・調音:実際に音声として発話するフェーズ
に分かれますがシャドーイングでは通常、調音が鍛えられます。

具体的には英語音声を真似する事でイントネーション、アクセントの強弱、単語それぞれの発音、音の繋がりや変化の技術が向上します。
日本語と英語では音声の仕組みが大きく異なるため、日本語の影響によるクセを最小限にし、出来るだけ自然に話せるようになるためにシャドーイングは効果的と言えるでしょう。

2、流暢さが向上する

シャドーイングは言語の処理の速度を上げるため、流暢に話す能力に結びつきます。実際にシャドーイングを繰り返すほど発話時間が短くなっていっていた研究結果も出ています。

リーディングへの影響

先述の通り、シャドーイングをすると言語の処理の速度が上がります。そのため文字情報を解読する速度も上がるため、理解度は語彙力等に依存しますが、読むスピードに関してはシャドーイングで向上させる事が可能です。

また、なぞり読みの実験で、シャドーイングをしたグループがリスニングをしたグループに比べて黙読時の内的発音が速くなっていたことが分かっています。内的発音とは、文章を読む時に声には出さずに頭の中で発音する事です。これが速いという事は読むスピードが速いという事です。

その他への影響

1、語彙

語彙習得は主に意図的学習と偶発的学習に分かれます。単語帳などで語彙を学ぼうとして学ぶのが前者で、テレビドラマや会話といった別の目的で行う活動を通して、副産物として学ばれるのが後者です。

シャドーイングでは、教材に使われている語彙の説明をするなどの工夫をしない限りは語彙の意図的学習は起きません。そのため可能性があるとしたら、何度もシャドーイングをする間に初めての単語も知らぬ間に覚える、つまり偶発的学習として学ばれる事です。

2、文法

語彙と同じく、文中の文法の説明をするなどの工夫をしない限りは文法は意図的には習得されません。しかし何度も繰り返す内に文を丸々覚えてしまい、パターンとして文法が偶然学ばれる事はあると思います。

3、ライティング

シャドーイングではスペルに焦点が当たらない上、伝えたい事を1から英語にする練習は通常含まれないので、ライティングへの影響は少ないと言えます。しかし単語や文法をシャドーイングを通して偶発的に学習した場合には多少の効果が出るかもしれません。

以上がシャドーイングの主なメリット=効果です。
次回はシャドーイングの具体的な実施方法や教材の選び方を説明します。


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