小説鍛錬サイト『作家でごはん』に投稿してみたらやばかった

作家でご飯とは

『作家でごはん』。それは、小説家志望ばかりでなく、趣味で小説を書く人や、あるいは上手な文章を書けるようになりたい、というような様々な人たちが集まるサイトです。
 彼らが集まるのは、その中でも『鍛錬場』と呼ばれるところです。そこに小説を投稿し、目の肥えた人たちや、初心者など、様々な人たちからコメントをもらうのです。
 鍛錬場のルールはいたってシンプルです。

・小説の文字数制限は四万字以内。どんなに短くてもオッケー(詩でも俳句でも可)

・二週間に一度だけ投稿することができる。

・一週間、寄せられたコメントに対してお礼を言う。

投稿してみたら

 それで、僕は投稿してみたわけです。無料で批評してもらえる(プロの添削を受けようと思ったら5000円以上はかかるらしい)し、同志の集まる場所でもあるので、そういった人たちの意見が聞けたらいいな、という思いがありました。
 こっぴどくけなされたらどうしよう、という気持ちと、結構うまく書けてるし案外褒められるかもしれない、という気持ちの両方がありました。感想が来るまでは、ドキドキワクワクしながら待っていました。
 そしたら、案外はやく感想がつきました。その日の夕方くらいにはもう、一個目の感想をいただけたような気がします。

届いた感想は・・・・・・

『ラストがなんか物足りない』

 実際に書いてあったものとは多少変えてあります。作品名も明かすつもりはないです。とはいえ、多少の説明はするつもりです。
 作品のラストが、主人公の裏切られたところで終わってしまっていたんですよね。中途半端なところで終わってしまったがゆえに、こういう指摘がされたのだと思われます。
 ただ、感想を読んだそのときは、どういうことだろう、ってかんじでした。うまくかみ砕けなくて、頭の中は?でいっぱいでした。
 それより問題なのは、なんてお礼を言えばいいかってことでした。他の人のコメント欄を見て、どうやってるんだろうって調べました。
 結局、『○○さん、コメントありがとうございます』あたりが妥当だろう、と思いましたので、文章の頭でそういう風に書き、そのあとで、言い訳ともなんともつかないものなどいろいろと付け加えて、ちゃんと受け取って考えましたよアピールをしていました。
 感想の正解、などというものはさすがになかったので、あれでよかったのかは、今でも疑問です。

 ほかにもいろいろな感想がいただけました。

・主人公の行動に違和感がある(かっとうや、問題の解決が見られない)

・序盤で女だとわかりにくい(容姿やセリフでキャラづけできていなかった)
 
・ラストの情報が少ない

・ラストの先を書かないことで、読者に考える余地を与えている(褒められてはいるが、意識してやっていないのでノーカン)

・ラストで読者に何かを与える前に終わってしまっている

見透かされすぎててやばかった

 僕のやってたことが全部、見透かされてるんですよ。
 僕が書いたときに、怠ったことが二つあります。一つは、プロットを作らなかったこと、もう一つはキャラクター設定をしなかったこと。
 小説を書いてる人たちからすると、ありえないと思われるでしょう。今でこそ信じられませんが、当時はそんな風にやっていました。
 当然、だめです。ラストを何も考えてないから、徐々にぐだついてきて、最後はぐだぐだのまま終わることになってしまいます。そして、キャラクターシート(キャラの履歴書みたいなもの)を書いてないから、キャラクターの行動原理に違和感が出てくるわけです。
 それをやはり、感想をくれた方々は見逃さなかったわけです。『作家でごはん』には、目の肥えていて鋭い意見をくれる人たちがいらっしゃいます。

読むのも大事な鍛錬

 ごはん初心者ながら、このサイトの礼儀なのだろうと思って他の人が書いた作品に感想を書いたりもしました。
 そうやって感想を書いていくなかで、人の作品を読んで感想を書くという行為が、意外と自分の学びにつながるということを知りました。
 人の作品を読んでいると、悪いところってわりと見つかります。序盤のつかみがいまいちだな、とか、ここが読みにくいな、とか。でも、その悪いところって、大体、自分もできてないんですよね。
 どこをどう直せば面白くなるか、っていうのはプロでないとわからないことが多いです。そこは勉強をしないとだめだと思います。
 でもつまらないか面白いかぐらいだったら、素人でもわかるのです。料理のうまいまずいだけなら、素人でもわかるのと似たようなものだと思います。
 自分の作品だとついつい甘めに見ちゃうけど、他人の作品だったらそうなりません。そういう意味で、人の作品を見るのは結構、役に立ちました。
 あと、『読み専』といって、読むだけの人もいます。自分で作品を投稿していないからといって、読む権利がないということは決してありません。編集者を志望していて添削の練習をしたい、という方でもコメントするのはありです。コメントを一つでも多くもらえたほうが書いた側も喜ぶでしょう。

やっぱりヤバい人もいる

 これは否定できないです。でも、それはどのSNSも抱える問題ではあると思います。作家でごはんは、近所の公園みたいなものです。公園には、子供が遊びに来るのはもちろんそうですが、ロリコンが公園に散歩に来るのを止めることもできないですよね。同じように、あのサイトにやばいやつが来ても止めるのは難しいのです。
 だから、投稿した作品に、変なコメントがついて不快な思いをすることはない、とは言い切れません。
 たまにコメントでそういう人に絡まれることもあるかもしれません。そういうことがあったら、とりあえずお礼だけコメントしてスルー決め込みましょう。
 批評とか関係なく、人格否定してきたりとか、悪口とか暴言言ってきたりとかする人は基本的にやばい人だと思うので、スルーしましょう。
 でも、そういう人たちって、あなたのことがうらやましいから絡んでくるんです。明らかに自分より下だって人に、わざわざ悪口言ったりしませんからね。だから、こちらからは何もせず、あまりマイナスにとらえないようにしてください。つらかったら、普通にサイトに行くのをやめればいいんです。

作家でごはんというサイトは、一度は利用するべき

 近所に小説スクールがある、という場合は話が別です。多少お金をかけてでもそういうところに行ったほうがいいです。身に着くものが全然違います。プロに見てもらった方が圧倒的にいいです。
 とはいえ、そういうのって東京にばっかりあって、田舎には全然ないんですよね。今は通信講座もありますから、もちろんそれは利用するべきだと思います。
 ただ、それだと生身の同志に会いにくいんですよね。わざわざ一時間以上かけて東京に行って、小説家志望同士で集まって、カラオケで夢を語り合って解散、というのも楽しいですけど大変ですよね。
 その点、ネットで意見を交わすだけならかなり楽です。なにより、家から一歩も出なくていいのはありがたいです。
 小説投稿サイト自体は数多くあります。しかし『小説家になろう』などのサイトの場合、コメントがつくのはほとんど、面白い小説ばかり。つまらない小説は無視一択という、世知辛い世界です。
 その点、どんなものを持ってきたとしてもある程度、真摯に向き合ってくれる人たちがいるのが、『作家でごはん』というサイトです。そういう意味では来る意味があるのではないかと思われます。

作家でごはんを上手に利用するコツ

最後に、独断と偏見でもって作家でごはんを利用していくなかでトラブルに巻き込まれないようにする方法をいくつか並べておきます。

・個人情報を出さない
「高校生です」とか書いちゃう人や、年齢を尋ねてくる人などがいたりしますが、書かないでください。トラブルになるリスクがあります。

・論破しない、反論しない
間違っているように思える指摘や、暴言が来ることはあります。でも、戦おうとしないでください。ディベート対決ではないので、戦いに勝っても、「ヤバイやつ」という称号しか勝ち取れませんし、サイトにいづらくなります。

・柔らかく、優しい言葉遣いでコメントする
優しい言葉遣いには、優しい言葉遣いで返してくれる人がほとんどです。
「駄作だな」とか言うよりも、「いまひとつ、面白みが欠けていたように思います」のほうが、全体的に丸く収まります。


 それではさようなら。よい小説ライフを!


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