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【大人の読書感想文】今の自分から見える世界をつづる②〜パチンコ ミン・ジン・リー〜

みなさんこんにちは
人道支援家のTaichiroSatoです。

僕の中でも読みたかった本ランキングNo.1 

ミン・ジン・リー著 「パチンコ」。
ついに読めました。

まず、はじめに。
皆さん、是非、読んでみてください。

中古でもなかなかいい値段がする本ですが、
もしかしたら皆さんの知らなかった世界、著者である彼女の見た聞いた世界に、その時代に生きた彼女たち彼たちの世界に触れることができるのではないかと思います。

前回に引き続き、人道支援家として色々な国で色々な経験をしてきた 今の自分 が感じたままの
【大人の読書感想文】を書き綴って行きたいと思います。
この本の内容に関しては、皆さんにぜひ読んでいただきたいので今回も極力触れずに、こんなふうに考える人もいるのだなー、と読んでいただけると嬉しく思います。

------ ミン・ジン・リー著 「パチンコ」を読んで-------

人生は侮辱と不公平に満ちている。

なんと力強い言葉か。
これが1910年から始まるこの物語の中に出てくる、
在日コリアンと呼ばれた人たちの内側から出てきた言葉なのだ。(本書でも在日コリアンという言葉を使用していて、個人的にはこの言葉は好きではないが、共通理解/認識のため数回ほど使用させてもらうこととする)

1910年 釜山。
物語は、ここから始まる。

大韓帝国と大日本帝国。
激動の時代を生きる。
衣食住がままならず、食べるため、生きるために働く。

ときは流れ、時代は移り変わり、住む場所が変わり、次の世代へとバトンは受け継がれていく。

しかし、時代は流れても、どこへ行っても、

朝鮮の血が流れていること。

この事実は普遍的であり、これによって、社会から次々とぶつけられる理不尽と不平等。
それを支える信仰と家族の絆。
そしてそこに見え隠れする単純ではない人間関係。

在日コリアン一家の4世代に渡る年代記が、まるで映画を見ているかのように文字として描かれ、そこには、
異国での暮らし、朝鮮人に対する理不尽と偏見、日本と韓国の歴史と戦争。
その中で暮らす人たちが直面した当時の国際金融、大阪東京の不動産事情や、表にならない社会の組織、娼婦、慰安婦リクルート、キリスト教に至るまでリアルに描かてれいる。

朝鮮の血筋であるというだけで、何世代も続く世の中の不平等と職業選択の限界。彼らの近くにある社会の闇とキーワードとなるパチンコの存在。

パチンコ上下という本2冊にも及ぶ世代を超えたストーリーをただの過去の話として片付けることは僕には決してできなかった。

朝鮮の地すら知らない、日本で生まれ育った3世〜4世の在日コリアンが今も抱える問題。
名字から見える歴史と苦悩。
日本しか知らない3世4世の彼らが持つ韓国のパスポート。
彼らのアイデンティティとは一体なんなのか。

血統が示す民族と彼らの祖先がいう祖国。
その場所以外で生まれ育った彼らにとっての故郷が日本であり、彼らにとっての母国とはいったいなんなのか。
アメリカでは、〇〇系アメリカ人という表現があるか、
朝鮮系日本人という表現はなく、未だに彼らは在日コリアン(日本に滞在している朝鮮人)なのである。

いつまで立っても、彼らが日本人になることはできない。
けど、韓国に行けば日本人扱いをされる。
居場所のない彼らにとって、朝鮮の血筋があることを隠し、
皆と同じ 月並みであること を目指す。
しかしそれすらもかなわないという現実が、
僕の心に引っかかりを覚えさせる。


社会の中に残り続ける消えないステレオタイプ(固定概念)、いや、偏見という言葉のほうがしっくりくるだろうか。
日本と韓国の歴史だけではなく、
いつの時代も それ は繰り返され今も世界中にはびこっている。

僕はこの本を読みこうやって文章を書き、戦争犯罪や過去の過ちだと指摘したいのではない。戦争を知らない世代に、戦争に付随した問題の責任はないだろうし、在日と呼ばれている彼らにとって理不尽な社会をここで批判したいわけでもない。

ただ、
過去を知ること、その上で今を誠実に生きること

この力強さと尊さを僕に教えてくれた一冊でだったことは間違いない。


僕のライフコンセプトの一つである、対立のない世界。

宗教や民族。それをリスペクトすることは素晴らしいこと。
しかし、信じるものや血統を守るために、自分たち以外は悪であるかのごとく、対立し、血が流れ、迫害される。
世の中は、なぜこうならなければならないのか、誰が幸せになれるというのだろうかと強い疑問を色々な国での仕事経験からも常々感じている。

大人の読書感想文①僕はイエローでホワイトでちょっとブルーの感想文(←興味のある方はこちら)でも描いたように、移民や国際結婚などナショナリティと言われるものが多様化している。
異国の地に住む、活動する人たちにとって、自分たちのアイデンティティとはなにか、相手のアイデンティティとはなにか、この輪郭をくっきりとさせること自体が難しくなってきているように思う。

各々の国や地域で自分たちは何色と、決まりきった色で別けることができると思っていたもの。
それが、世代を重ね何色にでも混ざりあっていく中で、僕たちは一体何色になろうというのか。

それぞれの持つアイデンティティにたくさんの色が使われるようになって、私達が心地いいと感じる、自分たちかそれ以外なのか、グループでくくることがどんどんと困難になってきている。

〇〇人は悪だ、〇〇人は〇〇だ、など
ナショナリティや宗教、住んでいる場所で、
自分以外の誰かを それ に当てはめ
対立するのではなく、

自分の目の前にいる人の複雑な色使いをじっとみる

そんな自分になれるように。
今より少し、人に優しくなれるように。
自分以外の誰かの為に行動できるように。

皆さんの中で、
あたたかくてやわらかい気持ちが
大切に育っていきますように

過去を知ること
歴史を知ること
それぞれにあるストーリーを知ること

その上で、今を誠実に生きる

力強く時代を生きた「パチンコ」の登場人物たちへのリスペクトと彼らから感じた自分なりのメッセージに感謝し、次はどんな物語が僕を待っているのだろうとワクワクしながら新しい本を手に取る。

本って、いいですね。

※投稿内容は全て個人の見解で、団体を代表する意見ではありません。また、特定の人や組織を否定するような意図は全く含まれていません。

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また次回お会いしましょう。
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Tai

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