セカンドハーフ通信 第7話 食べることの楽しみ

第7話 食べることの楽しみ

私は食べ物については人一倍関心が強い。年を重ねるにしたがって、食べることはますます重要なテーマになってきている。世の中では食べ物好きをグルメというが、私の目指すのは「シンプルなグルメ」だ。

世の中にはいろいろなグルメがあると思う。まずは「成金なグルメ」。これはおいしいものにはお金に糸目をつけないタイプ。しかも人にひけらかすタイプ。お金をかければおいしいものを食べるのは難しくないと思うので、あまり憧れない。

次に「B級グルメ」。うまいものを求めるが、安くて量の多いことが必要。つまり費用対効果が大きいこと。効率を追求する志向はビジネスマン向きかもしれないが、案外味はふつうということも多い。年をとるとそれほど量は食べられないので、これも関心がない。

「シンプルなグルメ」とは、成金グルメとは一線を画する。つまり、必ずしも高級でなくてもよい。むしろ高級であることは必要ない。凝ったものである必要もない。手に入りやすいもので、作り方や素材を偽らず、その道のプロによって丁寧に作られた一品を求める。値段は安くてもかまわない。

和菓子のお団子を例にしてみよう。私の好きなものはマスコミにでてくる有名店のものではない。地方に旅した時に遭遇するような昔ながらのお団子だ。といっても田舎くさいものではなく、十分に吟味されたものを探す。地方の城下町などで、時々はっとするような、垢抜けた、しかもおいしいお団子に遭遇することがある。もちろん確かな素材をつかって丁寧に手作りされた、地元に愛される本物のお団子だ。

その食べ物の由来を知り、素材や作っている人のことを理解しながら味わうことはなによりもの贅沢であり、これぞ食べることの楽しみといえるのではないかと思っている。

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