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創作活動に「資金」を調達したいアーティストたち、苦労するヒトしない人

差がつく理由は、企画内容ではない。
このトピックでは、アーティストが資金に困らない方法を、知ることができる。クリエイターとアーティストたちが、創作に集中する助けになるだろう。

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アーティスト情報局:太一監督
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日本未発表の国際映画業界情報 あるいは、
監督がスタジオから発する生存の記
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『 間違いだらけの企画開発 』

再現性のない自己啓発や精神論は、無視することにしよう。

 「いい企画があるんだけど――」
 「予算が足りなくて――」
 「出資してくれませんか?」

アーティスト本人からそんな話を持ちかけられる機会が多いのだがその度にわたしは、違和感を感じる。

 ・いい企画なら、説明される前から“その気配”は伝わっているはずだ。
 ・予算が足りない、のはそもそもおかしい。予算内で創るのが企画だ。
 ・出資は「“権利”というチャンス」であり、相手が頼んでくるのは矛盾。

アーティストの「企画開発」は、間違いだらけだ。

『 間違いのループ 』

アーティストの多くは、間違えている。
「資金に困るアーティストのループ」を観てみよう。

間違えるアーティストの企画は“通らない”ので常に、資金難にある。
生活に苦慮するアーティストの創作活動は、クオリティが低くなる。
低品質の作品には価値がないために結果、注目されない。
注目されない作品は実績にはならないために、次作の企画は通らない。

このループの中にいる以上、
どれだけ努力しようとも評価はされず、資金は生まれず、良くて現状ままに、アーティスト人生は終わる。

『 資金に困らないのが通常運転 』

一方、「資金に困らない通常運転のループ」を観てみよう。

価値を集める。それは情報であったり、技術や仲間や権利だったりする。
ある日、企画のピースが揃っていることに気付く。
より価値の高いピースと入れ替えるために、広報活動をはじめる。
仲間が集い技術が増えて、情報が更新され続ける毎日に、精査を続ける。
ある日、グリーンライト(企画始動許可)を出す。
企画が、作品になる。
仲間たちが広報していた制作過程から完成後までが、話題になりはじめる。
企画が、注目される。
作品を発表する。価値があつまりはじめる。

気がついただろうか。

「資金」の話が出てこない。それがいわゆる、“いい企画”の通常だ。
では、“資金”とはなんだろうか。後述しようその前に、気付いておかねばならない“ルール”がある。

『 アーティストの責任 』

資金が集まらない企画とは、仲間かマーケットが「創るに値しない」と判断した結果だと理解できるだろう。

それでも「確信」と「覚悟」があるなら、自費で創ればいい。

「確信」では、アーティストの資質が試される。
たしかに誰もが気付かなかった未知なる価値である可能性もあり、アーティストであればこそ、挑むことはとても重要だ。

「覚悟」では、アーティストの本気が試される。
誰の力も借りない、とはつまり可能性を狭めることでもあるわけで、作品にとって利ではない。しかし、覚悟の果ての捨て身の行動こそが“価値”を生んだ事例は多い。アーティストは必ず、備えておくべき手段である。

ただし、

「確信」か「覚悟」のどちらかが無ければ、捨てるべきだ。
握りしめているそれは企画ではなく、無価値な妄言なのだから。
他人のお金や時間を調達しようなど、おこがましい。詐欺行為だ。

『 他人の資金 』

他人の資金をつかう、ということは、
自己破産も放棄する無限責任の果てに、家族も親族も友人知人との関係にも優先して“保証”を契約するということだ。

まさか出資者に損をさせて、人間らしい最低限の日常を生きようなどと、考えてはいないだろう。

出資者に損をさせたなら最低でも、
即日離婚してペットを手放し資産すべてを現金化して補填し、断酒断煙外食厳禁、趣味と休息禁止は当然、以降の生命時間すべてを捧げて償い続けることだ。自死すら無責任な愚挙であり、成仏など許されない。

「いくらなんでも大げさな。笑」

という人がいる。だが、その決意で他人の資金を運用しているアーティストたちを知っているわたしは、笑わない。彼らもきっと、笑わないだろう。

『 資金の使途、間違いがち 』

実はそもそも、「資金」は必要ではない。

「作品をつくるために先ず、お金が必要。」
その固定観念がまず、間違えている。

すると、「わたしは自腹で創ってます」と胸を張る人がいるが、それも違う。非常食のカンパンで生活しているような違和感があり、アーティストのブランドには、評価対象外である。

重要な、「資金の正体」を検証してみよう。
まず、一般的なアーティストを、シミュレートしてみる。

「資金を手にする」→「情報や技術や仲間や必要物を調達する」→「作品を創って収益化する」→「返済する」

どうだろうか。違和感に気付く貴方は、さすがの一流だ。これは“ファンタジー”であり現実には、こんなことはめったに起こらない。
違和感の正体を、暴いてみよう。

この場合の資金は、
企画に必要な情報や技術や仲間や必要物を獲得するために遣われている。

しかし、「必要な情報や技術や仲間」は既に、揃っているはずなのだ。後述すると約束した、「いい企画」についての話だ。いい企画とは、必要な情報や技術や仲間が揃っている企画のことだ。“必要なモノ”も、誰かが提供してくれる。それが、大爆発する新品のMASERATIであっても。これが、いい企画の、いいところだ。

すでにすべてが揃っている企画にはそもそも、資金が必要ない。
最低限必要なものは、誰かが用意してくれるものだ。

『 正しい、資金のつかいかた。 』

だが、資金は重要である。
企画とは、参加者が儲けるための「投資の場」でもあるのだ。

いい企画のなかの“投資チャンス”に魅力を感じて集まってくれている仲間もいるだろうその人は、必要に応じて企画に、“投資”をする。そして企画を成功に導くために貢献して結果、見合う収益を得る。

つまり、資金は「“権利”というチャンス」に投じるための“トークン(象徴)”である。

企画を成立させるのは“資金”ではなく、仲間たち。
企画に集まる資金は、企画に“更なる価値”を与えるために遣われるのだ。
資金が多ければ、さらに企画の価値を高める力になる。資金は重要である。

ここまでは、“仲間たちで持ち寄る資金”の話。
別の、集める方法は無数にある。親に頼む、銀行に魂を握らせる、友人に頼る、恋人にすがる、VC.を口説く、企業にスポンサーを依頼する、神に祈る。

近年では旧来の方法に加えて、新たなムーヴメントも誕生している。

そこで、日本に入っていないニュースをお知らせしておこう。

■ 最新国際ニュース:TokenFunderを介して映画の資金調達を行うGreenlightを取得へ

カナダ拠点の資金調達プラットフォームであるBlockFilm社は、デジタル セキュリティ トークンを用いた安全な資金調達オンライン プラットフォームを通じて、個人投資家とコンテンツ制作者を結びつけることを発表した。同社には、映画プロデューサーのシャーロット ミッキーも所属している。

BlockFilmの共同CEOであるポーリーン クチュールは語る。「ブロックチェーンを利用して個人投資家とコンテンツ制作者を結びつけるデジタル セキュリティ トークンは、不動産などで利用された、かなり新しいものです。“インディーズ映画”では誰もが、資金調達の問題を抱えています。BlockFilmは、個人投資家が資金を預けられる場所を提供し、インディーズ映画制作者に資金を提供することで、情熱的なプロジェクトをより早く完成させることを目的とします。さらに、投資家が撤退したい場合には転売できるというメリットもあります。これは、まったく新しい市場原理。最大の課題は、人々に理解してもらうことです。世界中のコンテンツ制作者は、TokenFunderとの提携による画期的な新プラットフォームを利用することで、自分の作品を発掘して投資してくれる投資家や支援者のグローバルコミュニティとつながることができ、大きなメリットを得ることができます」

BlockFilm社は、プロデューサーが新たな資金調達手段にアクセスしたいという膨大なニーズをサポートするために考案、設計された。CEOのポーリーン クチュールが続ける。

「ブロックチェーンの完全性、安全性、透明性を背景に、私たちはこの業界が何十年にもわたって直面してきた課題に対応します。BlockFilmは、コンテンツ制作者と投資家の両方に、変革をもたらすでしょう」

BlockFilm社のWendy BernfeldとRoseMarie Coutureは、カンヌ国際映画祭に参加する。
 - JUN 23, 2021 VARIETY -

『 ニュースのよみかた: 』

ブロックチェーンの透明性とP2P取引を活用して投資家とクリエイターのマッチングサービスが始まる、という記事。

実にいい。
だが惜しむらくは純粋なマッチングではなく個人投資家からのプール運営が主であり、“マッチング”を謳った亜流の“ファンド組成”に過ぎない。また、コンテンツへの責任を放棄しており、“個人投資家”への責任を果たしているとは言いがたい。インディーズ映画制作者と個人投資家それぞれの、“自己責任”が進化していず、依存型の困窮映画人と無知な投資家の図式しか想定できず結果、発展が想像できない。

わたしは、エントリーすることには興味がない。だがとてもいい考えなので、このプラットフォームを発展させ、本件の問題点をクリアした上で、日本コンテンツ産業にも接続してみることにする。

年内ローンチを試みて、都度報告していく。
プラットフォームの構築に終わらず、独自スキームを活用して「国際映画」を創って証明しようと想う。失敗すればそれも、エンターテインメントとして露出していく。

 『 編集後記:』

そろそろ基礎的な認知をして頂けたような気がしたので、次のステージに進んでみようと想う。明日からここ「アーティスト情報局」の“読了カロリー”を減らしながら、より “アーティストびいき” を深めていこうと想う。
近日、YouTubeとの連動を開始する。Podcastチャネルは、デューデリ中だ。

貢献していくので、フォロー是非。

まだアーティストが日常を発信する戸惑いを感じながら、映画製作の現場へ帰るとしよう。では、また明日。

■ 太一(映画家):アーティスト業界情報局 × 日本未発表の国際映画業界情報 あるいは、 監督がスタジオから発する生存の記