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日本のクリエイターが貧しいのは、“労働者”だからだ

そんなに頑張ってて、成果もあげているのに。
もしもメジャーな他国の業界にいたとしたら、あなたの金融資産は10倍だろう。もっとかもしれない。絵空事ではない。
貴方が、方法を知らないだけだ。方法は簡単。知ればいい。

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太一(映画家):アーティスト業界情報局
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日本未発表の国際映画業界情報 あるいは、
監督がスタジオから発する生存の記
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『 強くて恵まれていて、無知な日本 』

“ IMAX ” の決算が好調だ。パンデミックで受けた壊滅的な大打撃、その前の水準に回復している。劇場再開で興行が大きく後押しした結果だ。作品は、「鬼滅の刃」「シン・エヴァンゲリオン」地域は、中国、韓国、日本。
おいおい、欧米どうなった。

日本は、強い。

日本人のクリエイターは、世界でもっとも恵まれているといえる。
・世界第3位の巨大マーケット
・公用語が“日本語”
・国際メジャーに繋がれる道ができている

どうだろうか。
これだけをみても、日本のクリエイターが貧しいのはおかしいと判るだろう。コンテンツ産業に従事している日本の一般的なクリエイター程度の成果を上げていれば、都内戸建てや1億円くらいの預金はあって当然だ。

なぜ、差が付いているのか。
日本人たちが正しい方法を、知らないだけだ。

『 もう、結論書く。 』

ギャラが安いからだ!という、生きる才能の無い人種のことは忘れよう。

ギャラなんて、“ゼロ” にすべきだ。

極論や、自己啓発を語っているわけではない。これは、成功している各国クリエイター、アーティストたちの常識だ。考えてみて欲しい。世界中で記録をブッ立てているアニメーションスタジオの作画監督たちですら、作品タイトルごとの拘束期間か、カットごとの単価ギャラで生活している。

しかも、安い。安すぎる。
個人もスタジオも潤うわけがないそりゃ、かの「鬼滅の刃」の制作スタジオのufotableの会議室のテーブルのガラスも割れたまま放置される。

 ギャラは、ゼロでいい。
 アーティストは全員「スポンサー」を抱えるべきだ。
 クリエイターたちは仲間たち同士でエージェントを雇い、
 「スポンサー」をつければ解決。それだけだ。

ちゃんと説明してみよう。

『 “スポンサー制度”に慣れろ 』

優秀なデジタルネイティブならもう、投げ銭や有償サポートで、慣れている。それも、小さなスポンサー制度だ。

仕事量ごと、作品ごとにギャラを受け取っているクリエイターたちは、アーティストではない。労働者だ。

アーティストとクリエイターの違いは、スポンサーがいるかどうか、だ。

クリエイターは労働を売り、ギャラを得ている。
一方アーティストは、作品を提供する“言動”に「サポート」を受けて暮らしている。そのサポートしている相手のことを、スポンサーという。

アーティストはスポンサーを背負い、彼らのブランド価値を高めるべく、より質の高い作品を生み、より上級な自身であることを求めて尽力していく。スポンサーはアーティストを支援する代償として、ブランド価値を得る。

クリエイター各位、慣れてしまえ。

スポーツ選手やイベントでも、見慣れているはず。スポンサー制度だ。
政治家だって、スポンサー制度で生活している。あんな安くて使途にがんじがらめな給与で豪邸が建つわけがないこと、考えれば判るだろう。

スポンサーから支援を受けて、ギャラをゼロ円にして、
生活に追われない環境を確立した上で創作活動に没頭してこそ、
貴方らしい、ホンモノの作品が生み出せるのではないだろうか。

『 冷静になれば、見える 』

・世界の最新情報が入らない
・国際マーケットから相手にされていない“消費国家”
・クリエイターの収益が労働対価のみ

これが、日本だ。

コンテンツ産業界の頂点、「アニメーション」ですら、
ローカルのファクトリー化されている。
アニメーターやスタジオが外国のコンテンツ産業から製作を受注する、安工場にされている、ということだ。これは、人気の業界には必ず起きる。

いままではそれを、日本が世界に行ってきた。
しかしもう日本は先進国どころか、発展国でもない。「カモ」に成り下がってしまった。ならばアーティスト。ならばクリエイターたち。貴方たちがゲームチェンジャーになれば良い。個人レベルで生活を変えるだけで、業界は変わる。すでに、それを実行している仲間たちが増え続けている。

冷静になれば、見える。
ギャラを捨てて、スポンサーを探すべきだ。
海外のクリエイターやアーティストはそのレベルから、
より高みを目指している。それが、世界のスタンダードだ。

あぁ、ところで。
まだ日本に入っていないニュースをお知らせしておこう。

■ 最新国際News:Amazon、Prime会員の映画ストリーミング配信数を1億7,500万人以上で前年比70%増と発表


CEOのジェフ・ベゾスは、Amazon Prime会員を2億人以上だと明らかにし、前年比70%以上の増加だと付け加えた。Amazonが視聴者比率を明らかにしたのは、今回が初めてだ。なお、Netflixの全世界の加入者数は約2億400万人、Disney +の加入者数は現在1億人を超えている。CEOのベゾス氏は、同社のストリーミング サービスPrime Videoが10周年を迎え、多くの賞を獲得していることを主張した。また、Webサービスの「AWS」が年間に540億ドル(5兆9,000億円)規模に成長し、成功していることを伝えた。「我々は、Prime VideoとAWSを愛しています。Prime会員の大多数は日常的にAmazonの配信コンテンツを視聴していますそして、“Disney+”は、AWSを活用して、加入者を拡大し続けます」AmazonはPrime Videoのストリーミング事業でNETFLIXやDisney+と競合しているが、それらのバックボーンとなるシステムの構築に貢献していることをアピールした。
 - APRIL 29, 2021 THE Hollywood REPORTER -

『 編集後記:』

ストリーミング活況のニュースだ。
Amazonは“ベゾスPhon”やKindleの“ハード”で、市場を構築できなかった過去がある。ストリーミング事業においても、筆頭ではない。

コンテンツ産業含むいわゆる B to C において、“デザイン”に関するフックは無いようにみえる。しかしながら、ライバルのプラットフォームを支えるストリーミング エコシステム全体をターゲットとし、「AWS」を成功させた功績はデカい。Google、Facebook、Appleを含めても現状、圧勝だと言える。

だからこそ、このニュースには大きな“ミスリード”がある。
もっともデカい、ストリーミングのライバルについて、触れていない。

「HBO Max」だ。

NETFLIX、Disney+と同じく米国のサブスクリプション型ストリーミングサービスだが、このHBO Max、後ろ盾のスケールがヤバいのだ。

ハリウッド最大の映画スタジオ「ワーナー」が運営を管理、
親会社は米国最大手にして、世界ランキング第1位の通信会社コングロマリットの、AT&T。

提携グループには、ユニバーサルピクチャーズ、20世紀スタジオのほか、中国に買収された大手映画製作スタジオのリジェンダリー ピクチャーズ(「ゴジラvsコング」「機動戦士ガンダム」「ダークナイト」「ジュラシック ワールド」等)DCコミックス、TBS、カートゥーン ネットワーク他新作「マトリックス4」から王道ブランド番組シリーズ無数さらに、「スタジオ ジブリ」の配給権も獲得済み。

なんなら、NETFLIXもAmazonも、“HBO Max”に背けばオリジナル作品以外に配信できるキラータイトルを獲得できない状況にある。Disney+がNETFLIXから奪取した“SONY”のタイトル(スパイダーマン等)を獲得し、独自配信のタイトル抱え込みを拡大していることからも、ストリーマーの戦乱は、熾烈を極めている。

観客優先のプラットフォームが安定することを祈りつつ、映画製作の現場へ帰るとしよう。では、また明日。

■ 太一(映画家):アーティスト業界情報局 × 日本未発表の国際映画業界情報 あるいは、 監督がスタジオから発する生存の記