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【 国際メジャーの企画開発 ⑤ 】:欲しいのが「Go!!」なら、常識は無視

わたしなら、「企画書の書き方」や「プレゼンテーションの上達」には興味がない。その企画に「Go!!」を出すことだけが目的だからだ。

自己啓発はいらない。この連載【 国際メジャーの企画開発 】では、勝つための具体だけを提示している。

  第①回では、「企画書というウソ」を解いてみた。
  第②回では、「リスクというチャンス」を確認した。
  第③回では、「集めるお金の正体」を晒してみた。
  第④回では、「価値の最大化」を求めてみた。

  第⑤回ではいよいよ、「企画の創造」を実践してみよう。

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太一(映画家):アーティスト業界情報局
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日本未発表の国際映画業界情報 あるいは、
監督がスタジオから発する生存の記
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『 きれいゴトはいらない 』

真面目に勉強している若者から夢を奪うのは趣味が悪いが、この記事を読んでいる方なら当然一線以上の経験者だと推察して、言葉を選ばないことにしてみる。

業界常識は、99%の業界サラリーマンのための常識である。
無視して良い。
「Go!!」 無くして本気無し、非常識でも勝者がルール。

格好つけても企画書の体裁を整えても世界中の誰と対峙しようとも、相手は人間。ならば正直に、企画の本質だけを伝え遂げれば良い。プレゼン候補は少なくとも3億人居る、通らないことに気落ちするほうが滑稽だ。

“企画創始者”の、「目的」を整理してみよう。

   欲しいのは「Go!!」だけ。
  
企画の本質を伝える。
  
必ず通す。
  
正直に。

これが、「具体の本質」だ。
わたしが何度も立ち会ってきた世界のメジャーも数十億円のプロジェクトも、“この先”に誕生した。そして、企画創始者の言動がどれか一つでも欠いていたならその巨大プロジェクトは、実現していない。
企画以上の企画書や自身以上を装う立ち居振る舞いなんて、相手を騙して金を巻き上げる詐欺師のやり方だとは想わないだろうか。“それ以上”にみせる必要は、一切無い。万が一にもグリーンライトが出た後に、どこかのプロセスできっと揉めるのだから、「ウソをつくな」「演じるな」が鉄則となる。

念のため、「見栄えの良くないプレゼンテーションで、企画が通るのか?」という声に答えておこう。企画が通らなかったのは、合致しなかったから、だ。八百屋で魚は買えない。ひとつには、相手を間違えている可能性がある。ならば、相手を変えれば良い。もうひとつには、その相手と自身の人生哲学の不具合。急遽自身を変えるのは、ただのウソになる。諦めて、相手を変えれば良い。最後に「企画が弱かった」場合、見逃すな。それは最上級に重要な事態であり、確実に、改善すべき部分である。なんならこの時点で、その企画は解体、破棄した方がいい場合も多い。

『 企画が通らない、という最大のチャンス 』

とても重要なことなので、丁寧に書こう。
多くの企画者は、見落としている事態なのだ。

「企画が弱いから」、
文字通りに企画は弱かったとする。それは良くないが既報の通り、企画とはそもそも、“ファーストポジション(企画開発幹部)”のパートナーを集めながら、そのパートナーと共に開発していくものだ。プレゼンテーションの場に掲げられている企画が弱い、それは想定内だしかし、上記の場合だと、プレゼンターの貴方はプレゼンテーションが不発だった状況で、「企画が弱い」と気付いたことになる。

いつ気がついたのか

もしも企画が弱いことに最初から気付いていたなら、貴方は目の前の相手を欺こうとしたことになる。これは、詐欺だ。あり得ない。
では、プレゼンテーションの直後に気付いたなら、貴方は自身の手の中にある企画について、理解が足りていない、ということになる。熟考が足らずそもそも、その企画の開発者として貴方が、相応しくない。企画を破棄するか、企画を残して貴方が去るべきだ。

そして最後に、
“プレゼンテーションの最中”に気付いた場合、だ。

貴方が気付いた、または相手から気付かされた、どちらの場合においてもこれは素晴らしい出逢いを意味している。貴方は今日まで、人生の重要なボリュームを賭して、この企画を育ててきた。それがわずか数十分のプレゼンテーションさなかに、気付きを得たわけだ。貴方が優秀だったのはもちろんだがこの場合、目の前の相手が貴方に気付きを与えるほどの実力者、なのだと推察できる。お判りだろうか。貴方はプレゼンに失敗した。その原因は企画にあり、この空間は、その企画のエラーや不足にたった数十分で気付くことのできる環境だった、ということだ。貴方の目の前にいる相手は、貴方の企画に最重要な、「ファーストポジションに着くパートナー」である可能性が高い。いや、着任して貰うべき人物なのである。

貴方はプレゼンテーションの最中に、気付いた。
その瞬間に営業トークなど投げ捨てて、土下座して頼め。
「知恵を貸してください!
いっしょに企画を育ててください!


不思議なことだが土下座は、全世界に通用する。フィレンツェで出逢った日本人登山家が言っていた。たぶん、事実だ。

『 数字に逃げるな、時間に逃がすな 』

「企画の魅力で左脳を支配し、具体的な前例を証明して右脳を満たせば、相手は動く」的なベストセラーがあると聞いて、恐ろしい国だと想った。そうなのかも知れないが、それは相手から思考を奪う洗脳なのではないか。かつてたった3つのフロアだった当社のアトリエに、最上級のカラーコピー機を2台置いて帰ったCanon営業マンの顔がよぎった。購入から4か月で新車の5シリーズを内装違いに買い換えたことがある。さわらの味噌漬け定食を食べに入ったのに、ジャンバラヤとタンドリーチキンを食べたことがある。テレビの催眠術番組を観ていて指が離れなくなったことがある。わたしはおそらく洗脳されやすい。

“数字”には、納得させる力がある。しかし、多角的な検証技術を武器にすればまた、どうにでもできるのが数字である。“データ分析会社”という職業がある。世界中にある。彼らの業務の中には、「貴社の望むストーリーを数字で証明します!」という魔法がある。

数字を使うべきではない。貴方が目指すほどの人物ならそもそも、数字のマジックに気付いている。それは、説得材料になどならない。

同じことが、「時間」にも言える。
目の前の企画がかけがえのないチャンスなら、握手は瞬時に決まる。「ではまた次回――」「“Let's keep in touch.”(また連絡を取り合いましょう)」そんな機会なら、捨て去ることが正解だ。貴方の時間と心を奪うばかりでありそもそも求めてくれているパートナーではないのだから、企画が可哀想だ。
出資なのか協賛なのか提供なのか協力なのかは場合によるが、

その日に決まらないプレゼンテーションは、
すべて破談だと判断して、破棄。

大丈夫。すぐに慣れる。

『 プレゼン相手の決断を待つな 』

“企画を通す”という言葉が気になる。
企画は、どこを通るというのかおそらく、相手のゲートをくぐって参道を進む、という意味なのだろう。目の前の相手をあがめ奉り、大切な企画をお届けに上がる、という印象を受ける。事実は知らない。調べもしないほどに好きではない言葉だからだが、便利なので使用はする。

「Go!!」を出すのは、貴方だ。

プレゼンテーションで、“お願い”している人を見かける。きっと図々しい人なのだと想って、同じエレベーターの中では息を止めることにしている。

ついに出逢った適任者を、愛する企画の共有する相手つまり“ファーストポジションのパートナー”に専任するためには、胸ぐらを掴んでも“Yes.”を勝ち取るべきだ。テクニックや演出などどうでもいい。

その後、企画開発中は殴り合っても良いと想っている。
訴訟や賠償、絶縁や復讐などは企画のローンチ後、時間ができてからで良い。貴方は目の前の企画のために、生きるのだ。パートナーたちと創りあげる美しい企画、愛する企画が誕生したその時、貴方が「Go!!」を出す。
あぁ、ところで。
まだ日本に入っていないニュースをお知らせしておこう。

■ 最新国際News:NETFLIX最大の挑戦、新作は「黒人の侍」

NETFLIXは2021年、アニメーションで大きな賭KEに出ました。間違いなく、新作アニメ「YASUKE」ほど期待されたタイトルは存在していません。このプロジェクトは、日本の伝説的な“黒人侍の実話”を取り入れている。ついに予告編が公開された。(※以下参照)04月29日にNETFLIXで公開される本作は、日本のアニメーション制作スタジオのMAPPA(「進撃の巨人」「呪術廻戦」など)が手がけている。■あらすじ『舞台は、戦国時代の日本。武器や魔法を駆使した最強の浪人「弥助」は、暴力にまみれた過去を乗り越え、平穏な生活を送ろうとしていた。しかし、とある村が戦国大名の引き起こした混乱に包まれたとき、弥助は剣を手に取る。やがて、闇の力と血に飢えた武将たちの標的となっていた、ある存在に気付く。弥助は、“謎の子供”を運ぶこととになる。』- APRIL 02, 2021 THE PLAYLIST -

『 編集後記:』

当社スタッフが手がけた、新作だ。手前味噌ではあるが、せっかくならばと想いここで先行発表させていただいた次第。アメリカ人が創案したアクションファンタジーだが、日本人アニメーターたちの手による作画は、さすがだ。海外のスタジオがどれだけ尽力してもこの、“日本感”は表現できようがない。以前、ロサンゼルスのユニバーサルスタジオの小道具部屋で、“日本時代劇用具”のコーナーを観たことがある。冗談か、と想うようなラインナップだ。鎧にセットアップされているのは、剣道防具の“面”。刀のつばが、手裏剣。下駄の鼻緒がロープ、侍の着物が“浴衣”という状況で落胆した。むしろこの小道具で撮影した映画を観せてくれ。
日本舞台の作品は、日本部隊に任せるべきである。

ビジネスとクリエイティヴの谷、ただ黙々と生きる映画製作の現場へ帰るとしよう。


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