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「朝日新聞ポッドキャスト」がもたらす意味

メディアにボーダーはない

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ユーザー側からすれば、そんな垣根はとっくに取り払われているが、メディア側からするとそうではなかった。

しかし、いまメディア側はそうとも言っていられなくなった。デジタル戦略に力を入れる日経新聞はとっくに音声コンテンツに力を入れているし、

朝日新聞はこのたび、「朝日新聞ポッドキャスト」なるものを始めた。

NHKでも、ラジオで放送した番組を聴くことができる「聴き逃し」を配信しているが、掲載期間は限られるようだ。

「ポッドキャスト」は、Apple Storeでインストールできるアプリで、iPodと合わせた造語であり、本来的にはAppleの専売特許だが、すでに「音声コンテンツが配信されるプラットフォーム」という意味合いが強まっている。

Googleも2018年、音声コンテンツの配信を行うGoogle Podcastsをリリースした(Podcastはアップルのものだから、複数形にしている)。ニュースコンテンツに限っていれば、クオリティの充実度はPodcastとほぼ同じだ。

今までiPhoneユーザーしか楽しめなかった“定期的に配信される音声コンテンツ"を、Androidユーザーでも楽しめるようになり、一気にこの分野がスケールされるようになった。

ちなみに、筆者はAndroidユーザーなのでGoolgle Podcastsを主に利用しているが(業務用でiPhoneも持っている)、再生速度が1.2倍とか1.5倍とか、Podcastよりも細かく選べるので、使いやすいと思っている。

音声コンテンツが充実するアメリカ

こうした音声コンテンツのトレンドに火をつけたのが、アメリカの犯罪をテーマにしたシリーズ「Serial」だ。

ニュース分野では、New York Timesの「The Daily」が加わり、アメリカ最大級のメディアWall Street Journalも遅ればせながら、昨年から「The Journal」を始め、まさに群雄割拠している。

個人的には、The Journalでは、冒頭のおどろおどろしい音楽とともに始まる、ストーリーの紹介と、「Welcome to The Journal. Our show about money, business and power」というナレーションが好きだ。どんなディープな話を聞かせてくるのかとわくわくする。

アメリカのシンクタンクの調査でも、ポッドキャストの成長が著しく、今後も期待される分野だ。

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もちろん、アメリカは車での通勤時間が長いので、日本にもすぐに当てはまるわけではないが、ワイヤレスイヤホン、スマートスピーカー(いまいち使いづらいが)などのテクノロジーの普及によって、スケールする可能性はさらに広がると思う。

デジタル時代に求められる表現力の豊かさ

映像の力を持つテレビは、ラジオ後のメディア界で黄金時代を謳歌してきたと思う一方で、最近は長編ドキュメンタリー以外はぱっとしない。

特にニュースでは、ジェネラルな情報しか得られない上、一定の年齢層以上向けに作られている気がしてならない。

そこで、「テレビは何の会社か」という問いについて、以下の動画で考えたい。

新型コロナウイルスの感染拡大を抑制しようとするなか、いま各国政府が期待をかけているのが「追跡アプリ」だ。Bluetoothの電波の送受信(GPSを使う国もある)で、濃厚接触の可能性を追跡しようというものだ。

アプリやシステム自体のセキュリティへの懸念や個人のプライバシーの問題など、今後「データ」をどう扱うか、先行事例ともなるものであり、非常の大きなテーマだが、映像的には栄えない。

そこで、活字メディア出身のWall Street Journalは、8ビット動画を作ってわかりやすく説明している。映像がないなら、映像を作れば、映像でも見られるのである。文字で読むよりもわかりやすい。

ないものを工夫する、この表現方法の豊かさこそが、これからのメディアのカギを握ると思う。

最後にもうひとつ。

Voxメディアが、Netflixで配信しているオリジナルシリーズの「Explained」の新型コロナウイルス版が最近公開された。

新型コロナウイルスの感染状況から、ワクチン開発を巡る人間の歴史、そして今後の見通しなどを、30分弱でまとめている。内容的には、1時間サイズのNHKスペシャルを30分で見た気分の情報量だ。

これは果たして、テレビなのかウェブメディアなのか、それとも音声コンテンツ(説明調という点で)なのか、メディアにはすでにボーダーはない。

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