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窓際を取れずに乗った新幹線ときはトンネル出なきゃいいのに

1年前と同じように、「Essential 星野源」のプレイリストをかけながら新幹線に乗った。
そういえば去年は中央線が遅延していて東京駅から乗ると新幹線に乗り遅れそうだから、大宮回りにしていたんだった。

オンラインで買った新幹線のチケットは、週頭に予約しようとした時にはもう窓際が埋まっていた。
ウインタースポーツのシーズンでもなく、連休でもない週末の朝の新幹線。その指定席で綺麗なまでに窓際が埋まっているというのはちょっと作為的なものを感じる。
新幹線停車駅としては小さな駅で降りるので、通路側を迷わず取った。

出かける前日の夜、ポストに入っていた自費出版の歌集を道連れにした。
タンブラーから白湯を飲みながら、イヤフォンから星野源を聴きながら、歌集を読む。
どこかで見たような歌が並んでいて、あるいは伝えたいことが余白なく直球でページから飛んでくる。(にも関わらず、直喩・暗喩が盛り盛りで変則フォームのピッチャーみたいだと思った)

上越新幹線の大宮〜高崎間は、6〜7年前までよく使っていた。
当時金沢に住んでいた僕は、開通したての北陸新幹線に乗って東京へ帰省したり、あるいは本社の会議へ向かったりしたものだった。
しかし、かがやきやはくたかが通過する本庄早稲田や、あるいはそれらが走っていかない上毛高原へ北陸新幹線と同じ車両に乗っていくというのは何とも不思議な感覚だ。

そういえば同じ線路を走りながら、前回はWBCの決勝を見ていたんだった。
Amazon Primeは回線が激混みしていて映像が1分と続かず、速報サイトと動画を行ったり来たりしていた。
その時のような高揚感は、ない。
楽しみ三割、会いたくもない人に会う憂鬱が七割といったところだ。

散漫な気持ちで歌集をめくりながら、気がつくと新幹線は越後湯沢に着いていた。
駅の窓は薄く曇っていて、トンネルを抜けた先は今までいた場所とは違うんだと知った。

ここからもう一駅、浦佐駅へと向かう。
その時点では、まるでオクトーバーフェストのような日本酒イベントが浦佐駅周辺で行われていることなんて、僕は夢にも思っていなかった。

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