教養としての懐メロ 【香港カントポップ概論:序】
日本には「歌は世につれ世は歌につれ」という言葉があるけど、音楽や詞が世相を反映するというのは古今東西どこでも同じかもしれない。中国・清代末期の学者、王国維は自身の『宋元戲曲史』の序文を次のような言葉で始めている。
どの時代にもその時代の文学がある。楚の騷、漢の賦、六代の駢語、唐の詩、宋の詞、元の曲、皆いわゆる一代の文学で、後世これを継ぐことのできるものはなかった。(凡一代有一代之文學:楚之騷、漢之賦、六代之駢語、唐之詩、宋之詞、元之曲,皆所謂一代之文學,而後世莫能繼焉者也。