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サッカーとお金と、そしてビザ

そろそろニュージーランドに来てサッカーを始めてから1年が経とうとする。何も知らない状態で来てチームを探し、サッカーでは給料をもらわずアルバイトをしながら1シーズンを過ごした。チームは負けなしでリーグ優勝、南島チャンピオン、トーナメント優勝と満足なシーズンを過ごせた。個人としてもMidfield of the year とPlayer of the year を受賞し、当初予想できなかった程の順風満帆なシーズンだった。

そんなこんなで次のシーズンは、ニュージーランドのトップリーグISPS Handa Premiership League でプレーできる事になった。しかしここはラグビー大国ニュージーランド。サッカーに回されるお金は多くないみたいで、それに加えてコロナの不況下。一国のトップリーグのチームでさえも財政的には厳しく、このチームでもらえる給料も微々たるものだった。
ただ個人的な話になるが、こういった人生を歩もうと決めた時にもともとサッカーでお金を稼ぐという事に期待していなかったため、何も気に留めていなかった。

だがここにきてビザの問題が発生した。
ワーキングホリデーの期限が過ぎ、まずアルバイトが出来なくなった。いやむしろ本来であれば、この時点でこの国を出国しなくてはならない。しかし、コロナの影響による特別施策でワーキングホリデービザで滞在する全ての者にSSEビザ(農園、園芸、ファームのみで働ける)というものが発行された。これによってとにかく滞在は出来るようになったし、サッカーに支障の出ない範囲でファームで働けば死ぬことはないだろうと楽観視していた。しかし、仕事先は見つからなかった。クライストチャーチという一応南島で一番の都市(都市と言えるかは分からん)で、ほぼ毎日練習のある自分と都合の合うファームはなかった。ちなみにこれは昨年末の12月中旬くらいである。

正直、この頃はかなり複雑な心境だった。貯金をしていたからすぐに息絶える事はないものの、口座の数字が減り続ける毎日。一方で、サッカーの方はエキサイティングな環境でプレー出来ていて、日々成長できる事に楽しみを感じていた。
そんな時に政府からあるニュースが入る。「ワーキングホリデービザの延長措置」
食い入るようにニュースを調べ、あらゆるサイトから有力な情報を手に入れようとした。しかし、既に期限が切れている自分には適用されないことが発覚した。ほんの数週間の差だ。なんてアンラッキーなんだ。
と、思っていたらチームのマネージャーから「チームからワークビザが出せそうだ」と連絡がきた。このビザがあればサッカーだけでなくまたアルバイトなどでお金を稼ぐことが出来ると言われた。「よし、お願いします。」と二つ返事で即答は出来ず、今後のプランや、いつほかの国に行こうかなど考え直して、それからやはりこの国でもう少しサッカーをしていたいとなり、お願いをする事にした。これがクリスマス前日だった。

それから一か月を過ぎた今日、1月26日。
話は何も進んでいない。変わったのは僕の銀行残高だけだ。これがニュージーランドだ。
年明けにチームのマネージャーがビザの申請に必要であるイミグレーションアドバイザーに連絡をしたらまだホリデーだと。それから1週間後にまた確認してみたら、まだホリデーだと。これを繰り返し現在に至る。内心では「まだホリデーなわけないだろ」と思いながらもチームのマネージャーは何も悪くない。このどこにもあてる事が出来ない気持ちを抱えながら生活し、サッカーをしている。これが今の状況だ。


何回も聞いていた海外のビザ問題。思っていた以上に厄介だ。ビザがないとサッカーも出来ないし、お金も稼げない。つまり生活が出来ない。一か月前と同じ状況であっても、減りに減った貯金残高を見るとかなり不安になる。ビザがおりるが先か、お金が尽きるが先か。こんな不完全燃焼でこの国を去る事になるのか。嘘偽りなく一か月先の自分の状況が全く分からない。こんな不安な気持ちになった事はそうそうないが、わくわくしている自分もいる。

これがプロでもない選手が海外でサッカーをしていくという現実です。

宜しければサポートお願いします。今後も海外でサッカーしていくための活動資金にさせて頂きます。