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ジョハリの窓 #61

「無知の知」とは、古代ギリシャの哲学者であるソクラテスが哲学の出発点に向かう姿勢として表現した言葉です。

「知らないことを自覚する」ということだと理解しています。

「知らないということを知っていること」は、知るための第一歩だと思います。

「ジョハリの窓(Johari's Window)」というものがあります。「ジョハリ」とは、サンフランシスコ州立大学の心理学者ジョセフ・ルフト(Joseph Luft)とハリー・インガム (Harry Ingham)のそれぞれの名前をとったものだそうです(JOHARI:ジョハリ)。

この「ジョハリの窓」とは何かというと、社会における自分と他者とのコミュニケーション上の情報のやり取りを4象限のマトリクスで表現したものです。

それぞれの象限を「窓」と呼んでいますが、それぞれに仕切られた「窓」のスペースには名前が付けられており、左側①と③の縦の列が、「known by self」といい、通常自分が知識として、または知恵として認識している領域です。

横の列は、他者によって知られている部分(known by others:上段)と他者には知られていない部分(unknown by others:下段)に分けられます。

それぞれ縦と横にクロスするところで、

①は、自分も他者も知っている領域

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③は、自分は知っているが、他者は知らない領域

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となります。

右側②と④は、「unknown by self」の列で、自分が知らない(認識していない)領域です。

横の列の上段・下段(他者によって知られている、知られていない)をクロスさせることで、

②は、自分は認識していないが、他者は知っているブラインド・スポット(盲点)

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④は、自分も他者も知らない未知の領域

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に分かれます。

例えば、仕事上のコミュニケーションで考えてみると、

①は、自分と上司が共有している情報で、双方で認識している仕事の内容を表します。

自分の仕事の細かい内容まですべて上司が知っているわけではないとしたら、③は、上司と共有できていないこと、になるかもしれません。

②は、自分は全く認識していないが、実は上司はこの仕事に関する情報として既に把握していることで、上司からそのことについて伝えられていないため、自分にとっては盲点となっていること、かもしれません。

④は、もしかしたら自分も上司もまだこの仕事に関して把握していない情報で、他者から指摘されない限り、気づかないこと、かもしれません。

ジョハリの窓とは、このように、自己分析をしながら他者との関係を知ってコミュニケーションを模索する心理学モデルのことですが、仕事のシチュエーションだけでなく、恋人や友達との関係、さらには様々な学びについても当てはめることができます。

例えば、①を自分自身の認識や学びによって獲得した領域だとすれば、点線が示すように認識の領域を拡大する方法として5つのやり方が考えられます。

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他者に教える、アイデアを伝えることでより認識を深める(①→③)
他者にフィードバックを求めることで、自分の盲点に気づき、自分の無視していた部分を学ぶ(①→②)
他者と一緒に対話することで、お互いに気づかなかったアイデアを導く(①→④)
知らない部分を探索することで、自分で新しい発見する(③→④)
他者が盲点をさらに観察することで、自分の知らない部分を知る(②→④)

学びとは、自分のawareness(自覚、認識)を広げることです。そして、同時に盲点や知らないエリアが必ずあることを常に意識することでもあります。

そうすることで、学びの「窓」は無限に広がります。

「無知の知」を自覚するあくなき向上心が自らの成長の原動力になります。

出展・引用:40歳からのMBA留学〜オーストラリアでビジネスを学ぶ〜


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