採用向け社員インタビューで、「本人らしさ」を引き出すために意識すべきこと
多くの人がネットで気軽に顔出しするような昨今。企業のホームページでは、社員インタビューをよく見かけます。
僕も、ライターとして、いろいろな業界の社員さんを取材させていただきました。
仕事にかける思い、人生経験、プライベートまで。オリジナリティ溢れる話が聞ける社員インタビューはとてもおもしろいです。
そんなおもしろい話ー本人らしさを引き出すためには、インタビュアー側の一工夫が重要です。
社長インタビューとは異なる社員インタビューの特殊さ
インタビュー取材の代表格のひとつに「社長インタビュー」があります。社長インタビューは、インタビュイーである社長自身の意志で取材に臨むが特徴です。
それとは対照的に、誰かの指示で取材に臨むのが社員インタビューです。この場合、社員さんは、会社の採用活動の一環で駆り出されているので、必ずしも話したいことがあるとは限りません。
また、社長の多くは、取引先や顧客をはじめ対外的なコミュニケーションに長けています。世間話から専門分野の話まで、思ったことをその場で言葉にするのが非常にうまいです。
一方の社員は、自分の思いや考えを言語化するのが不得意なことも少なくないです。取材する中で、「すみません、うまく話せなくて・・・」と自責される人によく出会います。
採用向けインタビューとなれば、社員さんがやりがいを持って楽しそうに働く姿をアピールしたいですよね。
それを実現するには、インタビューを通し、社員さんの思いや考えをうまく汲み取っていく必要があります。
本人らしさを引き出すには「追い質問」がポイント
僕は、社員さんのおもしろい話を聞くために、「追い質問」がポイントと考えています。追い質問とは、インタビュイーに質問し、返ってきた答えに関連する質問をさらに重ねることです。
一問一答形式で社員インタビューを行うと、社員さんはあまり深く考えず、無難な回答をしがちです。
例えば、「いまの仕事のやりがいは何ですか?」の質問に対し、『お客様に喜んでもらえること』とおっしゃる社員さんがよくいらっしゃいます。業種・業態を問わず。
ご本人がおっしゃることなのでたしかにその通りなのでしょうが。求職者からすると、“この職場で働く”やりがいが伝わりにくいです。
そこで、効果的なのが追い質問です。
例えば、「お客様が喜ぶのはどういう時ですか?」とか、「具体的なエピソードがあれば教えてもらえますか?」といった追い質問で回答を深堀します。
そうすると、「提案したアイデアを気に入っていただけた」「予期せぬトラブルがあったんですけどチームでしっかりサポートできた」といったように話がどんどん広がります。
これだけでも、『アイデアを提案できる職場であること』『チームで支え合う職場であること』を読み取ることができますよね。
さらに、「どのようなアイデアを提案したんですか?」「予期せぬトラブルとは?」と回答を深堀していくと、社員さんの話にますますオリジナリティーが出てきます。
実は、ホームページに掲載することだけを考えれば、どんな形であれ社員インタビュー記事が作成可能です。
けれども、無難な回答が並んだ社員インタビューでは、求職者としても働く人たちの熱量を感じたり、一緒に働くことをイメージしたりしにくいです。
参考までに、デジタルマーケティングを手掛ける(株)ニュートラルワークスが、就職活動経験者・就職活動中の223名を対象に行った「企業の採用サイトで知りたい情報」の調査結果を紹介します。
本調査でも、1位の「仕事内容」をはじめ、「労働環境」や「先輩社員の働き方」「社風・カルチャー」「社員のリアルな声」等が上位にランクインしています。
このようなデータを踏まえても、求職者は、その職場で働く人の実態を知ったり、その職場で働くイメージを膨らませたりできる情報を、企業のホームページに求めていると思われます。
人選に悩むのは経営サイドだけ、誰にでも「ドラマ」がある
では、誰に話を聞くべきか。経営サイドとしては、社員インタビューの人選に悩みますよね。規模の大きい会社であれば選り好みできますが、そうでなければ必然的に対象者が絞られてきます。
僕は、「社員インタビューを受けたくない」「ネットに名前や顔を出したくない」人以外であれば、誰もが社員インタビューの対象になり得ると考えています。
若手からベテランまで、話し上手も口下手も、自称根明も根暗も。
いろいろな属性の社員さんと話してみると、誰にでもその人にしか語れない「ドラマ」があることに気づきました。
入社した理由から現在の仕事内容、仕事のこだわり、これまでの人生経験、プライベートの過ごし方等。同じ職場で同じような仕事をしていても、語られるストーリーは、社員さんにより全然違ってきます。
ですから、社員インタビューを企画する時は、「おもしろい話をしてくれる人を探す」のではなく、「おもしろい話を聞き出そうとする」ことに注力すべきです。
社員インタビューを通して社員のことを知る
社員さんからおもしろい話を聞くには、質問の回答にさらに質問を重ねる「追い質問」がポイントです。これは、意識すれば、誰でも行うことができるインタビュー手法です。
知り合ったばかりの友人と会話するように。付き合い始めの恋人に話を聞くように。子どものおしゃべりに付き合うように。大切なのは、インタビュイーである社員さんに興味を持つことです。
相手のことをもっと知りたいと思えば、自然と話を深堀したくなりますよね。
実際に社員インタビューしてみると、上司や同僚も知らない、社員さんの新たな一面を発見できることが多いです。
どのようなことを考えながら働き、生活しているのか。
社員さんに興味を持ち、より深く知ろうとするほど本人らしさを引き出せますし、おもしろい社員インタビュー記事を仕上げることができますよ。
なんか役に立った、なんかおもしろかったら、サポートをお願いします。いただいたサポートでおいしいコーヒーを飲み、次の1本を書く力にさせていただきます!