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なんで作業療法士を辞めたんですか?

大学を卒業してから11年目、
うつ病で作業療法士を辞めました。

きっかけは、ある入院患者さん(80代・男性)のクレーム。

中途半端にやるなら触らないでくれ!!

顔をしかめ、リハビリ室に響き渡る大きな声で怒鳴る患者さん。

この一言に、心が折れました

特養からリハ病院に転職して間もない頃。

キャリアはあったもの、ルールや業務の異なる新天地。与えられた仕事を必死にこなすだけの日々を過ごしていました。

悩みを相談できる同僚はおらず、先輩からは皮肉や嫌味を言われ。

「頑張ろう」と、ポジティブな言葉や音楽で鼓舞する甲斐もなく、心身はすでに疲弊しきっていました。


そこへきてのクレームです。

中途半端にやるなら触らないでくれ!
まじめにやれ!
やる気がないなら私に関わるな!

患者さんのひどく怒っているであろう表情、
怒涛に浴びせられる言葉の数々。

すっかり萎縮してしまいました


それからというもの、四六時中ネガティブなことばかり考えるようになりました。

・同僚から悪口を言われてる
・他人に迷惑ばかりかけている
・(自分は)仕事のできないダメ人間だ
・何かとんでもない失敗をおかしている

こんなような思考にとらわれ、仕事中も、家にいる時も気分うつうつ。

それで精神科を受診したところ、うつ病と診断されました。

と、担当ドクター。


なんとか治療しながら働こうと思ったんですけれど、、、ダメでした

「不安で仕方がない」
「人に見られているのが怖い」
「起きているのがつらい」
「何もできない」

30代にもなってお恥ずかしいですが、そんな考えばかりが頭の中を占有し。

仕事に集中することができないばかりか、段々と遅刻や欠勤が続いたので、上司に相談し3か月休職することに。

その後、ひとまず復職したんですけれどね。

体調は全然戻らず、ほどなくして退職しました

一連の流れはこんな感じです

退職後、次の展開としては、3つの選択肢がありました

① しばらく働かずのんびりする
② 作業療法士として再就職する
③ 作業療法士以外の仕事をする

僕の場合は、消去法で【③ 作業療法士以外の仕事】を選びました

住宅ローンや子育て費用などがあり経済的余裕はなかったのと。作業療法士として働くのがもうしんどかったんですよね。

また、人間関係でつらい思いをしたので、会社組織に所属したくない気持ちもありました。

そういうわけで、作業療法士以外、それもフリーランスとして働くことを決めたんです。

いまは、フリーライターをしています。

医療介護から一般企業まで、取材をもとに記事を書いたり、ホームページの文章を作成したり。

作業療法士とは全く違う業界で活動しています。

なんていうと、順風満帆なように見えますが。

「フリーランスとして働くこと」を決意した時は、右も左もわからず “なにやろ?” という状況でした。

リハビリの仕事をやりたい一心で進学

過酷な実習を乗り越えて資格を取得

「患者さんのために」とひたすらOT

高校3年からOT辞めるまで

僕も、もれなくそんなタイプだったので、自分にできる仕事がパッとは思いつきませんでした。

なので、どんなことならできそうか、考えてみたんです。

で、「これなら仕事にできるかな?」と思えたのが、文章を書くことでした

趣味レベルではありましたが、もともとブログをやっていたので、文章を書くことにはほんの少し自信が持てたんですよね。

他にできそうなことも思いつかなかったですし。

で、「webライターやってみよう!」と決意しました。

↑基本、自宅(リビング)で働いています

いざ辞めてみて思うのは、「他の業界でもちゃんと働ける(働けた)」ということです

作業療法士以外の仕事ができるのか、自分で自分の可能性を信じられなかったので。新たなキャリアを築けた時は、喜びよりも安堵感で満たされました。

あと、人間関係のストレスが圧倒的に減りました

理不尽に怒る人、ライバルを蹴落とそうとする人、すぐマウントとる人、極端な利益至上主義な人。リハビリ業界あるあるかと思いますが、そういうタイプと関わることが少なくなり、気楽に働けているように感じます。


あ、そうそう!

この仕事を通して、「コメディカルを辞めた人」も結構いると知りました。

リハビリの経験を活かし整体院で働くOT
介護ソフトメーカーで管理職を務めるPT
医療介護メディアで編集者をしている看護師
人材会社でコンサルティングを行う薬剤師
など

こういう(臨床で働くことを辞めた)コメディカルに時々出会います。

たぶん、身近にいないだけで、医療職からキャリアを変えた人はたくさんいます

作業療法士に限って言えば20万人超いるそうなので、異業種に転職する人がいても不思議ではないですよね。

参照元 厚生労働省|職業情報提供サイト

経験者としてお伝えしておきたいのは、作業療法士を辞めたからといって、これまで培った経験やスキルは無駄になりません。

特に、作業療法の中核である「コミュニケーション」と「論理的思考」は、どのような仕事をするにしても武器になります

お客さんや取引先のニーズを把握するとか、問題の原因を追究・分析し解決策を提案するとか。

臨床で当たり前にやってきたことをうまく活かすと、他の業界でも「頼りになる人材」として重宝されますよ。

もちろん、いままでと違う仕事をするとなれば大変なことも多いです。

例えば、ビジネス用語を覚えるとか、メールやチャットでコミュニケーションをとるとか。企業人が持つ常識がほぼほぼないので、それを学んだり、身につけたりする大変さがあります。

僕の場合は、フリーランス(個人)ということもあり、ことあるごとにググっています。

変にプライドが高いので、「30代でこんなことも知らないのか?!」とか、思われたくないんでね。笑

そこは、リハビリと一緒で日々勉強なのかな。

どんな仕事をするにしても、一から勉強し直すくらいの心構えでいたほうが、うまく適応できるような気がします。

僕の場合は、辞める一択でした。でも、もし「ここでの仕事がイヤ」というだけなら、まずは職場を変えてみることをおすすめしたいです。

職場が違えば、患者層・雰囲気・給与・休み・待遇などがずいぶん変わってきます。これは、のべ5つの病院・介護施設で働いてみた実感です。

なんだかんだ言って、作業療法士は収入が安定してますし、社会的信用があります。家を買うとか、(共働きで)子どもを育てるとか、そのあたりには比較的強いです。

リスクを避けたいなら辞めないのもありです。

一方、僕みたいに「この仕事でやっていくの無理っぽい」なら、辞めることも前向きに考えていかなければなりませんよね。

ここで決断するのは簡単なことではありません。はじめの一歩を踏み出すには、とても勇気が必要です。

身近にモデルになるような人がいなければなおさらね。

なので、最後に一言。

応援の意味を込めたメッセージを、結びの言葉とさせていただきます。


辞めても、なんとかなります。


ここまでお読みいただきありがとうございました。

あとがき

「なんで作業療法士を辞めたんですか?」

これは、フリーライターに転身してからもっともよく聞かれる質問です。長々とお話させていただきましたが、答えになりましたでしょうか。

辞めることを推奨するつもりはありませんが、後悔しないよう、何より健康的に働けるよう、これからの働き方を慎重に検討してみてくださいね


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きっと参考になりますよ。


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