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Jリーグマッチレビュー⑮J2第14節 岩手vs長崎【東北遠征第二ラウンド 初顔合わせの鶴を訪ねて】

さて、今回はいわぎんスタジアムで行われたJ2第14節、いわてグルージャ盛岡vsV・ファーレン長崎のマッチレビュー書いていきます。
山形戦に次ぐ東北遠征第2戦。山形では悔しい結果に終わってしまいましたが、舞台を盛岡に移しての第2戦。せっかく来たのに勝ち点3を得ずに手ぶらで帰るわけにはいきません。
今季J2へ初「昇鶴」したいわてグルージャ盛岡。長崎とは初顔合わせになります。前節の熊本戦からホームスタジアムのいわぎんスタジアムで試合を行えるようになり、今回がその二戦目。スタジアムの規模は大きくなさそうですが、どうしてもこのスタジアムに行っておきたかったので、しっかりと堪能したいと思います。

余談ではあるが、長崎が経営危機に陥っていた2017年。結局はジャパネットグループの傘下に入り、髙田明さんが社長になるわけですが、ジャパネットグループが買い取る前に救いの手を差し伸べていた1つが英会話でおなじみのNOVAホールディングス。新聞にも載りどこまで話が進んでいたのかはわかりませんが、あの時はジャパネットを選んだ長崎。
そして結局実現しなかったNOVAの長崎買収は、2019年10月にこのいわてグルージャ盛岡の経営権を取得という形でJリーグとの縁をつなぐことになるという、奇妙な因縁もあるこの両者の対戦である。あの時長崎がNOVAを選んでいたら、どうなっていたのだろうか…

今日の観戦ユニフォーム

2019年 1stユニフォーム

今回のユニフォームは2019年の1stユニフォーム。岩手とは初対戦なのでまだ相性どうこうの問題ではないので、選んだ理由はただ一つ。私が1番好きな長崎のユニフォームのデザインがこれだから。
このユニフォームのテーマは、チームカラーである青とオレンジを基調にし、2018年に世界遺産に登録された大浦天主堂のステンドグラスをイメージしたもの。V・ファーレン長崎のチームカラーに染まったステンドグラスがスタジアムを彩り、選手とサポーター、そして長崎県民が一丸となって勝利をつかめるよう願いが込められている。

本日のメンバーと見どころ

いわてグルージャ盛岡

予想フォーメーションは3-4-2-1。
前節からの変更点は最終ラインの3バックを牟田雄祐、田平起也から甲斐健太郎、小野田将人へ2人変更。守備が課題となっているだけに変更したメンバーに期待がかかる。
中盤は両サイドを変更。左に加々見登生に代えて南拓都がリーグ戦プロ初出場初先発。右は宮市剛に代えてビスマルクが今季初先発となった。前線の1トップと2シャドーは前節と変わらない。
リザーブのメンバーには小松駿太が新たにメンバー入りとなった。

前節の同じ昇格組の熊本戦は前項でも触れたとおり、いわぎんスタジアムでの初の試合。前半に熊本のデザインされたセットプレーから失点すると、後半開始早々にも失点。後半にはPK失敗もあり嫌な流れだったが、ラストプレーのCKから深川大輔が意地のヘッドで1点を返した。敗れて6連敗となったものの、最後に決めた1点を長崎戦へ繋げたい。強力な個の力を持つ相手との1戦となるが、持ち味の先行逃げ切りに持ち込むためにも、守備の立て直しをベースにしていきたいところ。

注目選手は野澤大志ブランドン。昨シーズン途中にFC東京からレンタル移籍で加わった若き大型GKであり、昇格にも大きく貢献した。失点がかさみ、6連敗中と苦しむチーム状況だが、強力攻撃陣を封じ込むことができるか。

V・ファーレン長崎

予想フォーメーションは4-4-2。
連戦中のターンオーバーということもあり、大きくメンバーが入れ替わった。ベンチにいたメンバーでスタメンを含めて外れたのはFWの植中朝日。そしてCBのスタメンに入った櫛引一紀が入れ替わりでメンバー入りとなった。

最終ラインは右SBに村松航太と、CBには前節はベンチにもいなかった櫛引一紀が新たにスタメン入り。
中盤には前節は途中出場の3名がスタメンに。ボランチに加藤大が、両サイドは左に奥田晃也、右に澤田崇の顔ぶれ。
前線には左に都倉賢、右に山崎亮平。山形戦では前線になかなかボールが収まらずチャンスをふいにする場面が多かっただけに、奮起が求められる。
リザーブのメンバーはGKの原田岳を除き、いずれも前節スタメンだったメンバーが名を連ねた。接戦になった場合には確実に彼らの個の力が必要となりそうだ。

前節の山形戦は、前半に失点すると後半は攻める時間も多かったが肝心の得点に至らず、逆に追加点を奪われて敗戦。波に乗り切れない戦いが続く。中位が混戦模様のため、ここでの下位相手の取りこぼしは避けたいところ。個の力に頼ってでも勝ち点3を取りたい。

注目選手は加藤聖。今季はパリ五輪世代の日本代表にも呼ばれるなど成長著しいレフティー。秋田戦ではロベルト・カルロスばりの豪快なミドルも決めた。主力を多く温存しターンオーバーとなったメンバーの中で、セットプレーも含めてゴールを演出する働きができるか。

前半

天候は快晴だが、メインスタンドからバックスタンド側へ強い風が吹く中キックオフ。
すると早々に試合は動く。開始2分、長崎は左サイドでFKを獲得。キッカーの加藤聖が左足でエリア内へクロスを送るも、岩手GK野澤大志ブランドンの守備範囲に飛んでしまう。しかしこれを野澤が痛恨の落球。それを拾った長崎FW・山崎亮平が落ち着いて右足インサイドで蹴り込むとカバーに入っていた岩手のディフェンスをすり抜けネットを揺らして先制ゴール。山崎は移籍後初ゴールとなり、新潟時代以来の5年ぶりのリーグ戦ゴールとなった。長崎はファーストチャンスを活かして前節の重苦しい雰囲気を払拭。一方連敗中の岩手は悪い流れが続く手痛いミスとなってしまう。

さらに7分、長崎は自陣でボランチの鍬先祐弥がボールをカットすると一気に前線へボールを送りカウンター。鍬先からボールをもらった都倉賢が右サイドで仕掛けていくとペナルティエリア内右へ。寄せてきた相手ディフェンスを切り返しで翻弄するとグラウンダーのクロス。これに山崎は合わせるだけ。都倉の見事な仕掛けから長崎があっさりと2点目を奪った。

長崎はこうなるともう押せ押せモードに。
早い時間帯で2点を奪った山崎は16分、さらにビッグチャンスが。都倉がドリブルから浮き球を入れると、一度はDFに阻まれるも、右サイドの澤田崇がボールを奪いエリア内から右足でシュートを放つ。これはGKにセーブされるが、こぼれ球に反応した山崎がペナルティエリア手前の中央から右足でシュートを放つも枠の上へ外れ、早い時間帯でのハットトリックはならず。

長崎が光っていたのは、加藤聖以外は前節とメンバー変更した両サイドの縦のラインの躍動だ。2列目の澤田と奥田晃也が仕掛けてボールを奪われても、SBの村松航太と加藤聖がしっかりと高い位置でセカンドボールのカバーに入って攻撃を途絶えさせない。
それが実ったのは41分。右サイドで豊富なスタミナとスピードを見せていた澤田がボール奪取。ドリブルでエリア右まで進むとクロスを入れ、そのボールは大外に流れるもファーサイドへ走り込んだ奥田が押し込んだ。奥田の嬉しい移籍後初ゴールで長崎が3点リードに広げた。

岩手はモレラト、ビスマルクといったフィジカルが強い選手が競り勝つ場面は見られるものの、クロスやシュートはことごとく長崎GK富澤雅也の正面を突きゴールを脅かすことができない。圧倒的に長崎のペースのまま、0-3の長崎リードで前半を折り返す。

後半

3点ビハインドとなった岩手は、後半頭から深川大輔と和田昌士に代え、脇本晃成とブレンネルを投入し攻撃の人数を増やす。
しかし、次の1点を奪ったのはまたも長崎。前半で2発の山崎亮平が岩手のディフェンスラインにプレッシャーをかけて高い位置でボール奪取。当てて弾んだボールを一気にドリブルで運ぶと、エリア内に侵入してからは落ち着いて相手DFも切り返しつつ、角度のないところから右足一閃。ゴール右高めに突き刺さりハットトリック達成。ダメ押しの4点目となる。

岩手はブレンネルの投入から徐々に好転し始め、彼の力強さが基点となりゴールに迫り始める。10分にはエリア内の混戦のこぼれ球をダイレクトでブレンネルが狙うも僅かに左。40分にもエリア外から強烈なミドルを放つも富澤がファインセーブ。その後もフィジカルを活かしたキープ力や突破でチャンスを作るもフォローが少なく、課題の最後の質の部分が改善されずゴールは割れない。

長崎はカイオ・セザール、クリスティアーノ、エジガル・ジュニオといった強力助っ人トリオも投入しつつ、ゴールは割れずとも確実に時間を進めていく。岩手に攻め込まれる場面は前半よりは増えたものの、複数人で確実にボールを奪いにいくことも徹底されていた。 結局そのまま試合は終了。ターンオーバーで4得点&クリーンシートというこれ以上ない結果を手に入れた長崎の0-4の圧勝となった。

ざっくり感想

いわてグルージャ盛岡

前半立ち上がりでゲームが決まってしまったと言っても過言ではなく、これで泥沼の7連敗。序盤戦の健闘のあとの壁にぶち当たっている。

先制点を与えたGK野澤のキャッチミスが象徴されるように、大型連敗するチームにありがちなミスの連鎖が見受けられる。4失点は全てボール奪取から生まれていることは大きく改善しなければならない問題だ。昨シーズン堅守を武器に昇格したクラブであれば、カテゴリーの違いはあれどなおさらそう感じる。

攻撃でも後半はチャンスは増えども、フィニッシュの質が上がってこない。
数少ない光明となったのは初先発となった右サイドのビスマルクのフィジカルとスピードを活かした突破だ。青森山田高出身の選手らしい当たり負けしない強さは、クロスの質の向上も伴えば今後も面白い存在になり得る。
そして後半の項でも触れたブレンネルだ。フィジカルの強さを活かした強引なドリブル突破や強烈なシュートと、浮き球を確実にコントロールできるポストプレーは得点こそ生まれなかったが相手の脅威には確実になっていた。もっと彼をサポートできるような動きを周りの攻撃陣が見せられればゴールに迫る場面も増えそうだ。

次節はアウェーでの大宮戦。順位が近い相手だけにこれ以上は負けられない戦いとなる。

V・ファーレン長崎

ターンオーバーによる大幅な先発変更でチャンスを掴んだ選手たちが見事に奮起。確実に勝たなければならない相手に、4得点とクリーンシートで層の厚さを見せつけて掴んだ勝ち点3は大きな自信になる。

守備陣では移籍後初先発となった櫛引一紀が自陣で身体を投げ出すプレーを多く見せて気持ちを見せる。
前半の項目でも触れた両SBの2列目のサイドの選手との縦への連携もスムーズで、ボール奪取からのスピードのあるカウンター攻撃に一役買った。2列目の右サイドの澤田崇はスピードとクロスで、左サイドの奥田晃也は待望の移籍後初ゴールと躍動した。

ボランチの加藤大と鍬先祐弥のコンビは豊富なスタミナで縦横無尽に顔を出し、インターセプトやチャンスの起点となり続けて目立った活躍。

そして何より2トップ。都倉賢は普段も強い高さだけでなく力強い突破で山崎亮平の2点目をアシストするなど個で力の差を見せると、相棒の山崎は抜け目ない動きでハットトリック達成と、序盤で勝負を決めた。

次節はホームで仙台戦。上位追走へ非常に大事な1戦になる。スタメンは山形戦がベースになりそうだが、今回結果を残したメンバーが多数スタメンやメンバーに入ってもおかしくはない。

MOM

山崎亮平(長崎FW)

移籍後初ゴールかつ、2017年の新潟時代以来の5年ぶりのゴールから一気にハットトリック達成。復活の狼煙をあげた。1点目は相手のミスを逃さずこぼれ球を、2点目も都倉賢の突破を落ち着いて流し込むエリア内での冷静さが光った。
後半の3点目は相手のクリアボールに積極果敢な守備から跳ね返りを拾って得意のドリブルからの切り返しも含めた角度のないコースからの高めに突き刺しての1発。助っ人に頼りがちなチームの中で、過密日程の東北遠征でターンオーバーを敢行した松田監督の期待以上の大活躍だった。

私にとっても現地でハットトリックを目撃するのは2回目で、前回はやられた側だったので応援するチームのハットトリックは初です

これから行きたい人に伝えたい初のいわぎんスタジアム体験記

1.交通機関と駐車場
今回は友人の車でいわぎんスタジアムへ向かいました。決して広くはないスペースへ案内されたが、警備員さんの誘導はスムーズで、あまりストレスは感じなかった。ただ、出口が1か所しかなく、通路も広くないため脱出には時間がかかると思ってもらったほうがいい。
今回は東北旅の途中なので車での参戦となりましたが、やはり試合日は当然混むので盛岡駅からバス等を使うのが、1番いいかなとは思う。山は晴れていればとってもきれいに見えますよ!

2.スタグル
基本的には2ヶ所に並ぶ形。駐車場やバス停留所から降りてすぐのところにずらーっと並んでいるのが1ヶ所。もう一ヶ所はビジター席へ向かう途中にある。グッズショップもそこには並んでいる。キヅールのぬいぐるみも買える(笑)

こんな感じ。ピンク色の箇所がスタグル。アウェーサポーターの方はちょっと歩かされるかも。会場が2つありますが試合が行われるのは右側です。くれぐれも間違わないように

今回私が買ったスタグルはこちら。

オリジナルのとんこつ風味のちゃんこ鍋。野菜の歯ごたえと優しいとんこつがマッチして大変美味しかったです。売ってたお母様も大変いい人でした。ちゃんと美味しかったですって伝えられなかったのでこの場を借りて感謝したい。ありがとうございました。
今回は長崎戦ということで、長崎サポーターにはお馴染みの角煮まんじゅうも出張販売されていた。

3.トイレ
基本的にはまだ小部屋型の仮設トイレ。アウェーゴール裏の入場口付近に公衆トイレはありますが、数は多くない。仮設はだいたい10台ぐらい並んでいたが、ここは今後改善されるのかな?

4.スタンド
今回はアウェーゴール裏での観戦だったので、そこか中心の話にはなりますが。

ゴール裏はこんな感じで、結構狭い。前節熊本、今節長崎と距離が遠い九州勢の試合だったので多少余裕がありましたが、例えば近い山形、仙台、秋田などの東北勢や、サポーターが多い新潟などは結構混雑することを覚悟していかないといけないかもしれない。下は芝ではなくコンクリートで、段差が1段。レジャーシートがあると便利かもしれませんが、風は結構強いので重めの荷物でしっかりと抑えないと飛んでしまう危険性に注意。熊本戦はがっつり雨降ってましたが、天気に恵まれないと結構きついかもしれない…
席からの景色は良好で、スタンドも低いのでピッチレベルの臨場感や、選手の声もめちゃめちゃ聞こえますのでそこは楽しんで貰えれば。
そして…


キヅールさんがもてなしてくれます。
前にも1回見たけど…
やっぱり思ってる以上にでかい。

マスコット好きの方は楽しめると思いますし、地元のチアダンスの方々と一緒にアウェーサポーターを大いに楽しませてくれますので、そこは暖かい気持ちになること間違い無しだと思う。
今回は長崎戦ということで…「ましゃ(福山雅治)は神」とおっしゃられてました。よくリサーチされておりました。

そしてバックスタンドは芝生席。日が当たったらかなり気持ちいいだろうなと。ハーフタイムは寝てる人もたくさん。この試合はメインスタンド側からメインスタンドへ強い風が吹いておりました。

どうしても椅子がいいと言う方はメインスタンドに。割と見やすいとは思う。

あと、どうしても先に言っておきたいのは、大型ビジョンがまだない。Jリーグ見に行ってはじめてだったかな。私の経験では。なのでスコアボードの得点表は手動かつ、時間表示も時計の針のみ。やっぱりちょっとそこは寂しいですね。どうしてもゴールの映像とか、警告を誰がもらったのかなどははっきりしたいですし。
写真は撮れていませんが、選手紹介は先ほどキヅールの写真で写っていたチアダンスの方々が選手の名前と背番号と写真が入ったボードをスタジアムDJの方のコールに合わせて上げていく形でした。ボクシングの合間のラウンドガールのような感じかな?なかなか衝撃的でした(笑)

いわぎんスタジアムの収容人数は4,946人。前節の熊本戦は849人、長崎戦は1,856人のサポーターが入った。岩手の次節のホームは山形戦。アウェー席は早々に売り切れたと聞き、どうやらバックスタンドを多少山形サポーター向けに開放するらしいが、この2戦以上の観客数が見込まれるのは間違いない。ぜひ混雑を見越しての行動と、岩手の皆さんの心温まるおもてなしを味わっていただきたいと思う。


試合結果

岩手0-4長崎
得点
【長崎】山崎亮平(前半2分、7分、後半4分)、奥田晃也(前半41分)

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