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エッセイ

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人生の話、フリーランスの話、広告コピーの話まで。TAGOの日々のできごとや考えを綴った文章。
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#短編

ラピュターだった私が、チヒラーになった話。

ラピュタが一番だった。 それこそ小学生の頃からずっと。ラピュタ以外ありえない、ラピュタをこえるジブリ作品なんてないと思っていた。そして、飛行石がほしかった。 もし私がラピュタを語るなら、カンボジアのベンメリア遺跡とか、海に落下していくムスカとか、ラピュタDVDパッケージの隠れトトロとか、そういうマニアックなネタにうっかり熱くなりそうで、どん引きされそうで怖い。それくらいダントツの一番でラピュタが好きだった。 私の“ラピュター”歴は三十年を超える。あっ、“ラピュター”とい

5ヶ月間で80本の短編小説を書いた私が、この2ヶ月で3本しか書いていない話。

ここのところ、小説を書いていない。 「書けない」というよりは、「書きたいという気持ちになれない」といった方がしっくりくる。前にも記事で触れたけれど、一度書かなくなると、なかなか新しい一行目が踏み出せない。 80本の短編小説を書いた約5ヶ月間。あの密度の濃い日々は、明らかに“脳の体質”が変わっていた。一文字目の動き出しが早かったし、夢中になって書いていると気がつけば3,000文字を超えていたりした。 今は、脳の運動不足のような状態。やっぱり筋肉と一緒で定期的に鍛えないと徐

100段のぼった踊り場で、何が見えたか。

昨日の投稿でちょうど100日連続になった。上記表示によればnoteチームも驚いているらしい(絶対驚いてない)。最初は30日続けばいい方だと思っていたのが、3ケタに到達。noteではありふれた通過点ではあるけれど、自分の継続力にちょっと驚いている。100日目でつくづく感じているのは、以前からは想像できないくらい「発信体質」になったこと。今や、書くことが日常の一部になった(仕事以外で)。 100記事のうち、短編小説の数は70。一編一編が違う小説なので、70種類の物語を書いた。読

故郷が旅先になる日。

上京してから18年が経つ。 40を越えた今でも年末年始は必ず実家で過ごしている。ただ、最近の帰郷は、18年前の帰郷と比べると、かなり様変わりした。 例えば、家族を連れて帰るようになった。孫が可愛くて仕方ない両親は、すっかりお爺ちゃんとお婆ちゃんの顔になっている。あの頃バリバリ働いていた父は長く勤めた会社を定年退職し、今は趣味に生きている。 一年に一度の帰郷。当初は “地元に戻る” 感覚だったのが、この18年間で少しずつ “故郷に旅する” 感覚に変

短編小説を1ヶ月間毎日書いて思ったこと。

短編(超短編)小説を31日間、毎日書く。4月のある日、そんなミッションを自分に課しました。その動機は、ちょっと難しそうなことを達成して自己肯定感を少しでも高めたいという軽い気持ち。 1ヶ月はあっという間に過ぎました。結果として、31日目の「時の万華鏡店」で、31日間31短編のミッションは無事にクリア。今回、この挑戦で個人的に思ったことや感じたことを、気持ちがまだ温かいうちにまとめておこうと思います。 ■難しすぎないゴールとルールを設定。それが良かったのかも。日数に関しては