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2020 J2リーグ第29節 ツエーゲン金沢 VS ファジアーノ岡山 レビュー「スコアレスドローに見えた光」

今回は久しぶりのコラボプレビューを行いました。

開幕戦でもお世話になった、たか(@taka_fagianoさんとのコラボでした。顔も知らない、ましてやお礼も出来ないのに快く引き受けて下さる懐の広さ。本当に感謝しかありません。

見て下さった方も、いいね・RTして下さった方もありがとうございました。お礼も差し上げられませんし、僕の事をいいね・RTして欲しいという訳では無く、皆さんの反応は本当に励みになりますので、今後出来るだけコラボしてくれた方の為に、いいね・RTしてあげて下さい。何も反応が無いと続けている意味が無くなります。よろしくお願いします。

スタメン

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両軍とも前節から6人の変更。まずは岡山から。松木・後藤・ジョンウォン・上田・三村・山本→濱田・田中・椋原・パウリーニョ・関戸・齊藤。前節、右SHにいた野口くんが2トップの一角に。ちなみに開幕戦の時にいたのはポープ・徳元・田中・濱田・上門・白井のやはり6人。開幕戦のレビューはコチラ↓↓↓

金沢は作田・渡邊・窪田・島津・杉浦・山根→廣井・長谷川・大橋・ホドルフォ・加藤・ルカオ。レンタルで金沢に加入してからずっと使われていた渡邊くんがお休みとなりました。それに伴い下川くんが右SBから左SBに。チットさんのサポートをしつつ、遠い距離からでもクロスをあげられる期待をかけられている。

そして本塚くんが右SHで出場。SHというかもっと中央でのプレーを想定しての起用だと思いました。そうすれば長谷川くんのオーバーラップも生かせます。。

試合開始、の前に・・・DAZNさんへのお願い

激しい雨に見舞われた金沢。僕は仕事でリアタイ観戦出来なかったのですが、13時頃には雷も落ちていました。そのせいで試合開始が30分遅れになり、DAZNではウォーミングアップ風景が映し出される事に。いつも30分くらい前から放送を始めてくれればいいのになぁ。

試合開始

雨というコンディションもあり、ロングボール→セカンド回収という点を両陣営がテーマとして挙げていましたが、実はそれだけではないところが特に岡山の振る舞いを見て明らかなところとなりました。

岡山はGKポープさんと2CBでビルドアップの起点になります。ボランチがCBの位置まで降りてくるサリーを行う事もありますが、大体ボランチは中央に残る形を取っていました。ボールが2CBのどちらかに移動すると金沢のFWがプレスをかけに行きます。

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しかし、岡山の両SBがタッチライン際まで張って金沢のSHをピン止めします。

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なので、比較的黒矢印で示したコースのパスが入りやすくなっていました。

パスが金沢のディフェンシブサードに入ると、重心が重い金沢ディフェンスは下の図のように横に広がりがちです。

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そこでショートパスをつないであっという間に状況をひっくり返そうとしたシーンが目立ちました。開始1分6秒の上門くんが抜け出してマイナスクロスをあげるシーンが戦いの幕明け(この時はショートパスをつないだという形ではありませんでしたが)。

厄介なマイナスクロス

4-4-2でゾーンディフェンスで守っていれば段差がついている訳で、必ずしもしっかり箱型が保てるわけではありませんが、金沢のようになる事はあまりありません。しかし、マンツーマンで守る金沢に対しては意図的に真ん中を開けさせる事が可能です。局地的に数的優位性を保ったりすることを好む金沢。極端な話、2対1の状況を各所に作り出す事ができれば金沢の敵チームは前線に3人いれば金沢ディフェンスを1列に並ばせる事が可能になります。

※1 上の図で言うと野口・齊藤の2FWに対して廣井・大橋・石尾で対応、また、白井・関戸には藤村・下川・チットを。チットさんは椋原くんの監視も。本塚くんはこの後、徳元くんを"捨て”パウリーニョさんに。

※2 役割の多さゆえにただ、べったりマークについている訳にもいかないので、自然と球際の厳しさが足りなくなるのかもしれないとタギリストは考えている。

なので次の図の円のところが空いてしまう事が良くあります。

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しかもマイナスのクロスは、GKの視野でボールの供給先の選手を捉える事が困難です。この試合開始直後のシーンではパスが通りませんでしたが、給水タイム後は岡山右サイドで何度かマイナスのクロスが見られました。(たかさんもプレビューで触れてくださっています)

序盤は岡山ペースでしたが、金沢・ハイプレス→岡山ロングボール→セカンドボールに競り勝つ金沢。そしてペースを握り始めます。

チット・本塚のアピールタイム

14分ちょうどくらいのチットさんが飛び出してゴール前にせまるシーンや、17分35秒の本塚くんがルカオさんを追い越しポストプレーでボールをルカオさんに収めるシーン。また、22分ちょうどには本塚→加藤→ルカオとつなぎミドルサードからルカオさんが強引にゴール前までボールを運ぶシーンなど。

給水タイム以降は再び岡山のペース。齊藤・野口が左右で攻撃の起点を作りそこにボールを通そうとする岡山。困った時のパウリーニョといった感じで、前進させられなかったらパウリーニョさんにボールを預けてサイドチェンジする、という感じでボールを持たせてもらえない金沢。

にしてもパウリーニョさんは、あんまり動いてないように見えてしっかり大事なところにいますね。出来るやつあるあるですね(笑)

え?10本も打ってた!?

そのまま0-0で前半が終わりましたが、金沢は10本もシュートを打てているというのが驚きでした。僕の印象では金沢が押していた時間帯は10数分。決定的なシーンというのが41分17秒のシーンだけだったので。それだけシュートが打てている事を認識できていませんでした。

それは簡単にシュートを打ってしまって止められているからです。フェイント、シュートキャンセル、周囲との連動性、メンタルトレーニング(シュート時に色々な選択肢を持つ事が出来るメンタルのトレーニング方法)などゴールの可能性を上げる方法を模索して欲しいです。

後半

後半の開始15分はボールの奪い合い。どちらも主導権を奪えず、左右で攻撃のアクセントとなっていた岡山の野口くんが山本くんと交代しました。

試合中は気が抜けません

激しい攻守の切り替わりの口火を切ったのは60分24秒、金沢右SB長谷川くんのオーバーラップに反応した藤村くんのスルーパスでした。長谷川くんの懸命なランニングも追い付かず、ボールはタッチを割り長谷川くんは勢い余って看板を押し倒します。

その長谷川くんが戻る前に、岡山はゴールキックを慣行。徳元→上門→山本とボールが渡り、ちょうど長谷川くんがいないところへ抜け出します。ただ山本くんがシュートを打った場所は、ビエルサラインに当てはめるとシュートが10%しか入らない場所です。金沢GK白井くんのスーパーセーブもありましたが、抜け目ないですね岡山。

3試合ゴール無し

64分8秒のシーンは後に触れるとしまして、65分53秒の藤村→ホドルフォのスルーパスからのダイレクトクロスは、決まっていればめちゃくちゃ気持ちの良いゴールとなるはずでした。金沢FW加藤陸次樹くんのボレーはクロスバーの僅か上へ。

2枚だけ・・・

そのシュートの後、すぐに加藤→山根、ホドルフォ→窪田の交代がありました。後にも先にも交代はその2枚だけでした。

五連戦の5戦目である事から、他のフィールドプレーヤーを休ませるという事をしなくて良かった、という見方も出来ると思いますが、あの5ベンチの大宮でさえ3人交代しています。(大宮さんは怪我人続出の為、仕方無く5ベンチ。金沢の6ベンチとは理由が違います)

ちなみに金沢の他のベンチメンバーは石井・高安・作田・島津・杉浦。しかも右SHとして初出場した本塚くんも交代させませんでした。

下の図はJ’STATsの加藤・山根両名のヒートマップです。

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陸次樹くんは中央寄りに、永遠くんはやや左に位置取りしている事がわかります。陸次樹くんはボールが遠くにある時はルカオさんの近くに位置し、近くにボールが来た時はルカオさんから遠ざかりボールを受けに行きます。

一方、永遠くんは途中から入ったという役割の違いもあるでしょうが、ロングカウンターの起点となるべく奪い獲ったボールの近くにいる事が多く、ルカオさんに対して一列下の位置にいる事が多かったです。もちろん、本人の持ち味であるボールを運ぶ役割も多くこなしていました。

交代が2枚の意味

交代が二人で終わったという事の意味。それは手ごたえがあったからではないでしょうか。Football labさんのデータによると後半のシュート本数は岡山が6本に対して金沢は11本で、最後の15分に至っては岡山にシュートを打たせていません。

岡山の攻撃のボールを高い位置で奪えていましたし、シュートで終わっている場面が多かったので、岡山がなかなか金沢陣内に入ってこられませんでした。

いつもでしたら、シュート本数が多い、コーナーキックのチャンスもあったのに結果が0-0で残念。と言って終わるところです。

試合終了

ハイライト

0-0に見えた光

確かに41分18秒の陸次樹くんがルカオさんへ浮き球のスルーパスを出して岡山GKポープさんと1対1になったシーンや、64分8秒の岡山CB田中くんのパスミスでPA内で陸次樹くんがフリーでボールを持ったシーンなど、勝ち点3を逃してしまった感も否めないですが、今回は0-0でも金沢のオプションが色々見られた、今後が楽しみな試合となりました。

シーズン終盤、いや来シーズンの展望

今回はSB(サイドバック)とSH(サイドハーフ)の組み合わせについて少し考えたいと思います。

ヤナ将の試合後コメントから察すると、本塚くんを今後もSHで使っていく模様です。本塚くんは左利きですが今回右SHで使われていました。

「狙いとしては、前半に一本あったように内側にターンして、2トップにスルーパス、あるいは自分で内側に入ってきてミドルシュート、インスイングのクロスなんかをやってほしいなと思っていました。」(ヤナ将試合後コメント。ツエーゲン金沢公式HPから抜粋)

左SB:渡邊・下川(杉井・ホドルフォ)

左SH:島津・下川・ホドルフォ・窪田・金子(大石・西田)

右SB:長谷川・下川・高安

右SH:窪田・本塚・金子・高安(下川・大石)

今考えられる組み合わせを出してみました。カッコ内はそのポジションで今は可能性の薄い使われ方の選手です。本塚くんはベツに左SHでも出来そうですけどね。

この組み合わせで中軸として考えるべきはSBの人選です。左は渡邊くん、右は下川くんが今は自然でしょう。

渡邊くんはクロスの精度はイマイチですが、縦に突破をする度胸とタイミングの良さがありますし、ロングスローは金沢の武器になりつつあります。

下川くんはどこでもできますが、彼のスピードやパスセンスの良さを発揮するのはSBの位置かなと思います。どこでもOKですけどね。

僕としてはこの2人に長谷川くんが触発されて相乗効果が表れるといいと思うのですが、今はまだ去年ほどのインパクトを残せていません。今節も3試合ぶりのスタメンでした。思い切りの良さを垣間見る事はあるのですが、トンネルから抜け出せるのはもう少し先かもしれませんね。

SHですが、左は島津くん右はまだ定まらないというのが正直なところです。

普通に考えれば右SHは窪田くんなのでしょうが、最近左SHでの起用も増え左足でクロスをあげる事を意識しています。右SHで使われている時でもクロッサーとしてだけではなく、ドリブルやPA内への飛びだしなどいままでと異なる役割をやり始めています。

それを今節見せつけたのがチット(ホドルフォ)さんではないでしょうか。少し危なっかしさは否めませんが、躊躇するより思い切り「イキきる事」がヤナ将の注文のはず。内側にボールを運んだり、FWの後ろからボールに突っ込む姿、クロスも打ち込む回数が増えてくれば精度が上がりそうです。元々スピードはありますから。

本塚くんのSH起用により激しくなってきたサイドの競争。ヤナ将は「やっとこの状況になってきた」と思っているはず。気がつけばもう30節。シーズンも終盤を迎え、順位は13位で1位とは勝ち点20点差です。本当はもう少し早く競争を激化させオプションを増やして相手に的を絞らせたくないと思っていた事でしょう。怪我人が復帰し、ようやく駒が揃ってきました。

杉井・大石らが加わればさらに競争は激しさを増します。我々にとっては嬉しい限りです。しかしその競争の中にはレンタル移籍の選手がいる事もわすれてはいけません。

決意表明

今年の結果も大事です。新型コロナで状況はいつもの年と違いますが、22チーム共状況は同じ。言い訳はできません。昇格・降格が関係無くてもモチベーションを高く持って試合に臨まなければいけません。

しかし、来年を見据えたチーム作りを今から意識したほうがいいでしょう。クラブ間の取り決めは分かりませんが、ヤナ将はそれもわかったうえで5年目に向けてチームを固め初めているはずです。

シーズンが終わり、またリセットされた状態で新しいシーズンが始まり、だんだんと仕上がってきたかなと思ったらシーズンが終わる。ヤナ将5年目は多分確定でしょうし、本当の勝負の年です。僕らもそれに備え、考えなければいけません。何がクラブの為になり、何が選手の為になるのか。

僕はレビューを書き続ける事で、届かないのは分かっていますが、ツエーゲン金沢を𠮟咤激励しているしているつもりですし、ファンサポさんたちとの色々なアプローチの手段としてRED TAGが存在し、ツエーゲンを盛り上げていければいいと思っています。そして本気で活動していれば、選手も本気で答えてくれる、そう信じています。その為に考えられる事を、出来る限りの事を精一杯やります。

一人一人のツエーゲンを応援する方たちには、それぞれの応援の仕方があると思います。しかしベクトルは同じでなければ叶うものも叶わない。今から来年の事をいうのも早いかもしれませんが、来年こそは昇格して、柳下正明をJ1の監督という肩書に戻そう。そういう思いをみんなと共有したいと思います。金沢というサッカー不毛の地にやってきてくれた名将に対する恩返しです。

「挑戦を、この街の伝統に。」

伝統のプロローグはもう始まっています。



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