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ショックの後には光があると、歴史は教えてくれている。【Web30年史】2020

デジタルデザインの未来をWeb30年史から考える。今回は2020年の出来事を中心に振り返ります。

オリンピックがあったはずの2020年のはじまり、コロナの到来、緊急事態宣言、自粛などによる生活の変化・価値感の変化・日本の対応・Go To・第三波。いろいろな大きな出来事によって考えさせられることが多くありました。

そして、誰も分からない未来のことですが、今までの歴史を見れば、ショックの後には光があることも事実です。

時事ニュースばかりになってしまうので、まずは顕著になってきたアーキテクチャのところに少し触れたいと思います。

その頃FOURDIGITは…
2019年にタイ・ブランチ、2020年にはベトナム。ブランチを設立しました。IPOを延期し、社内の再度の基盤づくりにフォーカスし始めたところです。


アーキテクチャの時代

前回、マーケプラットフォームなどの統合型のサービスが発展していく流れがありましたが、導入が進んで企業内で利用しているケースが多くなります。

AdobeやSalesforceだけでなく他の海外系・日本系のサービスもあります。マーケプラットフォームやコンテンツマネジメントシステム、統合型のサービスを利用することでのメリットはありますが、同時にデメリットも生まれます。

Web標準技術の発展でモダンな開発が進化していったこと、PCやモバイルのブラウザ機能が発達するとフロントエンド側に機能を持たせる構造を選択できます。フロントに機能を持つことによって、通信回数を減らしたり、モバイル環境にフィットします。アプリのような操作感や機能性を作り込むにはフロントエンド側に処理を任せるメリットがあります。


こういった背景から、一般的には、フロントエンドとバックエンドを切り離し、APIでつなぐアーキテクチャが良いとされます。さらに、バックエンドの処理もマイクロサービスという設計思想でつくることで、機能ごとのアップデートが可能になり、全体の改善スピードをあげることができます。

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こういった、フロント・バックの切り離し、マイクロサービスの考え方を元にすると、巨大で多機能が組み合わさった統合型のプラットフォームがそれに反してしまいます。

UXデザインにおける改善活動(BMLサイクルやイテレーションサイクル)を重視すると、統合プラットフォームの提供する単純化・一般化されたデザインとアーキテクチャでは実現できないことが出てきてしまいます。

実際FOURDIGITでも、密結合した統合プラットフォームからフロントエンドを切り離した設計を実装する事例が出てきています。


どのツールを使えばいいのか?ではなく、自社がどういう顧客体験を提供するのか、どういうOps(改善運用・運用組織)をするかによって選択すべきアーキテクチャは変わるし、その選択によってビジネスとデジタル基盤の発展性と連続性が大きく変わってしまいます。



ここがビジネスを左右する重要な意思決定なのですが、あまり理解されることは多くありません

組織の人材リソースやリーダーシップ、専門性によって、連続性の中で選択すべき最適なアーキテクチャが違うという、極めて高度な意思決定になってきました。

そして、それら全てを最初から設計することが難しいため、やりながら学び、学びながら軌道修正するという経験主義的なアジャイル発想は、不確実性に対する組織の姿勢そのものです。

ビジネスにおける中心地をデジタルにしようという認識はあるものの、WEB開発やWEBデザインというジャンルで捉えられることも多いこともあり、こういったギャップはしばらく続きそうです。


TOKYO2020イヤーのはじまり

さて時系列の話に戻します。

日本の2020年、とうとう来たか、という幕開け。誰しもがオリンピックがあることにワクワクしていたし、お祭りの準備がはじまるぞ!という感じでした。

2019年のラグビーワールドカップの盛り上がりもあって、日本のおもてなしの手応えをムードとして感じていました。インバウンドで観光や移動の需要も見込めるし、経済的にも弾みがつくだろうな、という期待感。

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年明けてすぐの2月。

ダイヤモンドプリンセス。何?コロナ?やばいの?という。中国では流行ってしまっていてヤバイぞみたいな話だったけど、さすがにまだ実感がわきませんでした。

そこから、情報は交錯したし、本当の情報も分からない、正しいとされていた予測モデルは誰も当たらない。WHOからパンデミックという言葉も出てきて、情報の交錯の中で人々は右往左往します。

マスクがなくなり、トイレットペーパーがなくなり、除菌薬がなくなり、イソジンもなくなり。落ち着いた8月からはGo To トラベルやGo To イート。大手メディアですらパニックに見えたし、情報や予測について誰も自信があるように思えません。年末年始、東京の感染者が1000名を超えて、医療崩壊の危険が迫っています。

とても不安定な状況で世間は混乱しているように思えますが、デモや分断やクーデターのようなことは起こらず、日本の統制はなんとか保たれています。


ロックダウンによる価値観の変化

ここからはFOURDIGITでの話。

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緊急事態宣言のもとでは、会社もクローズして、全員がリモートワーカーになりました。FOURDIGITでは、3月からリモート開始、4月から6月いっぱいまで完全にクローズして在宅支援金を配りました。コロナ陽性者も3月に1人出てしまいましたが無事に復帰。この頃には高齢者や基礎疾患のある人が危ないという情報も出ていたので、メンバーには家族を心配しよう、というメッセージを出したりしていました。

全員がリモートでフィジカルには会わない生活を送り始めました。

だんだん環境の問題でストレスが溜まります。

通信が遅いとか途切れるとか。コミュニケーションが取れないとか。

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僕はメンバーとの1on1を結構やりますが、わりとニュアンスや共通認識をつくるとか、心理的距離を縮めるとか、そういうことがかなりやりづらいなと感じました。


大変な状況に置かれている方々、この先に不安を抱えている方、観光業の方々、飲食店の方々、そういう方々を鑑みると、こんな状況でも仕事ができることは本当に喜ばしいことです。

だから贅沢いってらんないのですが、テレワークのメリットもデメリットもあることを感じました。


価値観も大きく変わりました。

仕事を1人で家で向き合わないといけないわけですから、人と関わる部分が削られます。そうなると働く意味を見出すことが結構むずかしい。人と会って刺激を受けることが楽しかったり、一緒に何かに取り組むことが楽しかったり、すごく大きいモチベーションだと思いますが、そこをエグられました。

その結果、仕事とはいったいなんだろうね?なんでこの仕事をするんだろう?ということも考えさせられました。

ちょうどこんな記事を見つけました。

やっぱりベンチャーキャピタルというのがなぜ楽しい仕事だったかというと、これはいろんな人に出会って、いろんな人の考え方に触れて、その人の性格とかその人と一緒に議論するとか、会社に行って従業員の熱量を感じるとか。 やっぱり「人と人との触れ合い」というのがベンチャーキャピタルの産業をすごくおもしろくした、1つの要素なので。

このベンチャーキャピタルという言葉を「デザイン」と言い換えても成立するなと思います。同じように言える業界もたくさんあるんじゃないでしょうか。

「人と人の触れ合い」はあるべき姿を考える上でも大きい要素だと思います。

デザインの仕事は人との触れ合いや共感が大事な仕事です。スティーブ・ジョブズがわざわざデザインスタジオに出向きジョナサン・アイブと会話しに何度も何度も通っていました。熱量や共感やそういった言語化できないものを共有してゴールに向かうことや、夢中になって作り上げること。

個人的には、デザインの活動をオペレーションエクセレンスやジョブ型として機能化してしまうのは不可能だと思っています。


コロナの日本

コロナ禍は、健康被害と経済支援を同時に行わなければならない難しさがありました。僕の個人的な感想ですが、リーマンショックと東日本大震災が同時に来たような感じになっている印象です。

経済的な厳しさ、健康被害や風評被害が蔓延しているような。

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日本では大規模な経済対策を税金で行うことが決まりました。

これは将来に向けて自分の子供達やこの国の未来を生きる人たちが負担するものです。未来を搾取すると今のような社会保障は変わってしまうかもしれません。それを持ってあまりある発展があるかもしれません。未来は分かりません。


GAFA各社の4-6月の決算が出たときのまとめ記事を見ました。AmazonのEコマースなんて50%伸びています。ネット広告やネットサービス、クラウドサーバーなどは、人々が家に籠るので伸びました。

Amazonの売上はもともとすごい大きくて634億ドルです。それが889億ドルになった。利益は前年比の倍です。

つまり世界経済を牽引しているテクノロジートップ企業はそこまで影響を受けていないし、むしろプラスに働いた。デジタル依存が高まれば儲かるようになっていた、ということです。

サーバーを持っているAmazonとGoogleとMicrosoft、コンテンツプラットフォームのApple、Amazon、Google、ソーシャルトラフィックを持っているFacebook。もはやインフラですね。

BATHと言われる中国テック企業も同様なんだろうと推測します。

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Amazonの決算資料

じゃあ、日本の会社も伸びているところがあるんじゃないかと。日本の時価総額トップ企業はTOYOTAです。自動車産業全体的に大きな打撃を受けている中でも黒字を確保している力強さを感じますが、コロナがプラスになったとは言えません。

他にもZholdingsの決算を見ると、Eコマースは14.8%成長してますが、Amazonに比べると見劣りしてしまいます。


コロナはグローバル経済にも影響があります。

グローバルな行き来がなくなると、内需を重要視するブロック経済が強まります。この状況下で、オンラインをブロックしている中国はともかく、オンラインで国境を超えてくるネット巨大企業たちにどう立ち向かえばいいのか、差がついたなぁ、という印象ばかりが先に来てしまいます。

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FOURDIGITはリーマンショックのときは広告代理事業でのリスクに冷や汗をかいていました。震災のときはスタッフの安全と生活を守ることに責任を強く感じました。

今回は両方です。

2011年から9年間でFOURDIGITというチームは、何ができるようになったのか、こういったショックのあとに成長できる力を持っているのか、状況が変わっても必要とされるのか、次の10年を試されているように思えます。


Digital Transformation(DX)

コロナ禍によって、DXという言葉は一気に一般的になりました。

なぜDTじゃなくてDXなのか、もうそのへんどうしたらいいのか分かりませんが、とにかく企業内でのオペレーションに関わる領域、サービスに関わる領域、全てがデジタル技術を活用したビジネスモデルのアップデートが行われます。

ビジネスモデルのアップデートなのでかなり高度な意思決定が必要になります。一人一人のデジタルリテラシーも大事ですが、上記にも触れたような、全体に関わる組織課題の方が大きくなります。


デジタル市場は定義が難しいので正確な数字が出せませんが、20年間でWeb関連やデジタルコンテンツは何倍・何十倍にもなっています。

Amazon 1社だけでも2000年から2019年で売上が100倍になっていることを見ると、市場の成長は半端ない。


デジタルはプログラムを動かすことも多いので労働に対するレバレッジはある程度効くかもしれませんが、結局は多くの人が必要となります。なので市場の成長に人材の増加がついていかない。初心者でもやらざる負えない状況が発生するのが当たり前です。

この辺りは、IPAのIT人材白書に詳しくデータがあります。

デジタル市場にいる人たちは、DXの担い手であり、その意思決定をする人も同様にDXに対するリーダーシップを発揮していく必要が出てきます。


ジョン・マエダが主張するように、デザイナーたちはBDT人材(Business / Design / Technology)となり、包括的(コンピュテーショナル)デザインを求められるようになります。

経産省の「デザイン経営」は、ビジネス意思決定者とデザイナー、その両者が建設的にビジネスに向き合うためにまとめられたと理解しています。


ショックには光がある

ドットコムバブル崩壊のあとに、GoogleやSalesforceが出てきました。

SARSのあとにアリババが出てきました。

世界的なショックは定期的に起こりますが、その度に必ず活躍する企業がいて、光り輝いていきます。これはもう歴史が証明してくれています。希望をもって未来を作り出していくしかありません。


例えば地方創生とか働き方改革とか少子高齢化とかデジタル推進とか、日本が抱えている構造的な問題を乗り越えて、社会がより良くなっていくきっかけとなり、それを担うプレイヤーが活躍していくことを願っています。

そして、私達もその一翼になれればと思います。

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まとめに向けて

ここで2020年が終わりです。

もともと2020年の7-8月は、オリンピック・パラリンピックをやってたはずでした。観光業や飲食業も本来なら活況であってもおかしくなかったはずです。今も続くコロナ禍、2020年のことは夢の中にいるような現実感のなさがありました。

2020年7月にUIデザインのグッドパッチが上場しています。ほかにも上場しているソフトウェア開発・開発支援のブランディングエンジニアや、サンアスタリスクもデジタルニーズの拡大に伴って順調に成長しているように思えます。

他にもIT関連のコンサル領域やデリバリー領域を担うような会社が成長していっています。マーケットは不安定になるかと思いきや、テック関連を中心に好調を維持しています。こういった2極化もいつまで続くかわかりません。


FOURDIGITも事業成長を続けていますが、計画していた上場は見送りました。逆に未来への投資に向けて振り切っていこうと決めました。

デジタルデザインの業界を見渡すと、クライアントや商流、提供しているサービスの軸足によって、影響の度合いは会社によって様々だと思います。

Design & Techは、この状況でもチャンスに変えられる力を持っています。クライアントのビジネスに効果的な動きをしなければならないわけですが、クライアントのビジネス環境は厳しい局面なので、私たちもきちんと向き合っていかなければならないと感じます。


さらに、WWWの30年を見渡してみると、技術的な変遷に左右されることや、人の生活の変化によって価値観が変わっていくこと、そのスピードは常に早くなっていること、そして何らかのショックは定期的に来ること。何が変わらない価値で、変わるものは何か、必ず発生するものは何か、これまでの30年の振り返りと、次回は得られた気づきをまとめていきたいと思います。

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