エンジェル投資家、VC、CVCから出資を受けるということ ーリスク・リターン検証ー
起業家にとって事業資金の多くを自前で準備し、不足部分は金融機関からの創業融資を使って…、と考えられている方も多いかと思います。
ただ、資金調達には金融機関からの借り入れによる調達と、エンジェル投資家やVC、CVCといったプレーヤーから資本として資金を受け入れる方法もあります。
今回は、T&Aフィナンシャルマネジメント代表の齋藤も編集にご協力させていただいた創業手帳の記事をもとに、そういった資本調達による事業資金確保についてのリスク・リターンについて考えてみたいと思います。
≪T&Aフィナンシャルマネジメント≫
T&Aフィナンシャルマネジメントはベンチャー企業に特化した経営財務支援、クライアント目線に立った中小規模M&Aのご支援をしております。
また、上場企業をはじめとする大企業~中堅企業の経営企画をはじめとする経営管理部門のサポートなど、幅広なご支援をご提供しております。
資本調達の方法
資本調達の方法は主に以下の3種類が考えられます。
■エンジェル投資家からの出資を受ける
■VC(Venture Capital)からの出資を受ける
■CVC(Corporate Venture Capital)からの出資を受ける
他にも株式投資型のクラウドファンディングを活用する方法なども考えられますが、メジャーな資本調達の方法は上記のとおりです。
エンジェル投資家とは自らも事業成功した方などの富裕層が、どちらかというと後進の育成による日本経済の活性化などを目的として創業間もない企業に資金を拠出する個人です。
VCは第三者からお金を集め、アーリーステージやミドルステージ、レイターステージなど、各々のファンドが得意とする企業の成長ステージに応じて投資をし、将来的なIPO(株式上場)やM&Aによる売却といったキャピタルゲインを求めたり、もしくは高利回りの配当によるインカムゲインを求めたりするプロの投資家です。
CVCは事業会社が主に自己資金でファンドを組成し、自社の事業領域に近いベンチャー企業に投資し、VCのような金銭的なリターンよりも、自社との連携によるシナジー効果(相乗効果)を主に求める投資家です。
資本調達と借入調達の違い
両者の違いで最も大きい点は、金融機関等からの借り入れ調達は決められた条件に従って返済を要する一方で、資本として調達した資金はB/S上の純資産(自己資本)に計上されるため、原則返済は不要です。
また、資金の出し手からみると、金融機関は決められた条件通り返済を要求し、万が一貸し出し先が倒産してしまっても、残余財産について優先的に分配を受ける権利があります。
一方で、資本の出し手は基本的に返済されないことと、残余財産の分配権についても金融機関から劣後します。
ただ、先に書いたようにIPOやM&Aにより得られるキャピタルゲインは莫大であることから、資本家はハイリスクハイリターンな投資をしているということができます。
資本調達の受け方
資本の出し手は非常にハイリスクハイリターンな投資家であることから、投資先の選定は極めて厳格です。
金融機関からの創業融資を受ける際に提出する事業計画などと比べると格段にハイレベルな事業計画と、そもそもその事業が将来的なIPOやM&Aによる売却が可能か否かの先進性を精査します。
事業計画の作り方などについては別にご説明したいと思っていますが、自社の事業計画に自信が持て、かつ、自社のビジネスモデルの優位性を明確に遡及できる状況になったら資本家の門を叩いてみてはいかがでしょうか?
最近はVCやベンチャー企業支援機関主催のピッチイベントも頻繁に開催されていますし、この投資家に出資してもらいたい!という投資家がいれば、直接メッセージを送ってアポイントを取ってみてもよいかもしれません。
資本調達のメリット・デメリット
資本調達のメリットは先に書いたように、返済不要な自己資本を調達できるという点です。
加えて、著名なVCからの出資はある種そのVCにより将来性が保証されたといいう信用補完にもなりますし、他のVCやCVCなどからの出資を受ける際に大きな追い風となることがあります。
また、VCはIPOやM&Aを達成させるべく全力で支援してくれますので、必要に応じて役員を派遣してくれたり、取引先を紹介してくれたりとビジネス拡充のサポートが手厚いです。
エンジェル投資家は金銭的なメリットというよりも、自身が事業成功者であることも多く、人脈の紹介だったり、事業構築のメンタリングだったりとソフト面のサポートが期待できます。
そしてCVCにおいては事業会社との強固なパイプが構築できますので、販路の拡充などといったビジネス上のメリットも大きいといえます。
一方でハイリスクハイリターン投資のプレーヤーである資本の出し手からの資金調達はメリットも大きいですが、お金を出すと同時に口も出してくる存在です。
事業上のありがたいアドバイスもあれば、少し耳の痛い苦言や、業績が計画通りに進捗していない場合は経営者の交代などを要求してくるかもしれません。
まとめ
第三者からの資金を調達するということは、それが金融機関借入であっても資本調達であっても、他人のお金を使わせてもらうということは非常に緊張感が高まります。
各々の方法のメリデメを確認し、自社にとってもっとも合理的な調達手段を選択してみてはいかがでしょうか?
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