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意味を考えるきっかけとなったコース料理

深く感動したり、何かに抱いた感想や気づきはもっと記録していこうと思う。
今日は板橋にあるHASUNE PLANTというところで食べた陽子さん( @yokoaoyagi  )のコースを通じて感じたことについて書き留めておきたい。ちなみに陽子さんのコースを食べるのは約1年ぶりくらいで2回目。1回目も感動ばかりだったけれど記録はしていなかったから、こういった料理に出会い始めた自分が何を思ったのか後で振り返りたいしせっかくならと。
もちろん料理すべてが美味しいのだが、それは私がここで書くよりも百聞は一見に如かずということで。それ以外で私が感動したことを書く。逆に言えば美味しさや味以外でそれだけ刺激的だったということだ。

テーマから考えが巡るところから始まる

私はある程度値の張るコースをたくさん経験したことがあるわけではないからあまり他を知らないけれど、陽子さんのコースには毎回テーマがありその説明から始まる。今回は陽子さんが畑で今の時期だからこそ見えてきた「色」がテーマだった。もうそれだけで、「シェフが畑に行っているからこそ生まれるテーマだ」「日本は色の表現が無数にあると言われているし、和食ではないけれど日本の文化を感じられるな」などと思ったり、野菜も種類や時期で色に濃淡があるという、当たり前なのに忘れがちな光景に気づかされる。これから出てくる料理にワクワクしつつも頭には畑や野菜の姿が思い浮かんでいる状態に、あぁ自分はもう世界に引き込まれているのだなと感じた。

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全ての品に必ず驚きがある

色やメニューからは想像がつかないような食材が使われていたりするという点で、料理が出てくるたびに驚きや発見がある。あ、ちなみに食に対して知識のある人からしたら、「なるほどそうくるのね!」と納得するのかもしれない..。でも私は、そもそもその食材がこの料理の一部になり得るのか!という予想もしていない展開にワクワクしながら一口目をいただく、という状況が常だなと振り返って思った。

それにしてもどうしてそこまで驚きが新鮮に感じるのかを考えたときに、使われている食材が自分の知っている身近な野菜だからだということに気づく。名前も聞いたことのないあまり食べたことがない野菜だったら単純に受け入れることになるのかもしれない。でも「え、いつもあんな風に食べているあの野菜が」ここに使われるの?!と、なじみのある野菜であるということに新鮮さを感じさせているのだと気付いた。そんな風に良さを引き出してもらって、野菜も幸せだ…と思わずにはいられなくなる。

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どんな質問の答えにもストーリーが返ってくる

何か少しでも生まれた疑問を質問してみると、その全てになるほどと思うストーリーが返ってくる。それは料理や食材だけではなくて、例えばその空間に置かれている物に関してもそうだったりする。そしてそれらに一貫性があるから、質問を重ねていくことで色んなストーリーが繋がっていることに気づく。そうしていくことで、「これはどんな意味があるのだろう」とコースの最中に段々と自分の思考が変わっていくことが感じられた。全てにおいて背景のある意味のあるもので揃える大切さを感じられる。

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私が感じた陽子さんに関する気づき

これはコースに関することというよりは陽子さんご自身のことで私が気付いたこと(思ったこと)だ。こんな美味しく、驚きにあふれる料理を生み出す陽子さんが料理に興味を持ったきっかけが気になってしまいお話を聞いていた。どうやら自分のおばあさんに、グラタンって本当はこういう食べ物らしいよと教えてあげるために自分で作ってあげたことが原体験だったそう。それプラス人を直接的に喜ばせることが好きだったからだそうなのだが、陽子さんにとって料理は「伝えるもの」でもあるというのは結構大きな要素なのかもしれないと思った。今もコースの提供とそこへの工夫を通じて、何か料理の先にある状況や物事を、人に伝えようとしている。料理を通して人を喜ばせたいというだけではなくて、別のことを知ってもらうきっかけにするという意識があるように私は感じた。

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こんな風に、料理そのものだけでなく、意味が込められた時空間全てを楽しむことがコースなのだということを、私は陽子さんのシェフとの距離が近いコースに出会ったことで知ることができた。食事というか、「体験」だなと思う。
他にも、畑の状態が刻一刻と変化していることを畑や野菜主役の料理を通して教えてくれるシェフ達との出会いは、私にとって食に対して考え直す転機になっている。

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