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君と。 4。

睡眠と睡眠の息継ぎのように
君が言う
あなたの今夜の晩飯どうする?
俺が作ってやるから!
そうだ、買い物に行ってこよう
鶏肉がないんだ!
スーパーまで歩けない君が
買い物袋を持つ力のない君が
睡眠と睡眠の息継ぎのように
繰り返し繰り返し
そればかり口にする
涙が出るじゃないか
あんまり私を思わないでくれ
納豆と卵さえあれば
私は事足りるんだよ
君は、いつも
私の食べ物の心配ばかりする
そして、無理をして
直立できない体で包丁を握り
呼吸の音をヒューヒューさせながら台所に立つ
車椅子に何度も何度もどっかりと身をながら
そのたびに、いつも
腰や背中の激痛と
上がり切った心拍数に耐えて
時間をかけて、ゆっくりと
極上の逸品を作ってくれる
とても声をかけられない
やめてくれてとも言えない
君の作る料理は
君の命を削っているのだもの

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25歳 上の夫(令和5年、77歳。重篤な基礎疾患があります)と私との最後の「青春」の日々を綴ります。

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