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描け。だったら描け。

私が それに懊悩 してはなら ないのだ。

彼女の命に 間に合わずとも、 ただ 着々と、なすべきことを、乱れずに、 なすだけである。

泣いている場合でもないのだ。

そんな時間などないのだ。

私が苦しむだとか、 そんな 猶予はないのだ。

例えば、 会いたかっただの、 手紙を書きたいだの、 電話の嫌いな彼女に いっそ電話しようかだの、 やはり 会いに行こうかだの、 そんな 猶予は もう 1分1秒もなくなった。

描くだけである。

描くためだけの 諸々をして、 描くための作業をし、 描く だけである。

朝 起きる。
ペットボトルのコーヒーを 1本飲み切る。
薬を排泄する。

すぐ作業に入る。

夕方症状が出る。
脳ミソのリミットが来たということだ。
就寝前の薬を服薬する。
時には頓服も服薬する。

仕事をしていて冴え 切った 頭。
お父さんに足を触ってもらい、 それを合図に 眠りに落ちる。

朝が来る。
この 繰り返しをする。

このペースが 乱されてはならないのだ。

彼女のためにも、 このペースを乱してはならないのだ。

誰とも連絡を取らず、 お父さんとも 会話をするのは 仕事が終わった時、 この没入を、 今 止めてはならないのだ。

膨大な 命を 私に吹き込んでくれた 彼女が、 私の書いたものを、 私の描いたものを、 もう二度と 見なくなる日が もうじきくる。

二十歳そこそこの小娘 だった私が 引き寄せられ、 憧れ、 追いかけ続けたもの。

それは彼女の筆致だった。

私は彼女に褒められると 非常に嬉しい。
私は彼女に認められると 非常に嬉しい。
私は彼女に 言葉をもらうと 非常に嬉しい。
彼女に 見ていてもらえるだけで、 私は非常に嬉しかったのだ。

オペの跡の写真は、 ICU での彼女の写真は、 私のスマートフォンに保存されている。

会いに行きたい、 それは正直な気持ちだ。
けれども 統合失調症で 障害者 2級の私がそれをやったら、 また移動のストレスなどで ひと月 潰してしまう。

描け。
だったら、 描け。

1分1秒たりとも、 私と彼女の間には 猶予はないのだ。

この没入を、 止めるな。

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