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■ふと、思う■ 字面

 作品とは一切関係のない話だが、「夏目漱石」という四文字がおしゃれだと思う。
同じ系統でいうと「清少納言」や「高浜虚子」、「安部公房」も。それぞれ一文字目・三文字目と二文字目・四文字目がセットになって、平易な漢字と、密度の濃い漢字の組み合わせになっている。メリハリがきいていて、ご本人やその周りを取り巻く人々のバランス感覚まで伝わってくるようだ。

 「坂口安吾」は、音がいい。       さかぐちあんご=○○○゛○ ○○○゛と、濁点が出てくるタイミングがいいのに加えて、「ご」の前に「ん」があることで、「あんご」の発声が滑らかにいき心地よい。

 別のジャンルでいうと、「内田百間」や
「古井由吉」なんて、もうすばらしい。字面が完成されている。漢字の中にしつらえたいくつもの四角形に、とびこんでいきたい。余韻や余白の凄み。

 「山川方夫」は、名前を見ると心のガタつきが消えない。部屋の長さに合わない家具でも買ってきてしまったときのような、おさまりきらないものを感じる。なにかのズレ。その感触がいつまで経っても忘れられないまま、わたしの中に居続ける。


(以上、すべてわたしの勝手な印象であり、ご本人の名前の由来とは一切関係ありません)

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