見出し画像

【速報】中国・反不正当競争法改正草案の発表

昨日付で、国家市場監督管理総局より、反不正当競争法の改正草案と、それに対する意見募集についての発表がありました。

中国の反不正当競争法は、日本の不正競争防止法に相当する法律です。

直近では2019年に改正があり、同改正時には、営業秘密侵害についての立証責任転換規定など、主に営業秘密保護に関する保護の強化を図る規定が盛り込まれました。

今回の改正草案では、ネットワーク、IT関連技術の進展に伴う新たな不正競争行為の規制強化を目的とする規定が目立ちますが、私が注目したのは、今回の草案で新たに追加された18条です。

18条は、日本の不正競争防止法における、限定提供データの保護関連規定に相当するものと言えます。「限定提供データ」とは、ちょっと乱暴ですが、一言で言ってしまえば、商業的価値のあるデータであるが、営業秘密としては保護されないデータのことです。

日本法において、限定提供データとして保護されるための要件は、
①限定提供性(=業として特定の者に提供すること)
②相当蓄積性(=電磁的方法により相当量蓄積されていること)
③電磁的管理性(=電磁的方法により管理されていること)
ですが、

今回の改正草案を見ますと、18条で保護対象とされるのは
商業データ」であり、その要件は、
①事業者が法に基づき収集したものであること
②商業的な価値を有すること
③相応の技術的管理措置を講じたこと

となっています(草案18条2項)
ただし、公衆が無償で利用できる情報と同一のデータの取得、利用、開示行為は、本条による規制の対象外とされています(同条3項)。

③の「相応の技術的管理措置」については、上記3項の規定と、1項1号で「窃盗、脅迫、詐欺、電子的侵入などの手段により、技術的管理措置を破壊し、他の事業者の商業データを不正に取得し・・・」の規定をあわせると、おそらくは、パスワード等によるアクセス制限のことだと解されますが、現時点では具体的に明確ではありません。

②の商業的価値については、営業秘密の定義規定と同一の用語が使用されており、営業秘密の要件においては、ここはある程度広めに解されているように思います。
草案18条2項の文言上は、日本法のような「相当量」は要求されていませんが、規制対象行為について、例えば、
「不正な手段により取得した他の事業者の商業データを開示、譲渡又は使用し、他の事業者が提供する関連製品又はサービスを実質的に代替するに十分であること。」(同条1項3号)と規定されていることからすると、②の価値性要件ではなく、対象行為の判断のところで、「量」について、厳しく絞りをかける建付けとなっているように思います。

その他の規定等については、事務所のニュースレター

等で、中国弁護士とコメントさせて頂く予定です。



この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?