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【詩】星を瓶にあつめて

鉄塔のてっぺんにとまって
星のない夜空を見上げて
黒い海の永遠の深さのような
波立たない平坦な面のような
美しい黒が広がっている

いつもは星が広がっているけれど
全部瓶に集めて中に詰めて
輝きすら吸い込み
ブラックホールも入れて
そんな宇宙瓶片手に
黒い夜空を見上げている

星をばらまきたい衝動を抑え
見上げていると
寝る前の真っ暗な天井を
思い出して
また明日がやってくるのかな
と思いながら
目をつぶる

東の空にはまだ変化はない
けれどいつかは
茜の空に押されながら
黒く美しい夜空は
西へと移動していく
それまでに宇宙瓶の中身を
ばらまいて
星たちを戻したい

黒く美しい夜空を泳ぎたい

宇宙瓶を鉄塔にぶら下げて
飛び込んでみたら
心の中の星たちが
勝手に飛び出して
自由に輝きだした

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