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【詩】フルムーン7月

濃厚な緑があふれる森の深夜を
ウルフは黙々と歩いていると
大きな牡鹿のつのが
フカフカの地面に突き刺さっている
三又の成熟した牡鹿のつのは
誇らしげに突き刺さっている
フルムーンのスポットライトが
森の枝や葉を無視して照らす
強制的サーチライトで
照らされた牡鹿のつのが
聖剣のように突き刺さっている
引き抜く勇者を捜しているのか
罠にかかる愚者を待ち構えているのか
深夜の森の小さな舞台で
あやしげに
小道具として突き刺さっている
このつのを頭につけて
ユニコーンみたくなって
進化する姿を妄想したウルフは
突き刺さっている牡鹿のつのに
飛びつくと
瞬時にくわえ
フルムーンのサーチライトが届かない
森の奥の奥へと
ダッシュダッシュダッシュした


「バックムーン」


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