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【詩】くらやみにくるまって

くらやみにくるまって
こぼれ落ちる言葉にゆられ
今日と明日をさまよいながら
旅立ったはずの島から離れられず
向かった先の島は見当たらず
渦に巻き込まれながら
くるりくるりとまわり
あせりが言葉をあおり
カオスに飲み込まれそうなったときは
全てを手放して
あきらめぎみに
ぼうっとしてみると
くらやみはやわらかくなって
大きな呼吸をひとつ
重力に従順になって沈み込む
世界はスローになって
言葉たちもおだやかに流れていった

気が付いたら
あの星は昨日になっていて
きらめていた裏側は
ダークな底なし沼で
ライトを探しては自分の星に当てて
きらめこうとしている
つかなくなったライトは
沼の中へ捨てられて
別のライトを手に取ると自分の星に当てている

フリーになった両手で
望遠鏡を覗いてみては
月や星を見てみたり
行く先を眺めていたり
旅先で買ったおいしいパンをほおばり
掃除をしたり
読書をしたり
ペンを手に取ったりして
今日と明日のあいだで
ゆられている

あの毎日やってくる くらやみが
敵ではなく味方だったと
気が付くとき
夜空を観測する

誘蛾灯と星の区別くらいは
できるようになっているだろうか

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