がんに対する抗体とサイトカインの複合体で治療困難ながんを治療可能に


タイトルに書いたような抗体とサイトカインの組み合わせは多数研究されている。
よくある研究ではあるが、治療困難ながんが寛解する可能性があるという大きな期待をしたくなる記事があったのでメモ。

この研究ではグリオブラストーマを治療対象とし、がんで発現が多いフィブロネクチンのスプライス型に対する抗体(L19)と炎症性サイトカインであるTNFの複合体が治療に使えることを示している。

グリオブラストーマについて

グリオブラストーマは脳腫瘍の一種で、グリア細胞が腫瘍化して起こるグリオーマの一種。このグリオーマの中で最も悪性度が高いグレード4にあたるのがグリオブラストーマ。
グリオブラストーマにはMGMTという抗がん剤に耐性があるものもあり治療がより困難となる。

抗体とサイトカインの最適化

研究ではまずL19と様々なサイトカインの複合体で治療効果を確認し、L19とTNFの組み合わせを導きだしている。

次に、この複合体単体では治療効果が小さいので、現在利用されている治療薬との組み合わせを探索している。これにより、抗がん剤CCNUとの組み合わせを導きだした。

この治療薬の組み合わせを実際に6例の患者に投与したところ、内5例に効果がみられ、内1例は2年間再発がみられていない。6例の患者の内5例はMGMTであり、投薬治療が難しかった患者に対しても有効であることが分かった。

まとめ

この研究から、L19/TNFの抗体とサイトカインの複合体に加えてCCNUを組み合わせた治療により、治療困難であったグリオブラストーマの治療が可能になることが示唆された。
さらに一部の患者は寛解まで至る可能性もみられており、今後の治験の結果や改良など期待している。

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