Morris [ 6 ] new morning / 新しい朝
title: Morris [ 6 ] new morning / 新しい朝
~ the story of the becoming a divine beast ~
ある朝モリスは巨大な獣に出会いました
まるで山のような漆黒の体には
全てを粉々にできる大きな角と
ギョロリと光る大きな目玉
モリスはすぐに逃げようと思いましたが
体が鉛のように重たく固まってしまって
とても走れそうにありません
そのとき一羽のカラスがやってきて
震えるモリスに言いました
お前は何をそんなに怯えているんだい
黒いのが怖いのかい 大きいから怖いのかい
それとも尖ったツノが怖いのかい
私だって黒いぞ
小さいが空を飛べるし
鋭いクチバシと爪もある
だがお前は私を恐れないね
なぜだい
それはお前が私を知っているからだ
私がただのカラスにすぎないことをね
さぁ 一度その目を閉じてごらん
お前が怖れる怪物はお前の中にしかいやしない
そして三つ大きく息をしたあとに
もう一度ちゃんと見てごらん
たったそれだけのことで
目の前の世界は簡単に変わる
モリスはカラスの言うとおりに目を閉じて
三つ大きく息をしました
ゆっくり吸って ゆっくり吐いて
そしてもう一度ゆっくりと
怖る怖る目を開けました
するとどうでしょう
モリスの目の前には
朝の光に照らされて輝く大きな体と
吸い込まれそうなほど美しい瞳の主が
優しくこちらを見ています
モリスはとても驚きました
全てが違って見えました
カラスが言ったとおり
まるで世界が変わったようです
美しい瞳の主はゆっくりと
頭を下げて言いました
おはよう君はモリスだね
鳥たちに聞いているよ
1人旅をしているんだってね
よかったね
今日もいい天気になりそうだ
とても優しい声でした
モリスの重たく固まっていた体は
魔法が解けたように軽くなり
朝霧にきらめく光の粒が
この新しい朝に集う皆を
祝福しているように輝いています
モリスはもう一度ゆっくりと
大きな深呼吸をしました
ゆっくり吸って
ゆっくり吐いて
空気がこんなに美味しいことを
モリスは初めて知りました
つづく
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