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【日記】逆杞憂


変な時間に目が覚めた。

強い酒を飲んだせいだ。

草木も眠る時間帯に僕だけが起きている。

ボーッと天井を見上げる。

…天井。


もし今、重力が上下逆転したらどうなってしまうだろう。

『杞憂』という言葉は空が落ちてくるのではないかと心配した青年の話に由来するらしいが、僕はその逆だ。

あらゆるものが空に向かって落ちていく世界。

建物の基礎がしっかりしていれば、地表から吊り下げられる形になるのでとりあえず居住空間はセーフとしよう。

この時点で屋外にいた人は空へ落ちていく。

あと基礎が弱かった建物にいる人も建物ごと空へ消えていった。

建物が耐えてくれても、まず天井への落下は避けられない。

ベッドで寝ている人は天井に叩きつけられたのち上からベッドが降ってきて追い打ちをかけられることになる。

普通に死ぬんじゃないか?

しかし僕は布団派である。生き残った。

こうして天井でサバイブするとなると、長期化を見込んで食料と水を確保しなければ。

水関係のインフラは重力に頼り切っている。

水は下に溜まるものという前提で設計されている水道管の類は今や全く機能しないと思っていいだろう。

…ってか、そもそも雨が降らなくなって水の循環が途絶えるな。

それ以前に、

よく考えたら大気持ってかれるじゃん。

初手からゲームオーバーだったわ。


というわけで僕は死んだ。

重力に感謝。

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