【オーディブル】『この世の喜びよ』『嫌いなら呼ぶなよ』他
さいきん聴いた本の記録です。
◆この世の喜びよ/井戸川 射子
第168回芥川賞受賞作、作者は現代詩の詩人なのだそうです。
はじめ、"あなた"とは誰を指しているのか?理解するまで時間を要しました。
"あなた"は語り手自身、ちょっと不思議な感じがしましたね…
特に大きな事件も起きない、日常の狭い空間で、登場人物も数えるほどの普通の人たちです。
それらが二人称の私の目で語られることにより、淡々と通り過ぎていった日々に命が吹き込まれていくような、とありきたりな表現しかできなくて恐縮ですが。
通り過ぎたことを思い出す時、自分の姿を上空から眺めているように思います。
幽体離脱みたいな感じで。
だから、実際に追憶は、はっきり言葉にしないけれど、二人称で再現してるものなんじゃないかなあ?なんて思いました。私だけ〜⁇
一節が短く、朗読にはもってこいに思いました。
読み手の声やトーンが作品とぴったりに思いました。
本で読んだら印象が変わるかもしれません。
◆誰かーSomebody/宮部みゆき
面白かった!
謎解きの展開が面白いのは当たり前として、語り手の杉村三郎の人物像が素晴らしく魅力的なのです。
で、このまま誰にとっても善い人で逃げ切るかと(変なとこに注目した)と思いきや、とんでもない暴言を投げつけられる…
人の腹の中には悍ましい悪意がとぐろを巻いている…
◆骨ん中/荒木 源
複雑な構成だけれど、文体が聞きやすく語りの声も好きです。登場人物一人一人のもっと掘り下げた話が知りたくなりました。
で、結局足元を掬われてしまうのは人間の情、親子の愛、恋愛、なのだなあと。
◆嫌いなら呼ぶなよ/綿矢 りさ
面白かった!
著者は私の息子ぐらいの若い人だけれど、大人になった我が子は同じ時代の人です。
大人になるまでの数年間、同じ体験をするので…
私がこの年齢だった頃とは違う世の中なのだけれど、あるある、あるよねーこういうこと、とうなづく。
時代が変わっても人のやることや思ってることはそんな変わらないんだな。
『老は害で若も輩』
最後にブチ切れる編集者、この終わり方かなり好きかも。
◆老人支配国家 日本の危機/エマニュエル・トッド
インタビューを起こしたものなので、文章は理解しやすかったです。
※ヘッダー画像は めでたいこさんよりお借りしています。
ありがとうございます♪
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