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妄想一人暮らし

次男が隣市に転勤になり、14年ぶりに同居を始めてはや一週間が過ぎた。
キルトやソーイング用の生地や副資材、お道具で侵食していた二階の和室を明け渡すことになり、取り敢えず作業部屋に押し込んだ。
一階和室には次男が寮から持ち込んだ荷物が溢れかえり、まさに上へ下へのてんやわんやの日々を送っている。

三年前に三男がUターンしてきた時にも不用品を処分したが、三ヶ月で結婚することになり、着替えや身の回りのものだけ持ってあとは残して出たので、けっきょく荷物が増えたような感じがした。

二階の和室から本棚を移動するのは困難なので、私が使っていた本棚を空けて次男に譲った。
私の本の行き場が無くなった。
ついに本気で処分する時が来たのだ。

本だけじゃなく、古びたリネン類など手付かずだった"いつか何かに活用するつもりのもの"も見切らなくてはならない。

この道の専門家曰く、いつか使うは絶対使わない、だから捨てるべきという。
私はそうは思わない。
これまでに、取っておいて良かったものは数々ある。
また必要になったら買えばいい、という安易な考え方はできない。
不燃物処理場に出向くと、そんな気持ちにはとてもなれない。

そんなわけで、物を捨てるのだって心身ともにエネルギーがいるから、モチベーションを維持または高めつつやらなければ力尽きてしまう。

足掻くのをやめたらずぶずぶと沈んでしまうのだ。

そこで、モチベーションを高める素晴らしい妄想を思いついた。

私はこれから家を出て、一人暮らしをする。
ネットで市内の単身向け賃貸物件を検索した。

駅近、築23年、2DKバストイレ付き、バルコニー有り、41,000円のアパートに目星をつける。

間取りを見ながら検討する。
一人暮らしなら居間は作業部屋と兼用で良いから、ミシン二台は持っていけるだろう。
だけど、本や衣類は必要最低限に縛らねばなるまい。

この部屋で暮らすために持ち物を処分する。

そうと決まったらぼやぼやしていられない。
俄然やる気が出てきた。


※ヘッダー画像はあおさばさんよりお借りしています。
ありがとうございます♪

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