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人生に失敗はつきもの…台無しにしたキルトに思う

2016年、インスタグラムでキルト作家Pat Sloanさんが主宰したプロジェクトに参加しました。
100枚のブロックでサンプラーキルトを作成するというもので、2週間に1枚だったか…協賛デザイナーがSNSで発表したパターンを縫い、メンバーは進捗を公開しあいながら1枚のキルトに仕上げていくという企画でした。

私はその時点ではミシンで作るパッチワークキルトの講座を受講しておらず、国内には日本人作家による日本語で、ミシンキルトの具体的な作成方法を記載した書籍もなく(これが日本でミシンキルトが広まらなかった要因だと思っているけど)動画もなく、読めない聞けない英語を翻訳エンジンを頼りに何となく読み解き、果敢にも(!)チャレンジしました。
(今思えば先に英語勉強しろよ!って感じですが)

世界中にいるメンバーが公開する進捗情報を共有しあい、励ましあい、称賛しあいプロジェクトは充実していました。
パットさんは優しい、懐の広い方で、こんな極東の(笑)無名のキルターの私のところにも、励ましと称賛のコメントを残してくだいました。
ほんとうに楽しかった!

パターンはすべて無料で公開され、のちに書籍化されました。

パターンはミシンで作るものもあれば、手縫いのもの、アップリケ、刺しゅうを施したものなどあり、あらゆるテクニックを学びました。
当時夫が持病のため入退院を繰り返していたので、病院の個室で夫を見舞いながらパターンを縫ったこともありました。

しかし、1辺が6inchのパターンを100枚縫いつないでキルトに仕上げるのは、私にはいささか手に余りました。
はっきり言って無謀な挑戦でした。
もっと易しいプロジェクトから参加して、技量を磨いてから着手すべきでした。

キルトはいつまでも完成できず、収納庫の中で古びていきました。

2020年に、いくつかのパターンを持ちいておよそ1分間の動画を作りました。
こんな表現方法もあるかな?と。
これって、ハンドメイドの公開方法としての1分動画を先取りしていたんじゃないかと自負していますが(笑)

けれども私は完成させるのを諦めてはいませんでした。
最近になって、本気で完成させる決心をしたのです。

出来栄えが良くなくても、私にとっての記念すべき1枚に違いないのだから…

そしてやっと!100枚には足りませんが、8列10段を接ぎ合わせたのをキルト綿に重ねミシンでキルティングできました。
キルティングラインはグダグダですが、完成させて区切りを付けたかったのです。
これを完成させないと先に進めないと思いました。

ところが・・・

悲しい結果になったのは、無知と準備が足りないまま走り出したフライング故です。
各パターンは、同じデザインやカラーで統一するメンバーもしましたが、私は木綿であることだけ決めて、無地やプリント、先染めなど好きな布を使いました。
中で、バティックという、ろうけつ染めの風合いのある美しい布をいくつかのパターンで使っていました。
バティックは色落ちするので、使用前に予め水を通す必要があります。
2016年当時、そのことについて詳しい知識がありませんでした。
本来は、どの布も水通しをするのが基本です。
でも、特に日本製の生地は高品質で色落ちやゆがみが出にくいということもあり、油断していました。
8年来の手あかと拠ったシワを取るために洗ったら、部分的に色落ちして移染してしまったのです。

その様を見たときのショックと言ったら!

必死でリカバリに努めましたが、無残な結果になりました。


色落ちしたパターン①
これは、ペーパーファンデーションピーシングという手法でミシンで縫うパターンです。
色落ちしたパターン②
これもペーパーファンデーションピーシングによるもの。お気に入りのパターンだったのに!
色落ちしたパターン③
布地屋さんからいただいたサンプルの切れ端で作った、パターンは単純ですがある意味実験的な配色でこれもお気に入りだった。

こういうものを公開するのはちょっと恥ずかしいですが、ここは作品展会場ではないので。

でも安心してください、私はすでに気を取り直しています。
これからバインディング(キルトの周囲をバイアス布でくるむ作業)をして、近いうちに完成させます。
そして、新しいマットレスを敷いたベッドに使うつもりでいます。


このキルトからたくさんのテクニックを学び失敗からも学びました。
キルトを作る喜びや苦労も知りましたしね!
見る度にこの苦い経験を思い出し、やれやれと思うかもしれません。
この嘆かわしいシミが、洗濯を繰り返すうちに薄くなり同時に全ての布も色あせ見分けがつかなくなる時が来るでしょう。
そんな失敗のことなど忘れてしまっているかも…
近頃いい具合に物忘れが激しくなったことですし。


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