マガジンのカバー画像

とんぼ紀行

42
日本はとんぼの国。
運営しているクリエイター

記事一覧

朝熊岳金剛證寺~伊勢紀行3(終章)

朝熊岳金剛證寺~伊勢紀行3(終章)

[はじめに]

朝熊岳金剛證寺(あさまだけこんごうしょうじ)は、伊勢志摩スカイラインの中間付近の、標高470メートルぐらいの山あいに、広大な寺域をもって、そよとも風の吹かぬ静寂のまにまに、しかしどっしりと存在していました。

さきほどまで遊んだ、強風注意の朝熊山頂展望台から、スカイラインを下ること500メートル。木々に囲まれて、あまり展望はよくないです。

実は、金剛證寺に参るのは初めてかも知れな

もっとみる
「尖っている」~伊勢志摩スカイラン/伊勢紀行2

「尖っている」~伊勢志摩スカイラン/伊勢紀行2

「広大な伊勢平野と真珠の海、眼下には伊勢志摩の大パノラマが広がります。」と謳われる伊勢志摩スカイラン(16.3km)を走ってきました。

朝熊山(あさまやま)の山頂展望台からの絶景は、みんなよく知っているということで、この際割愛し(なんでやねん!)、その代わりに景色の中に「尖っている」ものを探してみました。

「スカイライン」と「尖っている」の関係は、無関係です。
あえて言えば、自然の絶景が横の広

もっとみる
知ってるようで知らんかった~伊勢紀行1

知ってるようで知らんかった~伊勢紀行1

伊勢国に二見浦というところあり。そこに奇岩・夫婦岩が立っている。

夫婦岩の大きさは、男岩高さ 9m、女岩高さ 4m。
二つの岩を結ぶ大注連縄は長さ 35mあり、男岩に 16m、女岩に10m巻かれている。その間 9mある。
夫婦岩の間からの日の出は、5月から7月頃が見ごろ。(現地説明板より)

夫婦岩の日の出の景は、日本中みんなとまでは言えませんが、多くの人が(観光案内の写真などで)知っていると思

もっとみる
伊勢湾のハマボウ

伊勢湾のハマボウ

と、と、と、と、、、

パラグライダー?

ここは海岸だよ。背後は伊勢平野が広がるのみ。

山がないから上昇気流もないはず?

エンジン音?

そうかあ。エンジンで飛ぶパラグライダーかあ。

(後で調べたら「パラモーター」というらし。)

海浜では、親子らしき数人がズボンたくしあげ遊んでいる。

ワタシも腕まくりして、伊勢湾を愛でてみませう。

ハマボウは、アオイ科フヨウ属の塩分に強い植物で、夏の

もっとみる
平安京の東寺と西寺

平安京の東寺と西寺

「東寺」を知らない人は少ないと思う。私も何度か参拝したことがある。

今日は、この東寺のことではない。西寺のことである。

「西寺」は、昔あったらしいね、程度にしか知らなかった。東寺と西寺は、ともに平安京羅城門の東西に、等しく造営された官寺だというのに。

実は、西寺は、今はないのである。街中の、普通に普通の近隣公園に、その跡を偲ぶ土壇があるのみだ。

[西寺とは]
「西寺は、平安京への遷都から間

もっとみる
風の道~青山高原

風の道~青山高原

青山高原は、「関西の軽井沢」と呼ばれているそうです。
しかし、軽井沢に遊んだことがないので、ピンときません。

たしかに青山高原に設置されている三角点の標高は756メートルありますから、平地よりはだいたい4度ぐらいは涼しいはずです。

そんなわけで、七夕猛暑の今日、青山高原に遊んできました。遊んだ、と言いましたが、なんのことはない、伊勢湾から若狭湾へ抜ける風(冬は逆方向)を見てきただけです。

もっとみる
孤独のドライブ〜雨の光明池

孤独のドライブ〜雨の光明池

しっかり雨でした。
連休の最終日だというのに!

それでドライブにでかけることにしました。

妻は言いました。
「こんな雨の日に? 一人で行っといで」

嬉しい一言でした(笑)

…そんなわけで、前々から行きたいなと思っていた、某ダム湖に行きました。

府内最大のダムだということです。すぐそばに鉄道駅があり住宅団地が接近している、そんな場所にあります。

写真ではあまりわかりませんが、結構雨が降っ

もっとみる
立梅用水通水200年~水の魔力・恵み

立梅用水通水200年~水の魔力・恵み

この土曜日は朝から本格的な雨でした。こんな日こそ、川の工作物を観察するにはもってこいです。

というわけで、かねてより関心を深めておりました三重県「立梅井堰(たちばいいぜき)」を観に行きました。ちょうど2日前の水曜日から多気郷土資料館で立梅用水をメインとした企画展「ふるさとの農業用水」が開催中でありましたので、こちらにも足を伸ばす欲張りな行程で、雨の紀伊半島大横断ドライブを決行いたしました。

もっとみる
西川緑道公園の夜明け(岡山市)

西川緑道公園の夜明け(岡山市)

西川(にしがわ)は、400年前の江戸時代初期に開削された用水路だということです。この用水の目的は、城下町でさまざまに使用することはむろん、城下周辺および下流の児島湾干拓田の灌漑用水、そこに住む農家の生活用水、また集落環境用水でもあったのでしょう。

滔々と流れる続ける西川。おそらく、特に戦後の都市化や生活様式の変化により、その灌漑機能は漸減してきたはずですが、なお市街中心部にあってうるおいの街づく

もっとみる
日の出/旭川・烏城〜岡山市

日の出/旭川・烏城〜岡山市

やや曇り空でしたが、日の出の頃(5時頃)、旭川沿いに歩きました。

[旭川]

岡山市中心部を流れる県内一長い川。西川用水は旭川から取水されている。
旭川を挟み、西に岡山城(烏城)、東に特別名勝・後楽園はある。

[岡山城(烏城)]

宇喜多直家(なおいえ)が城郭と城下の整備に着手し、その子の秀家(ひでいえ)が、備前・美作57万石にふさわしい三層六重の本丸を有する岡山城を完成させたという。関ヶ原合

もっとみる
伊賀紀行5 「芭蕉足跡 上野天神宮と上野城編」

伊賀紀行5 「芭蕉足跡 上野天神宮と上野城編」

[上野神宮]

「上野天神宮」は、上野市駅(伊賀鉄道)から歩いて十分ほどの市街地にあります。

上野天神宮の別称は、上野天満宮、菅原神社です。主祭神は菅原道真公。

そして、ここは、

「文學之祖神」
「牛馬守護神」

でもあるんですね。

豪雨による災害の畏れと、反面農耕の水をもたらす雷神に由来する天神が、いつか農耕に関わる「牛」の守護神となるのは自然なことだったでしょう。

この牛が、天神さん

もっとみる
伊賀紀行3 「芭蕉足跡・生家跡編」

伊賀紀行3 「芭蕉足跡・生家跡編」

上野城下の赤坂町にあるこの家屋は、芭蕉の父が柘植から移住、兄が受け継ぎ明治の時代まで松尾家が住んでいました。現在の建物は伊賀地方特有の土間の構造から江戸末期のものと推定されています。(生家跡パンフより)

[芭蕉の年表]

1644 伊賀国に生まれる
1656 父松尾与左衛門が亡くなる
1662 藤堂新七郎家の嗣子良忠(俳号蝉吟)に仕える
1666 良忠が亡くなり、奉公をやめる
1672 「貝おほ

もっとみる
伊賀紀行2 「芭蕉足跡 蓑虫庵編」

伊賀紀行2 「芭蕉足跡 蓑虫庵編」

上野城下の町中に、こんな絵がいくつも描かれていて、出迎えてくれます。伊賀、といえば「忍者」ですからね。

しかし俳句を嗜む私としましては、伊賀といえば「俳聖・芭蕉」が一等です。

伊賀は芭蕉生地なんですね。ですから、本記事(芭蕉足跡シリーズ)は、上野の町中さんぽしながら、また寄り道もしながら、芭蕉ゆかりの場所を訪ね歩いた、その記録となります。

そんなわけで、「うえのし」の駅から歩いて20分ほどの

もっとみる
伊賀紀行1(序章)「西山の棚田」

伊賀紀行1(序章)「西山の棚田」

当地方では、今、まさに田植えの時季です。だから棚田を見に行こう。それも三重県へ!

候補地の一つは、熊野の「丸山千枚田」ですが、ここはさすが遠いし、前にも何回か行ったことがあるので、今回は、伊賀の「西山の棚田」へ行くことにしました。

西山の棚田は、滋賀県境に近い標高710mの高旗山のふもとに広がっています。全体で26ヘクタールあるといいます。

高旗山からの清流と粘土質の土壌、寒暖差の大きい気候

もっとみる