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プロのお仕事

「このお仕事は鈴木さん、小林さんにとって楽しいお仕事ですか?」
「楽しいよ。」
「楽しいよ。まぁ、俺はなんでも楽しい」

いつでもにこにこしているのが「楽しい」わけじゃない。大変なことも、理不尽なことも、うまくいかないことも、人に強く当たることも当たられることもある。喜んでもらえないことも、後悔が残ることもある。多分、嬉しいこと楽しいことなんてこのお仕事の2割くらいだろう。でも何の迷いもなく彼らはそう答えた。私の顔に戸惑いがみられたのだろう。
「理解できないって顔してる(笑)」
「私は仕事が楽しいと思ったことはないです。ただ、みんなが気持ちよくお仕事ができるように整えるだけです」

8:30に始まって20時に終わった。
早く帰りたかった。
必要事項を伝えたらすぐに帰ろうと思ったけど、カメラマンが私の前に座って話始めた。

「だから、プランが動き出したら共有して、困り事があったら提案できるから相談して」
社外の人だけど、だからお金もかかるかもだけど、
外にも助けてくれる人がいるなんて救われる気持ちがした。

自分の気持ちを素直に話すことは得意じゃない。
なのに話してしまった。
こういうところが嫌だったとか、辛かったとか、こういうことを大切にしてるとか。
今思っても「話してしまった」だ。
でもきっと、誰かに話すことが必要だったんだろう。

「クライアントのケアは任すから、こっちができることはやるからさ」
直属の上司に「任せる」と言われた時は、面倒臭いものを押し付けられた気持ちになったけど、佐藤さんに言われた言葉は、「あなたにはできるから」という意味として受け止められた。

帰り道、1時間半電車に揺られながら、
心が動いた時は書くものだと思ってノートに記す。

自分の居場所を見つけそうになる、こういう話はちょっと苦手だ。人を好きになってしまったら仕事は好きじゃなくても続けられてしまうから。
何をしたいかより、誰かと働くことがモチベーションになってしまうと、その人が退職した時に自分の芯がぐらぐらしてしまう。あの感じが苦手だから。

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