台湾式24時間型産後ケアの体験記〜台湾の産後ドゥーラ「月嫂」(ユエサウ)に住み込んでもらったら素晴らしすぎた話
2023年5月の現在、第1子が6歳、第2子は4歳になりました。
育児も家事も、色んな人に助けてもらって今があるわけですが、わが家には、「家事育児チーム」とも呼べる第三者のサポーターが何人もいます。
そのチームづくりの最初の挑戦は、振り返ってみれば「産後ケア」を受けることでした。
第1子の時は宿泊型の産後ケアセンターに滞在、第2子のときは産後ドゥーラさんに来てもらいました。
産後ケアセンターで出会った友人は今でも繋がりを感じる「同志」のような存在ですし、産後ドゥーラさんに至っては、産後1ヶ月のみならず、1歳になるまで、さらに下の子が4歳になった最近でさえ、何度も助けてもらっています。
夫や両親以外に、子どもたちの成長を見守って喜んでくれる人がいることのありがたさ。単純に「家事育児の負担軽減」だけでは説明しきれない、これからの人生に大きく関わってくる価値がありました。
この記事では、台湾式産後ケアを受けた経験(台湾の産後ドゥーラさんに1ヶ月住み込んでもらった経験)について、書いてみたいと思います。
”産後クライシス”を繰り返さないための選択
ワンオペ育児、夫婦コミュニケーションのずれ、お互いたまった不満が大爆発、産後クライシス、、、産後数年間に夫婦に起きる危機のオンパレードですが、まさにこれが、一人目産後一年間のわが家の状況でした。
その状況を繰り返さないために、二人目産後に実践してきたのが、「民間の家事育児サービスの積極的活用」です。台湾人の夫との国際結婚のわが家の場合は、実践の第一歩目として「台湾人産後ドゥーラさんに自宅に住み込んでもらう」というかなり思い切った選択をしました。
特殊な例ではありますが、これはシッター、家事手伝いなど、第三者ヘルプを導入することのメリットを誰より人一倍感じてきた私の経験談です。
住み込みのお手伝いさんって実際どうなの?
まず産前から計画していたのが、産後一ヶ月のいわゆる産褥期間に、自宅に産後専門のドゥーラさん(中国語で月嫂-ユエサウ)を呼ぶこと。台湾では産後ケアが大変充実しているのはニュースなどでも聞いたことがあるかもしれませんが、「月子(ユエズ)中心」と呼ばれる産後ケアセンターに産後一ヶ月間入るのも普通であるのと同時に、自宅に専門の産後ドゥーラさんに1ヶ月間毎日通ってもらう、または住み込んでもらうことも一般的です。この産後ドゥーラ=「月嫂(ユエサウ)」は、専門機関でトレーニングを受けた資格者で、台湾国内で社会的にも認知されている職業です。
わが家の場合は、二人目産後は上の娘がいるため産後ケアセンターに私が行ってしまうと上の娘のケアが大変ということで、自宅に呼ぶというプランで検討したところ、夫の妹さんの友人がちょうどこの専門だということで、ご縁でお手伝いをしてくれることになったのです。
【内容】
産後一ヶ月(30日間) 基本的に24時間体制(可能な時間に休憩をとるスタイル)
○赤ちゃんの世話(沐浴、オムツ替え、ミルク授乳等)
○毎日三食+おやつの準備(家族の分も作ってくれる+産後の体を回復させる漢方の薬膳に基づいた食事)
○夜中の赤ちゃんの世話(夜中じゅう見てくれる。ミルクだったら授乳もしてくれる。私は3時間ごとに授乳のため連れてきてもらっていました。)
○掃除・洗濯
○食材の買い物
○必要に応じて、上の子の世話(わが家の場合は通園バス乗り場までの送り迎え)
基本的に、産後の身体を休めることと赤ちゃんの世話、授乳、替わりがきかない上の子のお世話に集中でき、産後ドゥーラさんはまさに「神」のような存在でした。
最初は、自宅に家族以外の他人がずっといることに対する違和感に適応できるのか、言葉の問題(ツールは中国語のみ)など、不安だらけでした。しかし、実際にスタートしてみると、そんな不安は小さなもので、やってもらえることの多さと、便利さ、快適さの方が比較にならないほど多かったのです。
そして、ママ(妻)が安定していることによる家庭の平和、つまり自分の平穏(仕事に集中でき、家に帰ってきても平穏に過ごせる)を実感した夫は、これをしばらく継続しようと自ら私に提案してくれたのでした。
住み込みという、日本では少数例ではありますが、そこから得られた「第三者を家事育児に巻き込むこと」のメリットは多いです。
夫婦ともに余裕ができ、家族と向き合う時間が生まれる
第三者が自宅にいることで、イライラしている自分を他人に見せるのは恥ずかしいというブレーキが働き、夫婦間の口論が減少する。
私(妻・ママ)に余裕ができて、夫への不満も減る。そのことにより夫も自宅にいる時間が楽になり、心に余裕が生まれる。
自分自身に余裕があることで、イヤイヤ期の上の子にもじっくり向き合える。
外国人ドゥーラさんだったため、日々の会話から子どもが少しずつ中国語を習得した。※継続依頼の決定打となるプラスポイントでもありました。
では逆にマイナスなことは何があるでしょうか?
家族の明るい未来のために、コンフォートゾーンを超えてみる
通常、住み込みとなるとやはり費用の高さがハードルですよね。それ以外にも、自宅に他人が入ることへのハードル、「自分でもそれくらいはできるだろう」「人にそこまで任せないといけないなんて自分は妻・母失格なんじゃないか、、」という伝統的価値観から染み付いた謎の思い込み、という大きなハードルがあるのではないかと思います。シッターさん、家事代行を頼む人たちは、一握りのセレブだけ、自分には関係ないこと、私も以前はそう思っていました。
わが家は当時、夫の海外出張が多く、月の半分以上は不在。家でも仕事をする必要があり、自宅で決まった家事育児タスクを日々こなすという状況は不可能でした。
また、双方の実家も遠方。
妻がほぼすべてを引き受けるか、民間サービスなどの第三者を活用するかの二択でしたが、一人目の経験から、何としても第三者を活用しよう、という思いは夫婦で共通していました。話し合いながら、自分たちにとって見合うと思えるものを妥協せず探そう、という方向で動き始めたところ、幸運にも良い出会いがあったというわけです。
この産後の経験がきっかけとなり、第三者である民間サービスを利用するためのハードルが下がり、その後今までに活用してきたわが家の「家事育児チーム」は以下の通りです。
「子どもの料理お手伝い教育」×「料理作りおき」サービス
地域のシルバー人材さんによる月2回の掃除
ベビーシッター
近所に住む台湾人の知人に、平日夕方〜夜の時間帯にお手伝いに来てもらう
わが家にとっての明るい未来の第一歩となった「産後ケア」
もし一人目のときと同じく、妻である私のワンオペ育児が続いていたら、、、おそらく夫婦関係は破たんしていたかもしれません。お互いの大事にしたい「軸」を話し合えないままに、「自分の方が大変」というマウントの取り合いをし、たくさんのエネルギーを使って話し合いという名の喧嘩も山ほどしてきました。
育児家事の枠外にいた夫、それを常に不満に思い育児家事になんとか参画してほしいと思っていた妻、という対立軸から、「どうやってわが家なりのハッピーなチーム育児の形を作っていくか」について二人で考え、解決策を検討していく。私たち夫婦が、明るい未来に向けて歩き出した第一歩でした。
日本にも産後ケアの文化を広めたい
大した睡眠不足にもならず、食事も毎日美味しすぎて、精神の不安定もほとんど起きず、元気でいられた産後の日々。
これが普通で、決して一部の高収入な人たちだけのサービスではなく、誰にでも一般的、という台湾の産後ケア文化の素晴らしさにカルチャーショックを受けた私。
日本でもこれが普通の文化になってくれたら、日本の少子化にも少しは変化が起きるのではないか、、、?と本気で思っています。
日本の産後ケアの発展にも、何かしら貢献したい、できることはないか、とそれからずっと考え続けています。
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