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「カムカムエヴリバディ」は朝ドラ版「スター・ウォーズ」である。【安子編】#カムカム

 「カムカムエヴリバディ」という作品は朝ドラ版「スター・ウォーズ」をやりたいのだ。そんな荒唐無稽な仮説をベースに、2021年放映のNHK大阪の朝ドラ「カムカムエヴリバディ」(以下、「カムカム」)を無理やり読み解いていくことにしたい。
 ただの思いつきを、放送と並行して継ぎ足し書いていくので、記事の最後に修正履歴もつけておく。100%屁理屈と妄想で構成されている記事であり、今後の展開によっては、全くの大外れになる可能性もある。最終回まできちんと更新できるかどうか怪しいが、とりあえずやってみることにしたい。
(2021/12/06)

 また「るい編」の「スター・ウォーズ」妄想考察は、下記リンク記事を参照していただきたい。

(2022/1/14)

  続く「ひなた編」の「スター・ウォーズ」妄想考察は、下記リンク記事を参照していただきたい。

(2022/2/23)

3世代のヒロインと3世代のジェダイ

 「カムカム」公式サイトの番組紹介を見ると次のように書いてある。

安子、るい、ひなたと、三世代の女性たちが紡いでいく、100年のファミリーストーリー

番組紹介=NHK連続テレビ「カムカムエブリバディ」

 一方で、「スター・ウォーズ」である。スピンオフはあるものの、基本的には、次の3部作×3部作の9エピソードである。

旧三部作【主人公:ルーク・スカイウォーカー】
エピソード4 新たなる希望
エピソード5 帝国の逆襲
エピソード6 ジェダイの帰還
*********************************************
新三部作【主人公:アナキン・スカイウォーカー】
エピソード1 ファントム・メナス
エピソード2 クローンの攻撃
エピソード3 シスの復讐
*********************************************
続三部作【主人公:レイ】
エピソード7 フォースの覚醒
エピソード8 最後のジェダイ
エピソード9 スカイウォーカーの夜明け

 主人公は、アナキン・スカイウォーカー(エピソード1~3)→ルーク・スカイウォーカー(エピソード4~6)→レイ(エピソード7~9)の3人の主人公である。
 つまるところ、両作品の共通点は、3世代・3人の主人公の長期間に渡る大物語であり、話の単位は「エピソード」である。
 3人の主人公は、もちろん、以下のように対応している。

安子  → アナキン・スカイウォーカー
るい  → ルーク・スカイウォーカー
ひなた → レイ

 おそらく今後の「カムカム」のストーリー展開では、「スター・ウォーズ」との類似点を感じさせるエピソードが、たくさん見つけることができるだろう。気付き次第、追記していくことにしたい。
(2021/12/06)

あんこと野球とジャズと時代劇

 先の公式サイトの番組紹介に戻ると、次のようにも書いてある。

連続テレビ小説『ちりとてちん』の藤本有紀が、ラジオ英語講座と、あんこと野球とジャズと時代劇を題材に書き下ろすオリジナルストーリー

番組紹介=NHK連続テレビ「カムカムエブリバディ」

 この一見何の関係もなさそうな、ラジオ英語講座とあんこと野球とジャズと時代劇という題材を結びつけようとしているだけで、なんだかワクワクしてくるが、既にこれらの題材が「スター・ウォーズ」との関連を思わせるような形で登場してきている。この5つの要素「英語(ラジオ英語)」「あんこ」「野球」「ジャズ」「時代劇」は、今後の「カムカム」を見ていく上で常に関連性を考えながら見ていくようにしたい。

「On The Sunny Side of The Street」

 安子の時代のストーリーでの重要なキーとなる、ジャズの名曲が、ルイ・アームストロングの「On The Sunny Side of The Street」である。この曲は娘のるい、孫のひなたの名前の由来にもなっている。

 安子と稔が出会い、文通する中で、この曲の歌詞が出てきて、歌詞を読み上げながら、「On The Sunny Side of The Street」が流れてくる。稔亡き後も、回想の場面等で、都度この曲が流れてきて、歌詞の一節である「ひなたの道を歩いていきたい」という台詞が何度も繰り返される。
 しかしながら、これまでの「安子」の境遇は「ひなた」とは真逆である。家族と夫を戦争で亡くし、義母からは冷たい仕打ちに会い、大阪に逃げて、やっと暮らせるようになったら、交通事故にあって、娘は顔に怪我をする。「ひなたの道」というよりは「日陰の道=シャドウサイド」を歩いており、そのうち「ダークサイド」に落ちてしまうのではないか心配である。
「サニーサイド」が「カムカム」で強調されるのは、「スターウォーズ」の重要キーワード「ライトサイド」「ダークサイド」を意識しているからではないだろうか。そして、安子=アナキン・スカイウォーカーと考えると、今後の展開は、安子がダークサイドに墜ち、愛娘るいと戦う展開になってしまうことも予想される。現時点(2021年12月6日)ではまだ分からないが、親子同士の確執は過去の朝ドラでも描かれてきた。今後の安子とるいの関係は要注目である。
(2021/12/06)

ラストキーワード「時代劇」=「ジェダイ」 

 番組ガイドなどを読む限り、「時代劇」は、ひなたの時代のストーリーに関わってくるようである。安子の時代では、今のところ「時代劇」の要素は、安子と稔との映画デートでしかでてきていない。
 しかし「カムカム」は「スター・ウォーズ」をやりたいのだという前提に立つと、「ジェダイ」の語源でもある「時代劇」は重要キーワードである。
 「時代劇」が、安子・るい・ひなたのストーリーにどのように関わってくるのかは現時点(2021年12月6日)では、まだ分からないが、「カムカム」において「時代劇」が何を意味するのかを考えながら見ていくようにしたい。
(2021/12/06)

「あんこ=安子」が意味するもの

 安子は子供時代、同級生の勇たちに「あんこ」とからかわれていた。ただ和菓子屋の娘にそんな名前をつけたら、「あんこ」と友人にいじられるのも当たり前である。2017年のAK朝ドラ「ひよっこ」で、米屋の娘に「米子」と名付けたレベルの安直さである。
 しかし、「カムカム」を「スター・ウォーズ」ととらえると、初代ヒロインの名前「あんこ=安子」は重要な意味を帯びてくる
 前述の通り、安子に対応するのは、アナキン・スカイウォーカーである。「スター・ウォーズ」において、アナキン・スカイウォーカーは、ダークサイドに墜ちて、シスの暗黒卿、ダース・ベイダーとなる。
 前述の「On The Sunny Side of The Street」の章で、安子が盛んに「ひなたの道を歩いていきたい」と言うのは、ダークサイドに落ちてしまうからという仮説を述べた。そして「カムカム」における「あんこ」の意味は何かと考えてみると、「あんこを食う」→「あんこくう」→「暗黒う」→「暗黒」

「あんこ」は、「暗黒(あんこく)」=ダークサイドの暗喩である。

 これは「スター・ウォーズ」のエピソード1「ファントム・メナス」の宣伝ポスターで、アナキン・スカイウォーカーの影がダース・ベイダーの姿だったエピソードを彷彿させる。「あんこ」という名前もまた、安子がダークサイドに落ちてしまう仮説を補強してくれる、重要な設定であるといえるかもしれない。
(2021/12/16)

「野球」という代理戦争

 「カムカム」における「野球」の意味は何だろうか。安子編では、雉真家の次男で安子の幼馴染、野球脳・勇ちゃんの設定と、エンタツ・アチャコの漫才「早慶戦」が「野球」に関連しているが、いまいち分からなかった。
 しかし、第6週、進駐軍の将校・ロバート・ローズウッドが登場し、安子とだんだん仲良くなり、第7週では、雉真繊維と進駐軍で野球の試合をするというエピソードまで出てきたところで、だんだんと「スター・ウォーズ」との関連が見えてきた。
 「スター・ウォーズ」というのは題名の通り、戦争の話であり、ジェダイの騎士とシス・オーダーとの戦争である。「野球」に限らず、スポーツはすべて戦争の代理である。つまり、雉真繊維と進駐軍で野球の試合をするというのは、戦争なのである。野球のバットは「スター・ウォーズ」での代表的な武器ライトセーバーにあたると考えられるだろう。では、ボールにあたる丸いものは何だろうか、まだ分からないが、デス・スターかもしれない。
 そして「カムカム」の一族設定を「スター・ウォーズ」になぞらえると、

橘家 → スカイウォーカー家(ジェダイ)
雉真家 ・雉真繊維 → ジェダイ評議会(ジェダイ)
進駐軍 → パルパティーン家(シス・オーダー)

であるという仮説が成り立つ。
 これは現時点(2021年12月16日)では全く予想でしかないが、安子はロバートと結ばれて、アナキン・スカイウォーカー安子はダース・ベイダー安子になり、雉真家、そして愛娘るいとも別れる展開になるのではなかろうか。安子編はもうすぐクライマックスである。その展開を見守りたい。
(2021/12/16)

英語は「フォース」

 「カムカム」のストーリーでは、英語とラジオ英語講座が全編にわたる、重要なアイテムであるとされている。そして「カムカム」における英語は、「スター・ウォーズ」の「フォース」にあたると仮定すると、この朝ドラを構成する様々な要素を、するすると読み解くことができる。
「カムカム英語」は、英語力を高める修行である。そして、番組の講師はジェダイ・マスターである。つまり、平川唯一先生はヨーダである。
 そして、フォースを操ることができるのは、ジェダイだけではない。シスもまたフォースを操ることができる。英語を使えるのは、アメリカ人だけでない。英語を勉強した日本人も使えるのである。
 「カムカム」でフォースにあたる英語を使っているのは、安子編では、稔、安子、ロバート、るいである。ダース・シディアスはアナキン・スカイウォーカーの高いフォース感応力を評価して自軍に引き込んだが、それと同じように、ロバートは安子の英語力=フォースの力を高く評価して、自らの側に呼び寄せる展開になるのではないかと予想される。
(2021/12/16)

ダース・ベイダーは、るいなのか安子なのか

 2021年12月22日放送のEPISODE038は、「カムカム」のストーリー全体を通じて、重要なポイントともいえる、急転直下かつ劇的な展開だった。
 安子は失踪した兄・算太を探しに大阪へ行くが、疲労のため途中で倒れてしまう。偶然現れたロバートが、安子を助ける。るいの入学式に行けなくなったことを悔やむ安子が、自分の不幸を嘆く。そして、るいは安子を追って大阪にやってくるが、ロバートが安子にプロポーズする場面を見てしまう。岡山に戻った後、母・安子のことを誤解したるいは、「I hate you.」という強烈な台詞を母・安子に浴びせる。安子は失意のまま、るいと別れ、ロバートと結婚し、渡米する。そして、安子編の終わりを告げるかの如く、オープニング「アルデバラン」が流れ、るい編に突入。深津絵里演じる、大人るいの最初の登場は、ダース・ベイダーを思わせる、黒の喪服姿であった。
 このシーンを見て、「これって「スター・ウォーズ」のオマージュじゃないか?」と気づいた人は多かったようだ。該当する「スター・ウォーズ」のシーンは、エピソード3 シスの復讐のラストである。ダークサイドに転向したアナキン・スカイウォーカー改めダース・ベイダーと、かつての師匠・オビ=ワン・ケノービの師弟対決がある。このシーンで、ダース・ベイダーは、次のような言葉をオビ=ワンに向けて投げかける。

ダース・ベイダー I hate you. (あんたが憎い) 

スター・ウォーズ エピソード3 シスの復讐

 そして、ダース・ベイダーはオビ=ワンに倒され、全身を溶岩で焼かれ、瀕死状態になるが、後から駆けつけた新しい師匠・ダース・シディアスによって救出され、あの黒い仮面と装甲服を装着されて、ダース・ベイダー完成というラストである。
 「英語は「フォース」」の項で述べた通り、最終的に、安子はロバートと結ばれると私は予想していた。その予想は的中したが、まさか「カムカム」が、ここまで「スター・ウォーズ」に寄せてくるとは思ってもみなかった。  
 ただ今から思えば、「ラジオで!カムカムエヴリバディ」で、キャイ~ン天野が言っていた通り、安子編、るい編冒頭の「むかし、むかし…」のナレーションと映像も、「スター・ウォーズ」っぽかった。 
 それに、「カムカム」の脚本家は、大河ドラマ「平清盛」で、登場人物の海賊・兎丸に「おれは海賊王になる!」というONE PIECEオマージュの台詞をぶっ込んだ過去もある。これらの前歴を合わせて考えれば、「カムカム」の「スター・ウォーズ」オマージュ疑惑は確信に変わったといえよう。

 ところで、この場面で、"I hate you."という言葉を発し、ダース・ベイダーのような喪服を着て登場したのは、安子ではなくるいだった。前述の「3世代のヒロインと3世代のジェダイ」の項では、アナキン・スカイウォーカーは安子、ルーク・スカイウォーカーはるい、というマッピングをしたが、このマッピングだと、EPISODE038のシーンと辻褄が合わない。それともるいがアナキン・スカイウォーカー(ダース・ベイダー)で、安子はオビ=ワン・ケノービにあたるのだろうか。
 色々考えてはみたが、「カムカム」のストーリーは、安子とるいの親子の対立がメインなので、アナキン・スカイウォーカーは安子、ルーク・スカイウォーカーはるいというマッピングが順当だろう。ところどころで、複数の異なる登場人物がマッピングできるようなオマージュをしているのだと考えた方がよい。

 現時点(2021年12月30日)で分かっていることとして、るいは3代目ヒロインのひなたを娘としてもつ。普通に考えれば、るいは、恋愛→結婚→出産という過程を経るはずである。となると、るいは、ルーク・スカイウォーカーだけでなく、双子の妹であるレイア姫(レイア・オーガナ)にもマッピングされると考えた方が、「カムカム」の「スター・ウォーズ」オマージュを探しやすい。るいの結婚相手の男性は、ハン・ソロのような、女性に対してグイグイ迫っていく、ちょいワルなイケメンではなかろうか。
 そして、るい=レイア姫と考えると、自動的に、3代目ヒロインのひなたはレイだけではなく、ハン・ソロとレイア姫の息子である、カイロ・レン(ベン・ソロ)にもマッピングされる。果たして、ひなたは、名前通りの「サニーサイド」の人物になるのか、それともカイロ・レンのようなダークサイドの人物になるのか、「カムカム」ひなた編はまだ先ではあるが、この観点は、あらかじめもった上で見ておきたい。
(2021/12/30)

登場人物マッピング(安子編)

 「カムカム」安子編の終わりにあたって、安子とるい以外の登場人物を「スター・ウォーズ」の登場人物とマッピングしておくことにしたい。

ロバート    シーヴ・パルパティーン(ダース・シディアス)
稔       クワイ=ガン・ジン & パドメ・アミダラ
勇       オビ=ワン・ケノービ
千吉      ジェダイ評議会のジェダイ・マスター
算太      C-3PO &
 ジャー・ジャーピンクス 
吉右衛門ちゃん R2-D2

 初代ヒロイン・安子は、前述の通り、エピソード1から3の主人公であるアナキン・スカイウォーカーであり、ダース・ベイダーである。そうなるとロバートがシーヴ・パルパティーン(ダース・シディアス)であり、進駐軍はシスにあたる。
 雉真家の長男・稔は、安子を英語の道に誘った人物なので、アナキンをジェダイにしようと弟子にした、クワイ=ガン・ジンが近い。また、稔は安子と結婚するという点では、パドメ・アミダラでもある。稔は米軍との戦争で戦死するが、米軍をシスととらえると、稔はクワイ=ガン・ジン的であり、また、稔は安子との子供・るいをもうけた後、すぐ死んでしまったという点では、パドメ・アミダラ的でもある。
 雉真家の千吉さん及び雉真家はジェダイ評議会である。当時の時代背景もあるが、雉真家は、最初は稔と安子の結婚に反対していた、面子を重んじる保守的な家である。ジェダイ評議会も保守的かつ硬直的あり、それがアナキンがダークサイドに墜ちる理由でもあった。
 雉真家の次男・勇は、オビ=ワン・ケノービである。長男・稔をクワイ=ガン・ジンにマッピングしていること、勇は長男・稔を尊敬していたこと、そして稔亡き後、安子を面倒みるが、最終的にロバート側につく安子の思いを知り、アナキン安子に複雑な思いを抱えることから、クワイ=ガン・ジンの弟子、オビ=ワン・ケノービが一番はまるのではないかと思う。
 算太は多少のポンコツ感と、兄として安子に近い位置にいるので、当初はC-3POがあてはまるかなと思ったが、トラブルメーカーで、安子がダークサイドに墜ちるきっかけを作った点では、算太はジャー・ジャー・ピンクスをあてはめてもいいかもしれない。
 きぬちゃんや雪衣のマッピングは難しい。安子編のラストで、きぬちゃんの赤ちゃんが産まれるシーンは、エピソード3のラストで、パドメ・アミダラがアナキンの子供であるルーク・レイア姫の双子を産んだシーンを彷彿とさせたが、それだけでは弱いだろう。雪衣も安子とるいの関係を壊すようなことをるいに吹き込んだりした点で、シスかな?とも一瞬考えたが、もう少し考えてみたい。
 R2-D2は、吉右衛門ちゃんをあてはめたい。小さいけど賢くて、安子を何度も助ける場面があったところがR2-D2みを感じる。きっと戦死はしていないだろうから、るい編以降でも、吉右衛門ちゃんが「カムカム」のストーリーに絡んでくることを期待したい。
(2021/12/30)

SWシリーズに基づく、今後の展開妄想

 12月22日放送のEPISODE038で、「カムカム」は安子編が終わり、るい編に入った。一般的な「カムカム」の評価は「あまりにも展開が予想の斜め上」(by TBSラジオ「たまむすび」赤江珠緒)であり、「朝ドラ史上最悪の"鬱展開"」(CREAの朝ドラ評)のようだ。とはいえ、かなりの人気なのは、めちゃくちゃ面白いからなのだが。

 しかし、「カムカム」=「スター・ウォーズ」としてみれば、安子編は、アナキン・スカイウォーカーがダークサイドに堕ちてダースベイダー化するエピソード3のバッドエンドにあたるので、「鬱展開」は当たり前であり、全然予想の範囲内である。
 ここからは、現時点(2022年12月30日)までで分かっている内容、及び「カムカム」=「スター・ウォーズ」であるという前提に基づき、るい編、ひなた編がどういうストーリー展開になるのか、妄想を膨らましていくことにしたい。

【妄想1】るいと安子・親子の対立と和解
【妄想2】「スター・ウォーズ」風な劇中劇
【妄想3】レイア姫・るいと恋愛するハン・ソロは誰か?
【妄想4】ひなた編で、安子とロバートの子孫は現れるか?
【妄想5】「たちばな」のレシピは受け継がれるか
【妄想6】「暗闇」にひかれる「ひなた」

【妄想1】るいと安子・親子の対立と和解

 「カムカム」るい編に対応する「スター・ウォーズ」の旧三部作(エピソード4~6)は、一言でいうと、アナキン・スカイウォーカーとルーク・スカイウォーカーの親子喧嘩である。したがって、「カムカム」が「スター・ウォーズ」オマージュと考えると、安子とるいの親子の対立は必然である。そして、るい編の最後、もしくは、ひなた編の冒頭までに、誤解がとけて、和解するはずである。
 三幕構成的に考えてみても、第一幕は「状況設定」で、安子とるいの親子対立が設定、第二幕の「葛藤」で、るいの葛藤が描かれ、第三幕の「解決」で、安子との対立が解消されて和解となるのが自然な流れである。
 安子とるいがどのように再会し、どのように和解するのか、まだ想像はつかないが、「スター・ウォーズ」エピソード5の、ダース・ベイダーの台詞のオマージュは、絶対にでてくると予想する。

ダース・ベイダー "I am your father." (わたしがお前の父親だ!)

スター・ウォーズ エピソード5 帝国の逆襲

 果たして、安子がるいに、"I am your mother." (わたしはあなたの母親です) と言う場面がでてくるだろうか。また、どういうシチュエーションで、この言葉がでてくるだろうか。もしかしたら、そのヒントは、安子編における2組の親子の対立、橘家の金太と算太、赤螺家の吉兵衛と吉右衛門ちゃんにあるかもしれない。「スター・ウォーズ」のダース・ベイダーが改心した経緯も合わせて考えると、おそらく安子とるいの和解のタイミングは、安子が亡くなる間際ではないかと予想する。

【妄想2】「スター・ウォーズ」風な劇中劇

 朝ドラでは、実際に発生した戦争や震災等の大災害のエピソードが、必ずといっていい程、組み込まれる。「カムカム」安子編では、実際に発生した第二次世界大戦の様子が、ガッツリ描かれた。戦争に向かうまでの雰囲気の変化、岡山大空襲、戦後の焼け野原からの復興や関連死(金太)等である。またその時々のラジオ番組編成の変化も描かれた。
 しかし、るい編、ひなた編は戦後の時代に入っており、歴史上、日本では戦争は起きていない。一方で「スター・ウォーズ」では、エピソード4からエピソード9の間で、戦争や争いは描かれている。「カムカム」のるい編、ひなた編では、どのように戦争、争いが描かれるのだろうか。

 るい編では、EPISODE040で出てきた、西山さんの映画館で上映している、宇宙活劇=スペースオペラが、戦争・争いの要素にあたる。劇中劇として、宇宙活劇を出してきたという点だけで、「カムカム」はスペースオペラの代表作「スター・ウォーズ」のオマージュであることは明白である。そして、映画のタイトルは「逆襲!宇宙海賊船」である。「逆襲」は、「スター・ウォーズ」エピソード5 帝国の逆襲の「逆襲」からとっているだろうし、宇宙海賊船は「ミレニアム・ファルコン」のことだろう。
 そして、この映画のポスターのキャストが何度も映り込んでいたが、出演者の一人である「桃山三郎太」は、名前からして、失踪した「算太」に違いない。安子編では、チャップリンの映画のパロディで何度か算太は登場しているし、また、桃山剣之介を気に入っている素振りもあったので、算太は、モモケンに弟子入りし、俳優として活躍している可能性もある。
 ひなた編では、ヒロイン・ひなたが「時代劇」が好きという設定があらかじめ知らされている。したがって、ひなた編での、戦争・争いの要素にあたるものは「時代劇」だろう。おそらく松重豊も出てくる時代劇の劇中劇で、「スター・ウォーズ」同様の殺陣が、ひなた編では頻繁に見られるのではないかと予想する。

【妄想3】レイア姫・るいと恋愛するハン・ソロは誰か?

 「ダース・ベイダーは、るいなのか安子なのか」で述べた通り、るいは娘・ひなたをもうけるので、「カムカム」を「スター・ウォーズ」のオマージュと考えると、るいは、レイア姫のような恋愛をするということである。 
 レイア姫の恋愛・結婚相手はハン・ソロだが、「カムカム」でのハン・ソロポジションの登場人物は誰だろうか。こわもての田中の恐喝から、るいを助けた弁護士の卵の片桐さんなのか、それとも、名前も名乗らず大量の服をクリーニング屋に預けにくる「宇宙人」なのか、それとも新たに現れる第三の男なのか。また「スター・ウォーズ」シリーズの中でも、ぶっちぎり第一位の、この台詞のオマージュは、るいの恋愛の中で出てくるのだろうか

レイア・オーガナ  "I love you."(愛してるわ)
ハン・ソロ     "I know."(知ってた)

スター・ウォーズ エピソード5 帝国の逆襲 

  第10週の次週予告を見る限りでは、るいを「サッチモちゃん」呼びする「宇宙人」が、ハン・ソロのポジションに近くて、女性に告白されたら「知ってた」とか返しそうな雰囲気なので、「スター・ウォーズ」オマージュ観点では、現時点(2021年12月30日)では、るいの恋愛相手は「宇宙人」オダギリジョーと予想する。

【妄想4】ひなた編で、安子とロバートの子孫は現れるか?

 「スター・ウォーズ」シリーズの続三部作の主人公は、レイである。レイの出自は最初は明らかにされないが、ストーリーの中で、レイはシーヴ・パルパティーン(ダース・シディアス)の孫であると判明する。また、レイア姫とハン・ソロの息子のベン・ソロ(カイロ・レン)は、ダーク・サイドに墜ちる。「カムカム」でも、この構図が出てくるとすればどうなるか。
 安子編の最後で、安子はロバートと結婚し、渡米した。進駐軍はダークサイド、ロバートをシーヴ・パルパティーンと解釈すると、安子とロバートの間に子供が産まれ、「スター・ウォーズ」の続三部作にあたる「カムカム」ひなた編に、「スター・ウォーズ」のレイにあたる、安子とロバートの子供もしくは孫が登場することが予想される。Twitterでは、流暢な英語で「カムカム」のナレーションを務める城田優が、安子とロバートの子孫として登場してくるのではないかという予想を見かけたが、その可能性は大いにありうるだろう。

【妄想5】「たちばな」のレシピは受け継がれるか

 「カムカム」での重要なテーマのひとつは、「あんこと野球とジャズと時代劇」と謳っているように、「あんこ」がある。しかし、おはぎをはじめとする「あんこ」のお菓子を作っていた「たちばな」は、安子編のラストで、算太の失踪、安子の渡米でとうとう途絶えてしまったように見える。雉真家の女中・雪衣の暗躍で、結果として算太と安子は雉真家を追い出された格好だが、和菓子「たちばな」はこのまま「閉店ガラガラ」になるのだろうか。るい編以降には「あんこ」のエピソードは出てこないのだろうか?
 実は「あんこ」に関しては、安子編で重要な伏線
になりそうなシーンがある。EPISODE035での、ロバートと安子が英語のテキストを作成するシーンである。このシーンでは、ロバートの提案で、「たちばな」が伝承してきた、「おいしゅうなあれ」のおまじないを含む、あんこのレシピが英語のテキストのスキットになる。るい編、ひなた編に「あんこ」に関する話が受け継がれるためには、あんこのレシピの英語のスキットが重要な鍵となるだろう。

 ところで「スター・ウォーズ」において、「カムカム」のあんこのレシピにあたるものは何だろうか。色々考えてみたが、デス・スターの設計図が、「たちばな」のあんこのレシピに相当するのではないかと考える。
 「スター・ウォーズ」のエピソード4の前日譚にあたるスピンオフ映画「ローグ・ワン」では、デス・スターの脅威を憂えたローグ・ワンが、設計図を銀河帝国軍から奪取して、反乱軍艦隊に設計図のデータを送信する。
 その後、ローグ・ワンはデス・スターのスーパーレーザー砲の衝撃に巻き込まれて全滅するが、設計図のデータは無事送信され、その後は綱渡りで、最終的にレイア姫にデータが渡り、「エピソード4 新たなる希望」の冒頭につながる。

 これは予想だが、「カムカム」でも、あんこのレシピが「ローグ・ワン」同様に、綱渡り的につながって、最終的に、るいが「たちばな」を再興するという展開はありうるのではなかろうか。
 安子編では、米軍の岡山大空襲で、橘家は祖母と母を亡くし、「たちばな」の店も瓦礫と化す。岡山大空襲はデス・スターのスーパーレーザー砲である。安子の父・金太も程なく病死するが、あんこのレシピを教わった安子が、店を細々と再開させ、その後、ロバートに出会って、あんこのおまじないが、英語のテキストのスキットになる。
 現時点(2021年12月30日)では、「たちばな」は途絶えたが、ロバートの作った英語のテキストのスキットに、あんこのレシピが残されている。
 この後は予想だが、ロバートが再来日して、ラジオ英語講座を担当するのではないだろうか。そして、あんこのおまじないのスキットが、ラジオ英語講座で放送されて、るいがこのスキットを聴く。これが、EPISODE035の伏線回収である。「ローグ・ワン」で、デス・スターの設計図のデータを受信するのと同様に、電波を通じて、るいに「たちばな」のあんこの作り方が伝わり、その後、るいによって和菓子「たちばな」が再興されるのではないかと予想する。

【妄想6】「暗闇」にひかれる「ひなた」

 第9週は、今年(2021年)最後の週のため、週5日ではなく、12月27日、28日の2日の放送だった。その2回のアバン(オープニング前へ挿入される部分)が「カムカム」の世界観を象徴するシーンとなっていた。
 EPISODE041のアバンは、太陽、そして、晴天の下でるいがシミ取りの作業をしているシーンである。一方、EPISODE042のアバンは「暗闇でしか見えぬものがある、暗闇でしか聴こえぬ歌がある」というモモケンの台詞からはじまる時代劇の殺陣のシーンである。
 これは、「カムカム」において何度も出てくる「太陽(サニーサイド)」と「暗闇(ダークサイド)」の対比を暗示している。「スター・ウォーズ」の「光(ライトサイド)」と「闇(ダークサイド)」の対決と同じ構図なので、これもまた「スター・ウォーズ」オマージュである。
 そして「カムカム」における「時代劇」は「暗闇(ダークサイド)」属性なのかもしれない。3代目ヒロイン・ひなたは、時代劇が大好きなヒロインという設定である。時代劇にはまってダークサイドに堕ちるのか、それとも名前の通り、祖母・安子が歩きたかった「ひなたの道(サニーサイド)」を歩むのだろうか。これは「スター・ウォーズ」で、レイ・パルパティーンなのか、レイ・スカイウォーカーなのか、どちらなのかを考えて見るのと同じである。「カムカム」においても、ひなたが「太陽」と「暗闇」の、どちらの属性なのかを考えながら見ると面白いかもしれない。
(2021/12/30)

修正履歴

2021年12月30日 (EPISODE 042 終了)   時点
 以下、追加。
 「ダース・ベイダーは、るいなのか安子なのか」
 「登場人物マッピング(安子編)」
 「SWシリーズに基づく今後の展開妄想」
2021年12月16日 (EPISODE 034 終了)   時点
 以下、追加。
 「「あんこ」が意味するもの」
 「野球という代理戦争」
 「英語は「フォース」」
2021年12月6日   (EPISODE 026 終了)時点
 初版作成


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