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ボウイング9割 : フィンガリング1割

ヴァイオリンやヴィオラは右手のボウイングで音色と音量を創る。
左手のフィンガリングで音程を創る。という風に考えていたのですが
最近思ったより右手のボウイングが音程を創る事にも貢献していると
感じる機会に出会いました。

・音程は移弦でも創られる
まあ当たり前ではありますがフィンガリングだけでなく
移弦によってボウイングでも音程は創れます。
ココで何が言いたいかと言うと移弦の技術が向上する事で
フィンガリングの選択肢が増えるという事です。
先日、フィンガリングの相談を受けた事が有り
移弦が嫌だからポジション移動を考えているという相談だったのですが
私にとっては全く抵抗感のない移弦であったので
逆にポジション移動が必要と考える発想自体がなかったのです。
もちろん移弦が正解でポジション移動が悪という意味では有りません。
ただ選択肢が増える事で演奏の可能性が広がるという事です。
移弦にしろポジション移動にしろドチラでも
抵抗感がなくなるのが理想ですよね。
フレージングにはフィンガリングだけでなくボウイングも重要なんだと
再認識しました。

・音程を探る、微修正する
ヴァイオリンやヴィオラはフレットが無く自分で音程を創る楽器です。
ハイポジションへの跳躍フレーズなどで音程を
バシッっと一発で当てると気分がいいですよね。
でもギャンブル要素があったりしてハラハラするものです。
これまた先日起きたエピソードなのですが
跳躍をバシッと当てる事が出来ずハズしてしまったのです。
ところが「あ!ハズした!」と思った瞬間、自分でもほぼ無意識の
一瞬の自動作業ですが、ボウイングで発音の瞬間のピーク音量になる前に
サッと弓毛ミュートで発音をキャンセルし
自分にだけ聞こえる微細音で音程を探り、微修正して音程が決まった瞬間に
スパーンっと発音を再開する事で、音程をハズした事がバレず
むしろ音の入りを色気のある味付けしたぐらいに
勘違いしていただけた事がありました。
左手のフィンガリングのミスを右手のボウイングでリカバリーした例です。
ゴマカシの技術といえばソレまでです。たまたま上手くゴマカセただけで
100%の精度で左手のフィンガリングで音程を創れるのがベストなのですが
右手のボウイングも音程を創る事に貢献していたんだなと
改めて気づく事が出来ました。

弦楽器の技術って案外
ボウイング9割 : フィンガリング1割
なのかもしれませんね。

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