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守備の構造・設計[後編]~守備の設計~

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今回は、守備の構造・設計の後編・設計編となります。
この記事では、先日指導者交流サロンにて議論が行われていた「守備の設計の優先順位」について僕の考えを書いていきます。
前編・構造編で書いた捉え方が大前提となりますので、前編をまだ読まれていない方は是非この記事を読み進める前に前編に目を通してください。

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第1章 そもそも

まず最初に、そもそもの部分について。
きっかけは、マーレー志雄さんがnoteで情報発信をされたことです。
その記事では、イングランドで使われている「on the ball/around the ball/off the ball」という考え方があり、イングランドでは攻撃はoff the ballから、守備はon the ballから整理するということが書かれています。
on the ballというのはボールへ関わっている選手(ボール保持者、保持者にプレッシャーをかける選手)のことを言うので、守備はボールに近い場所から整理をしていく考え方だということですね。
ここを抑えた上で、これからは僕の考えについて書いていきます。

第2章 「守備はどこから設計すべきか?」

結論からいうと、僕は「守備は後ろから設計(練習)すべき」だと考えます。off the ballから設計すべきだ、ということです。

前編で書いたとおり、守備の目的とは「攻撃のことを考えながらゴールを守る/ボールを奪う」ことであり、ボールを奪うためにはラインを整える、ポジションにつく、のようなゴールを守る準備が必要になるというのが僕の考えです。
それにより、
「ボールを奪う」アクションの起点となる最前線(on the ball)から設計することは「ゴールを守る」という「ボールを奪う」ための準備、前提条件が欠如している状態だと考えるため、今回の結論に至っています。

第3章 守備は「守備」の局面から始まらない

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守備はボールを奪って終わりではなく、攻撃に良い形で移行できてこそ機能したと言えます。そのためプレッシングやブロック守備という守備アクションは攻撃(守→攻)への準備となります。
では、逆に考えればどうでしょうか。
攻撃は守備への準備と言うことができます。攻撃の場合は点を取れば話は別ですが、ほとんどの攻撃はどこかで相手ボールになり、守備に移行します。
つまり、攻撃も点を取る事ばかり考えていれば良いわけではなく、「いかに守備への悪影響を及ぼさずに攻撃するか」が重要です。
「ネガティブトランジション」という言葉、そしてその言葉を使うには意味がありますが、守備とネガティブトランジションは分断されておらず、つながっています。ネガティブトランジションも守備の一部です。相手ボールになった時点で守備は始まっています。

その「守備のスタート」であるネガティブトランジションにおいてチームはゲーゲンプレスやリトリートといった戦術行動を行うわけですが、ここで質問です。
「最前線が寄せるからゲーゲンプレスに行く」のか、
「後ろの準備ができてるからゲーゲンプレスに行く」のか。
皆さんはどちらだと考えるでしょうか。
僕は後者だと考えます。
なぜなら、守備は「ゴールを守る準備」をすることが前提となるからです。最前線の選手が寄せる/寄せないことによって周りの選手の立ち位置が決まる、というのはもちろん理解ができますが、その前に「ゴールを守る準備」が必要です。
ネガティブトランジションでも後ろのリスク管理がしっかりできているからこそ前線がゲーゲンプレスに行っても機能します。後ろのリスク管理を整える前に「前が寄せるか/寄せないか」を先に決めても、後ろがグチャグチャなのでどっちにしろやられてしまいます。

ここまでは「守備のスタートの部分」ということでネガティブトランジションの局面で話をしましたが、これは「守備」の局面でも同じです。先程と同じような質問をします。
「前が寄せてるからラインを上げる」のか
「ラインが整ってる(後ろが準備できている)から前が寄せれる/ラインが上がる」のか。
これも僕は後者だと考えます。
なぜなら、ゲーゲンプレスと同じく後ろが「ゴールを守る準備」を整えることができているからこそ前線のプレッシングは機能します。後ろが「背中を押す」役割を担っているからこそ、です。
ラインを揃える/上げるといった「ゴールを守る準備」によって奪いにいける環境を整備できていない状況で前から設計するのは「ゴールを守る」が欠如している状態です。
その状態で守備をしようとしても、準備がなってないので機能はしません。

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このように考えるため、僕はoff the ballから設計すべきだと考えています。
この結論は、守備戦術の設計においても練習で落とし込んでいく際の手順においても同じです。もちろん完全に分けるわけではなく、同時進行の中で比率が変わるということになるのでしょうが、優先順位としては後ろが準備を整えること、off the ballから設計/練習していくべきだと思います。
また、指導者が自チームを分析するときも、ゴールを守る→ボールを奪うという優先順位で分析をすれば、より根本的な部分からの解決になるのではないかと思っています。

終章 総括

第1章
・この記事は、マーレー志雄さんの記事がきっかけになっている。
・イングランドでは守備はon the ballから設計/練習すべきだという考え方が使われている。
第2章
・守備はoff the ballから設計/練習すべきだと考える。
・守備はゴールを守る→ボールを奪うという優先順位で成り立っており、「ゴールを守る=準備」から「ボールを奪う=実行」に繋げていく。

第3章
・最前線から手をつけるのではなく、後ろが準備が先決。
・守備(ボールを奪う)は攻撃への準備。ボールを奪うことにも準備が必須。
→後ろから準備を整えていって、前線がプレッシャーをかけれる状態を作る。
→「背中を押す」
・結論:「off the ballから守備を設計し、トレーニングを行う。」

最後にもう一度書かせていただきます。もしこの記事を気に入っていただけたら、SNSなどでの拡散をぜひよろしくお願い致します。皆さんで日本サッカー界をもっと盛り上げ、レベルアップさせましょう!

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