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守備の構造・設計[前編]~守備の構造~

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約1ヶ月ぶりになってしまいましたが、久しぶりにnoteを書いていきます。今回から前編・後編の二回に分けて守備についての僕の考えを。
まずこの前編では「守備の構造」について。守備の目的とは何なのか、守備はどんな要素で成り立っているのか。
後編では「守備の設計」について。先日指導者交流サロンで行われていたテーマに対して、超乗り遅れながらも自分の意見を書こうと思っています。
※あくまで個人の考えですので、これが絶対だ、なんていうわけではありません。

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第1章 守備の目的

まずは、守備の目的について。何のために守備を行っているのか。
守備というと、ゴールを守るであったり、ボールを奪う、スペースを消す、などというイメージがあります。これらは、もちろん当てはまります。
しかし、忘れてはならないのは、「攻撃」という言葉です。

サッカーは、野球のようなターン制のスポーツではなく、ボールを奪えばすぐに攻撃になりますし、逆に即座に相手は奪い返しに来ます。だから、シームレスなスポーツだとよく言われていますよね。
ということはどういうことでしょうか。
守備のことだけを考えていても、守備は上手くいかない、ということです。どう攻撃に繋げていくかを考え、そこまで実現できてこそ「守備」なのです。
この部分が抜け落ちてしまうと、「ボールを奪うこと」や「ゴールを守る」ことができていても、その後にどうすれば良いのかが分からない状態に陥ります。この状態では、奪った後の意志がないのですぐ奪い返されてしまいます。

こういった理由から、僕は守備の目的を
「攻撃のことを考えながらゴールを守る/ボールを奪う」
ことだと考えます。
そして、ゴールを守る/ボールを奪う、この二つにおいて、より重視されるべきは「ゴールを守る」です。ボールを奪うことばっかり気にしてゴールを守ることを前提とした守備ができていなければ、簡単に出し抜かれてしまいます。それでは本末転倒です。
きっちりと「ゴールを守る」準備をした上でボールを奪いに行くことが大前提となります。ゴールを守る準備というのは、各ラインを揃える、個々人が決められた立ち位置についてブロックを整える、などのことです。
第2章で詳しく触れますが、この「ゴールを守る」準備ができてこそ、プレッシングなりボールを奪うなりというアクションに移行できます。

第2章 守備の構造

次にこの章では、守備の構造について。

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僕は現時点で守備の構造を↑のように捉えています。「守備」において主な局面は3つ。
①プレッシング、②ブロック守備、①or②-2守→攻。この3つです。
しかし、この3つは順を追って進んでいくとは限りません。そのため、①②から守→攻に移行することを示す図にしています。
シチュエーションとしては、①プレッシングでボールを奪うことができれば②にいかずに①-2の守→攻に移れますし、①で奪えず②のブロック守備に移ってからボールを奪い、②-2守→攻に移行する場合もあります。
それから、②でも守→攻に移行できずピンチを迎えて「ゴールを防ぐ」ことで精一杯になり、相手にCKを与えたり、失点することも十分考えられます。
また、チームによっては①プレッシングを行わず最初から②を行うチームもあります。格上相手に採用されることが多い「自陣に引き込む」守備です。

そして、図をご覧頂ければ分かる通り、それぞれの局面の中でもいくつかのフェーズに枝分かれしています。①のプレッシングの場合は、いきなりボールを奪うことは難しい。むしろ奪いにいかない方がいい。まずブロックをセットしてから、相手を特定のエリアへ誘導し、誘導できれば「ボールを奪う」アクションが可能になるのです。
そのため、僕は「システムのセット」と「プレッシャーをかけ、誘導する」を「ボールを奪うための準備」と位置付けています。
サッカーでもサッカー以外でも、目的を達成するためには準備が大切です。どれだけ目的達成のために備えることができているか。良い準備があってこそ良い結果が出るので、「ボールを奪う」ためには「ボールを奪う準備」をきっちり行い、「ボールを奪う」局面で目的を達成できる状況を作っておく必要があります。
②のブロック守備の場合は、「システムのセット」「プレッシャーをかけ、誘導する/プッシュアップする」を「ボールを奪う準備/守り切る組織を作る」として②の目的である「ゴールを防ぐ/ボールを奪う」の準備段階と位置付けています。
②で仮にプッシュアップを行い、ラインを上げて相手をゴールから遠ざけることができた場合、①(プレッシング)を行うことが可能になります。そのため、②→①→①-2という流れになることもあり得ます。

しかし、忘れてはならないのは第1章で記述したように、「攻撃」のことを視野に入れておかなくてはならないということです。そのため「ボールを奪う」ことは①もしくは②の目的にすぎず、①を達成した後にどう①-2守→攻に持ち込むのかまで設計することが重要です。その理由については第1章で述べた通り。

守備のイメージとしては、「①の目的のための準備」→「①を達成(もしくは②へ)」→「①-2の目的を達成」となります。
そして、①(②)→2の目的、プレースタイルの種類は上図にも示しているように複数ありますが、①(②)→2でボールを奪われたのなら再度「①の目的のための準備」に戻ります。そのままボールを保持しているなら攻撃のアクションに移行します(詳細はこの記事では触れません)。

つまり、

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①(②)は①(②)-2のための準備という言い方もできるのです。

ここまで守備の構造について僕の考えを説明しましたが、図に示したように細かくある必要は必ずしもありません。ここまで分ける必要がない、とお考えの方も当然いらっしゃると思います。
ただ、細かく分けておくことの利点として一つ考えられるのは、「チームの問題点の分析」かなと。僕は選手に細かく分けていることを説明する必要はなく、指導者が知っておけば良いと考えております。
なぜなら、指導者と選手は役割が違うからです。選手は試合でプレーし、結果を残すことが役割。それを達成するには一つ一つの判断基準が明確でなければなりません。戦術を落とし込むことは大切ですが、情報量が多すぎると脳がパンクしてしまうので、逆効果となります。
一方指導者は自分の持つ知識を自チームに合う形で加工して提供し、試合中のプレーを手助けすることが重要。そのため、選択肢を多く持ち、チームや選手にあった最適解を見出だすことが大事。だから指導者はできるだけ情報を持っておく必要があると考えます。
話を戻しますが、なぜ利点として「チームの問題点の分析」が挙げられるのか。
指導者がチームの分析をして改善をするときに「守備」という一塊ではなく「プレッシング」「ブロック守備」「守→攻」の3つに大きく分けられる。その中でも例えば①は3つに分けられ、「システムのセット」「プレッシャーをかけ、誘導する」「ボールを奪う」がある。
これを理解しておけば、失点の原因がどこにあるのかがよりわかりやすくなると思うからです。

終章 総括

第1章 守備の目的
・守備であっても、攻撃のことを考えておかないといけない。
→「攻撃のことを考えながらゴールを守る/ボールを奪う」
・ゴールを守ることが大前提。
→ゴールを守る準備ができてこそ、ボールを奪いにいける。
第2章 守備の構造
・守備は大きく分けて3つ。
→①プレッシング、②ブロック守備、①(②)-2守→攻
・「ボールを奪う」「ゴールを防ぐ」という目的には準備が必須。
・①も②も、①(②)-2に良い形で移行することが最大の目的。
・必ず細かく分けないとダメなわけではない。
→しかし、指導者が分析する時には役立つ。

今回の記事はここまでになります。最後まで読んでいただきありがとうございました。後編では守備の「設計」について書こうと思います。

最後にもう一度書かせていただきます。もしこの記事を気に入っていただけたら、SNSなどでの拡散をぜひよろしくお願い致します。皆さんで日本サッカー界をもっと盛り上げ、レベルアップさせましょう!

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